・「世界の総人口の7.8%、6億4500万人が飢餓に直面している」—2025年版国連報告書

Hunger crisis in GazaHunger crisis in Gaza  (AFP or licensors)
〈2026.7.23 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

 国連食糧農業機関(FAO)など5つの国連機関が共同でまとめた『世界の食料安全保障と栄養の状況(SOFI)報告書〈2025年)』によると、世界の総人口の7.8%、約6億4500万人が飢餓に直面している。

 この数字は、世界全体で2022年のピーク時と比べて4300万人、2024年と比べても1400万人減っており、特に南米や南アジアで、食料事情が大幅に改善されたことが大きく影響している、という。

 だが、地政学的緊張や気候変動が世界の食料供給システムを脅かす状況は続いており、飢餓人口は依然として憂慮すべき水準にあることから、食糧安全保障の強化を改めて訴えている。

*「”ホルムズ海峡”が当面最大の懸念事項だ」とFAOチーフ・エコノミスト

 FAOのチーフエコノミスト、マキシモ・トレロ氏は、ロイター通信のインタビューで、「エネルギーや農業投入物の主要ルートであるホルムズ海峡を通る海上輸送の混乱が、当面の最大の懸念事項の一つだ」と指摘、特に、「燃料、肥料、輸送費の価格を押し上げ、世界的な食料生産コストを増加させていることで、大きな打撃を受けている」とし、「このような状況に加えて、強大なエルニーニョ現象が起きると、脆弱な地域での農業生産が打撃を受け、さらなる食糧危機をもたらす可能性がある」と警告した。

 

 

*アフリカで5人に1人、3億900万人が依然として栄養不足、2030年でも世界全体で5億2000万人が飢餓に

 報告書の発表にあたって、FAOの屈東玉(ク・ドンユ)事務局長は、報告書の調査結果が「断固とした政策措置が成果をもたらし得ることを示している」と評価したうえで、「最近の成果を維持・加速させるための取り組みを継続せねばならない」と強調した。

 報告書によると、アフリカでは依然として約3億900万人が栄養不足の状態にあり、急速な人口増加で今後数年間で飢餓に苦しむ人々の絶対数が増加する可能性がある。アフリカ大陸における飢餓率は、2024年の20.3%から2025年には20.0%へと低下し、2017年以来初めて飢餓の増加傾向に歯止めがかかったものの、なお5人に1人が栄養不足の状態にある。

 今後の展望について報告書は、2030年の段階でも世界全体で約5億2000万人が飢餓に直面する可能性があり、そうなれば世界は「持続可能な開発目標(SDGs)2(飢餓ゼロ)」の達成軌道から外れることになる。子どもの栄養不良が依然として高止まりしており、女性の貧血が悪化しており、成人の肥満が着実に増加し続けていることも指摘している。

 報告書発表の記者会見でFAOなどの関係者は、「食料、エネルギー、農業投入財の市場を開放し続け、輸出制限を回避し、脆弱な立場にある人々を対象とした社会保護プログラムを強化する必要性」を強調。各国政府や開発パートナーに対し、「作付けの決定が取り返しのつかないものになる前に」、農家が肥料、良質な種子、水、融資、その他の不可欠な投入財へのアクセスを可能にすることを求めた。

 また、長期的には、農業・食品システム全体、とりわけ灌漑、貯蔵施設、コールドチェーン、輸送インフラ、早期警報システム、および先を見越した行動メカニズムへの投資も要請。「こうした投資により、栄養価の高い食品のコストを削減し、ショックに対する回復力を高め、健康的な食生活をより手頃な価格で実現できる」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年7月24日