(2020.2.22 Bitter Winter 周暁路 記者)
一昨年9月にバチカンが中国政府と国内の司教任命で暫定合意したあと、共産党統制下の中国愛国天主協会(CPCA)への加盟を拒む”地下教会”に対する弾圧が激しさを増していることは、繰り返し報道しているが、「信じられない」と言う人々に、実際の映像をお見せする。
中国北西部・陝西省の岐山郡宗務部が昨年12月29日、羅家荘のカトリック教会の取り壊しを命じた。理由は、CPCAへの加盟を拒否したためだ。
ある信者がBitterWinterに語ったところによると、昨年12月のクリスマス前に当局が教会を立ち退かせようとしているのを知り、主任司祭がやめてくれるよう役所に出向いた。だが、役人たちからは「党が宗教活動を厳しく取り締まっており、活動許可証の有無に関係なく、立ち退かす予定になっている」と言われ、間もなく、信徒の浄財で造られた聖堂は跡形もなく破壊された。
聖堂の十字架はすでに一昨年11月に除去され、昨年には二度にわたって手が加えられ、地元住民の「余暇活動クラブ」に改造された挙句の破壊… 80歳代の聖堂責任者は「私たちは聖堂を保存しようと1年間努めたが、無駄になった」と肩を落とした。
陝西省・羅家荘の教会ー十字架を取り去られ、”余暇クラブ”に改造されたあげくに、跡形もなくなった(写真右下)
陝西省・宝鶏市固川村の”地下教会”は、当局への登録を拒否した理由にで、昨年12月に閉鎖された。閉鎖前に外壁に使われていた”聖堂”という中国語文字と屋根に立てられていた3つの十字架は全て除去された。
地元のある役人は「聖堂閉鎖を防ぐことは全くできなかった」と語り、同教会の信徒に1人は「この聖堂は多くの迂余曲折を体験してきました。文化革命の時に撤去され、その後、再建されたのですが、また閉鎖されてしまいました」と嘆いている。
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三つの十字架(左)が撤去され、閉鎖された固川村の教会
党・政府の統制に服した”地上教会”も安心してはいられない。昨年6月に山東省の臨沂市当局は、ある教会に「聖堂が大きすぎる」として、”退去”を命じた。「退去しないと、自分たちが職を取り上げられる」と言い訳をしたという。
そして、2か月後、30を超える部屋をもつ2階建ての教会の建物から、司祭、信徒たちが立ち退かされた。そして、聖像や十字架が撤去され、正門には「党員サービスセンター」の看板が掲げられ、原形をとどめないほどに改造が加えられた。
十字架の塔が撤去(左)され、「党員サービス センター」に変えられた”地上教会”
昨年11月9日には、山東省のあるカトリック教会が、中央政府宗教活動調査班がこの地域を繰り返し訪れた後、聖堂の外に置かれていたマリア像の撤去を命じられ、台座から取り外しを余儀なくされた(写真下)。