・アジア、アフリカ、ラ米の司教協議会連盟などが共同で、COP30に向けて”気候正義”と”共通の家”への呼びかけ

(2025.7.1 Vatican News   Isabella H. de Carvalho )

 アジア、アフリカ、ラテンアメリカの各司教協議会連盟と教皇庁ラテンアメリカ委員会が1日、今年11月にブラジルで開かれ国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に向けて、気候正義と環境への回心を呼びかける共同文書を発表した。共同文書は、教会の「気候正義」への誓約を改めて表明し、今年で公布10周年を迎える教皇フランシスコの回勅『ラウダート・シ』に沿って、各国政府に行動を呼びかけている。

 

 

*タイトルは「気候正義と共通の家への呼びかけ:エコロジーへの転換、変革、そして誤った解決策への抵抗」

 

 「気候正義と共通の家への呼びかけ:エコロジーへの転換、変革、そして誤った解決策への抵抗」と題する共同文書は1日のバチカンでの記者会見での発表とともに、教皇レオ14世にも手渡された。記者会見の冒頭で、アジア司教協議会連盟(FABC)会長のフィリペ・ネリ・フェラン枢機卿は、「私たちのメッセージは外交的なものではなく、極めて司牧的なもの。地球を単なる商品のように扱い、被造物を食い尽くそうとする体制に直面し、良心への呼びかけです」と述べた。

 記者会見には、フェラン枢機卿と共に、ラテンアメリカ・カリブ海司教協議会連盟(CELAM)会長のハイメ・スペングラー枢機卿、アフリカ・マダガスカル司教会議シンポジウム(SECAM)会長のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿、教皇庁ラテンアメリカ委員会事務局長のエムリス・クダ枢機卿が出席しました。

 クダ枢機卿は「私たちは、被造物に対する各地で起きている戦争の真っ只中にあって平和を築くために、COP30に参加します。戦争では多くの人が命を落としており、私たちが今、行動を起こさねば、さらに多くの人が命を落とすことになるでしょう… 私たちがCOP30に参加するのは、教皇レオ14世が述べておられるように、教会が『常に、特に苦しむ人々に寄り添おうと努める』ためです」と説明。

 

 

*アマゾンからアフリカまで、教会は声を上げる

 

 またスペングラー枢機卿は「私は声を上げていますが、それは私だけのものではありません。アマゾンの人々、土地の殉教者たち、つまり気候の殉教者たち、そして川辺の先住民、アフリカ系住民、農民、そして都市のコミュニティの声です」と述べ、「生活様式、生産、消費における変革の必要性を緊急に認識する必要があります」として『グリーン資本主義』や『移行経済』といった名目で経済的利益を”隠蔽”することや、アマゾンで新たな油井を掘削することを非難、「『自然の金融化』というような仕組みを、教会は拒否します」と強調した。

 アンボンゴ枢機卿も、「何世紀にもわたる搾取、奴隷制、搾取によって貧困に陥った」アフリカ大陸の教会の名において語り、「武装集団の増殖の根源に、鉱物資源の採掘競争がある」と指摘。「アフリカの人々を犠牲にして他者を豊かにすることのない経済」を求め、「アフリカは、全人類にとって正義と平和の未来に貢献したい… ”偽りの解決策”はもうたくさんです。気候崩壊の最前線にいる人々の声に耳を傾けずに下される決定は、もうたくさんです」と訴えた。

 フェラン枢機卿は、アジア大陸の観点から、「台風、強制移住、島の喪失、河川の汚染など、気候変動の壊滅的な影響に何百万人もの人々が苦しむ一方で、巨大インフラ、人間の尊厳を尊重しない『クリーン・エネルギー』のための移住、そして『グリーン・バッテリー』の名の下に行われる無情な採掘といった”偽りの解決策”が進んでいます」と批判。 「豊かな国々は、南半球諸国に負債を負わせ続けず、自国の環境負債を認識し、返済すべきです」と訴え、教会として、「教育プログラム」「新たな経済的道筋」「最も影響を受けやすい女性と女児の支援」といった代替案を推進する意思を表明した。

 

*教皇フランシスコの遺産

 

 バチカンの総合人間開発省長官のマイケル・チェルニー枢機卿は、この文書がフランシスコ教皇の遺産と深く結びついていることを強調。「10年前、この記者会見が教皇回勅『ラウダート・シ』の成就と実践であると想像できた人はいたでしょうか。これは、教皇フランシスコが訴えてこられたこと、そしてレオ14世教皇が強調され、呼びかけを続けておらえることを、強く表明したものであり、このような文書が取りまとめられたことに感謝した」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二

 

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2025年7月2日