
(2025.4.14 Vatican News Francesca Sabatinelli and Lisa Zengarini)
聖週間の始まり、13日の「受難の主日(枝の主日)の朝、ウクライナ北東部の都市、スームイがロシア軍の弾道ミサイル2発の攻撃を受け、子供15人を含む少なくとも34人の市民が死亡、100人以上が重軽傷を負った。
ウクライナ駐在の教皇大使、ヴィスヴァルダス・クルボカス大司教によると、今年は、グレゴリオ暦とユリウス暦の調整で、カトリックはじめ異なるキリスト教宗派の教会が同じ日に復活祭を迎えることになっており、攻撃は、聖週間の始まりを祝うために多くの信者が教会へ向かっているところになされた。このため、犠牲者の多くは、こうした信者たちとみられる。
本来であれば神聖で穏やかな礼拝の日であったはずのこの日は、ウクライナで現在も続くロシアによる理不尽な攻撃の新たな恐ろしい一章となり、同国の信者たち、とくにスームィ市の信者たちにとって、喪失と荒廃の日となった。
クルボカス大使は声明で、このような無意味な暴力を前にした無力感を嘆き、「私たちを守ってくださるのは主だけです。平和と命を守るために、他に頼れる力はないように思えます」と述べた。
世界教会協議会(WCC)も14日の声明で、今回のロシアによるウクライナの都市攻撃を強く非難。ロシアの指導者たちに「領土的・政治的野望を追求するために罪のない人々の血を流すことを止める」よう要求し、世界各国、機関に対して、「このような攻撃から被害者を保護し、あらゆる手段を講じて加害者に責任を取らせるように」と呼びかけた。そして、戦争に目を向ける心が平和と正義を求める心へと変わるよう、祈りを捧げた。
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13日のスームイ市へのロシアによるミサイル攻撃は、わずか数日の間に2度目となる大規模な攻撃であり、多数の死傷者を出した。ちょうど1週間前には、ゼレンスキー大統領の出身地であるクリヴォイ・リーフがミサイル攻撃を受け、9人の子どもを含むおよそ20人が死亡している。大統領は、「ロシアのスームへの恐ろしい弾道ミサイル攻撃は、普通の街の通り、日常生活、つまり家屋、学校、道路上の車などを狙ったものだった。そして、人々が教会に向かう日、すなわち『枝の主日』、主のエルサレム入場を祝う日に起こったのだ」と強く非難した。
NATOのアリソン・ハート報道官代行氏はソーシャルメディアに「スームイの恐ろしい光景」と書き込み、「多くの人々にとって神聖なこの日に、ウクライナの人々を思う」と述べ、欧州連合(EU)のカタリーナ・マテルノバ大使は、スームイに対する「恐ろしいロシアの攻撃」を「一連の戦争犯罪のひとつ」と呼んだ。EU加盟国の外相らは14日、ルクセンブルクで会合を開き、今後の対応とロシアに対する新たな制裁について話し合う。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)