・「ヨルダン川西岸地区のキリスト教徒の村が、イスラエル人入植者によって生活を脅かされている」教区司祭が理解と支援を訴え

Israeli settlers set fire to fields surrounding TaybehIsraeli settlers set fire to fields surrounding Taybeh  (AFP or licensors)
(2026.7.7  Vatican News   Beatrice Guarrera)

  ヨルダン川西岸地区で唯一の全員がキリスト教徒のパレスチナ人の村タイベが、イスラエル人入植者の前哨基地建設による生活破壊の危険にさらされており、教区司祭のバシャール・ファワドレ神父は「信徒住民にとってかつてない脅威。聖地を守るためには、言葉だけではなく、具体的な行動が必要」と訴えている。

 ここ数か月、タイベ村には、イスラエル人たちによる暴力行為が繰り返されていたが、住民や地元の監視団体によると、イスラエル人入植者たちは、村が所有する山岳地帯であるジャバル・アル・マシス地区で、違法とみられる前哨基地の建設を開始した。このまま進められれば、住民の家からわずか数メートルの場所に入植者の前哨基地が設置される可能性があり、住民たちは不安をさらに高めている。

 ファワドレ神父によれば、村の各家庭は絶え間ない威嚇の下で生活することを恐れており、農民たちは村の東部にある畑や養鶏場へ行けなくなることを懸念している。

 神父は、「このような入植者の動きは、武力によって、新たな既成事実を押し付け、タイベの住民に土地を離れるよう圧力をかけることが目的です… 前哨基地の設置は、多くの場合、恒久的な入植地建設の先駆けをなすものであり、地域住民は不安感をいっそう強めています」と語る。

 この村は、オスロ合意に基づく「エリアB」に該当し、「民政」はパレスチナ自治政府が担当し、「治安」はパレスチナ警察とイスラエル軍当局が共同でされている。そして、村当局者は過去数か月にわたって、各国の大使や宗教指導者、国際代表団を招き、事件を記録した報告書、写真、動画、目撃証言を提供することで、自らの状況に国際社会の注目、理解を集めようとしてきた。だが、村の西側でも暴力は続いており、落胆が深まる中、「国際法や国際社会への繰り返しの訴えが、もはや何の変化ももたらさないのではないか」と理解と協力の可能性に疑問を抱き始めている住民も多い

 ファワドレ神父は、聖地におけるキリスト教徒の存在を守るため、具体的な措置を講じるよう、世界各国、国際機関、そして、善意あるすべての人々に、「聖地は言葉だけでは守れません。具体的な行動によって守られねばならない… 新たな前哨基地の設置を許せば、地元のキリスト教コミュニティに対し、『あなたがたの安全、ここに住み、生活する権利、そして未来は、もはや保障されない』という絶望的なメッセージを送ることになります。手遅れになるまで待ってはなりません。今こそ行動すべき時です」と呼びかけた。

 村の墓地や古代のアル・カデル(聖ジョージ)教会の近くで、入植者グループによって放火事件が発生してから1年経つが、タイベのキリスト教徒たちは、依然として不安を抱えながら生活し、教区の活動も続けられている。161人が参加する村の子供向けサマーキャンプは6日から始まった。タイベの3つのキリスト教共同体―ギリシャ正教会、メルキト・ギリシャ・カトリック教会、ラテン・カトリック教会―の司祭たちが共同で調整して実施するものだ。

 国際社会への信頼は揺らいでいるものの、ファワドレ神父によれば、信者たちは依然として神と教会に信頼を寄せ続けているという。神父は、 「タイベに住む人々を忘れないでほしい。もしこの村から人々が去ってしまえば、世界は、単なる一つのキリスト教徒の村だけでなく、生き生きとしたキリスト教共同体をも失うことになるでしょう」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年7月8日