・核兵器禁止条約来年一月発行へ-肝心の核保有国は批准せず、教皇の思いは…

 

The mushroom cloud on Hiroshima, Japan, after the dropping of the atomic bomb on Aug. 6, 1945.The mushroom cloud on Hiroshima, Japan, after the dropping of the atomic bomb on Aug. 6, 1945. 

(2020.10.26    Vatican News Staff Writer)

 国連で採択されて3年余りで批准基準の50か国に達したTPNW。アントニオ・グテーレス国連事務総長は「核兵器の使用による人道上の壊滅的な結果に注意を引くための世界的な運動の集大成」と歓迎。

 事務総長は、2017年7月7日の総会で122か国によって採択された協定の批准が、市民社会グループなどの活動によって実現した、と賞賛。「条約の発効は、核爆弾と核実験の生存者への敬意を込めた贈り物であり、その多くの方はこの条約の提唱者でした」と述べた。

 その中で際立っているのは、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)。ベアトリス・フィン事務局長は、発効を「核武装解除の新しい章」として歓迎。 「何十年にもわたる活動は、多くの人が不可能だと言っていたことを達成した」が、条約の批准は「広島と長崎への恐ろしい原爆投下と、核軍縮を礎石にした国連の創設」から75年余りかかった、とし、 「この条約を批准した50か国は、核兵器は不道徳であるだけでなく違法だ、という新しい国際規範を設定する上で真のリーダーシップを示している」と強調した。

 だが、核兵器禁止条約は、核兵器禁止条約に署名することを拒否する国々を拘束するものではない。米国と世界の他の8つの核武装国(ロシア、中国、英国、フランス、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル)は、条約の策定交渉を放棄し、条約を受け入れようとしていない。

 それでも「核保有諸国は、この条約に拘束されなくても、影響を受けることを承知しています。友好国を含めて他の国々からの(核廃棄の)圧力を、どの国も免れることはありません」とフィン事務局長は語った。

 教皇フランシスコとバチカンはこれまで、核兵器に反対する国連と世界の努力を強力に支援してきた。教皇は先月25日、国連創設75周年を記念してのビデオメッセージで、核の軍縮、不拡散、禁止に関する主要な国際的、法的手段への支援強化を国際社会に呼びかけている。

 また昨年11月に日本を訪問された際には、長崎の国立長崎原爆死没追悼平和祈念館で献花された際のあいさつで、1945年8月9日の長崎原爆投下の被害を受けた方々の苦痛と恐怖を思い起こされ、「私たちは、核兵器禁止に関する条約を含む核の武装解除と不拡散ための主要な国際的、法的手段を支援する努力を、決して怠ってはなりません」と訴えられ、広島でも、「核兵器の所持が不道徳であるように、戦争目的での原子エネルギーの使用は不道徳です」と言明されている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年10月27日