・新型コロナ後の教会-”説教調””命令調”から”相互調””対話調”に変わる必要(LaCroix)

(2020.8.19 LaCroix  Michael Kelly SJ

 新型コロナウイルスの世界的大感染が終息したとして、その後に「絶対に同じことが起きない」というのは自明の理だろうか、それとも、起きるだろうか?

 私の友人で、第一線を退いた司祭が最近、新型ウイルス感染防止のための”全面封鎖”にどう対処しているのか、話してくれたー何年か前に30日間の大黙想している間に学んだ”習慣”を実践しているのだ、と。

 「3月下旬、新型ウイルスで”全面封鎖”に入った時、黙想の初めに学んだことをすぐに実行に移した。それは、毎日、決まった時間割を組むことだ」「毎日、同じ時間に起き、ヒゲを剃り、清潔な服を着て、聖堂で時を過ごし、朝食をとる、という具合だ。昼食を終えるとすぐに50分以上歩く… それがきちんとできるのが、とてもうれしいよ」。

 習慣を守り、続けるのは、”完全封鎖”に対処する一つのやり方だ。

 共有された習慣は、当然ながら、人々が共有できる文化を形成する。郊外や村に住む隣人、同じコーヒーショップや運動施設に通う友人たち、同じ教会に出かけ、同じ時間にミサに与る人たちと、共有できる。

 あるいは、そうではないか。

 ある友人とメールのやりとりをしている。彼はオーストラリアを代表するオンライン旅行会社を作り、交通機関や宿泊施設のオンラインによる予約システムをj開発した人物だが、意見が一致したのは、我々の大部分にとって、どのようなことがこれから起きるとしても、それを神はご存じで、我々がやるのはそれを見つけることだ、ということだ。

 それは、これまでそうだったように、我々は自分の人生と行動を取り仕切ることができず、”ニューノーマル(新しい日常、生活様式)”がどうなるにしても、それがはっきりするまで何年もかかるだろうからだ。ものごとをしてきたやり方は、復活させるやり方ではない。もう一度、始めねばならないのだ。

 習慣を共有することが、意識しなくても、知らず知らずになされる可能性がある。そして、カトリックの小教区の日常活動の多くは、非常に長い間、そのようなものだった。だが、ここ4,50年の習慣的にミサに与る信徒の減少が証明するように、習慣を壊すと文化が消える。

 これは、いつかは明らかになるであろう新型コロナウイルス後の世界で、カトリック教会よりもはるかに多く直面する現実だ。

 小売業、旅行業、接客業、あるいは関連産業や雇用創出業に従事している人に聞いてみて欲しい。彼らの未来は不透明であり、行動と相互作用の習慣の破綻に脆弱だ。生真面目な人にとって、日々の枠組みと過程を設定することは、将来の計画を立てる一つのやり方だ。それが、私の年長の友人が自分自身のためにしたことだが、そのやり方は、個人としてのものであり、取り組みは個人主義的だ。

 教会は共同体の建物であり、秘跡は共同体のイベントだ。教会を「メンバーが演習の手順に従い、ドラムに合わせて行進する軍事教練隊」とすることができないなら、個々人の行動様式で共同体の復興の要件を満たすことはないだろう。

 信仰と同様に民族的なアイデンティティーで結ばれた”部族化”された共同体の性格がもっと強ければ、カトリック教会は、共同体的な活動へ機械的に近づくことで、もっと容易に効果を上げただろう。

 教会が、国籍によるつながりを弱め、グローバル化される現在、カトリック教会は”すべての国に福音を伝える”使命を遂行するうえで、新たな領域に範囲を広げている。そして、教会が持ち運ぶいくつかの”お荷物”を考慮せねばならないだろう-それは地球上のいくつかの地域で、打ち壊そうとする力が働いているにもかかわらず、依然として保ち続けられている指導部があるとすれば、あまりにも明白なことだ。

 陸軍の小隊を預かる上級曹長にとって最も適切な”指揮統制”のやり方は、長い間、教会の指導部に期待されてきたものだったー命令を出せば、従順な部隊は指示通りに動く。それは、「聖職者優位の位階制社会」、あるいは、民主的な文化が「”専門家”、”権威者”、そして諸制度と社会全体における役人から出される指示よりも、広告業者がもたらす社会的影響によって形成」される以前に存在した「権威主義的な文化」の中では、機能したかもしれない。

 そうした”お荷物”を処分するために、カトリック教会は「ごく稀に、その行動の中に明白となる何か」を学ぶことが必要となるだろう。教会がメッセージを伝え、使命を果たすためには、メッセージと使命が実際に恩恵をもたらすのだということに、人々を惹きつけ、説得する必要がある。

 度が過ぎた教会の公共的な存在と長広舌は、”監禁”状態の聴衆ーその意見表明の”卓越した論理”と”完璧な権威”に服従する用意のある人々ーを前提とするが、もはやそのような前提は崩れている。だから、”コロナ後”の教会活動は、”説教調”や”命令調”でなく、”相互作用調”、”対話調”なものとして、再開される必要がある。

 優れた教育は常に2つのことに依拠している。それは、教える者が相手の意見を注意深く聴くこと、そして、互いの意思疎通は、現実の、成長を続ける関係に基礎を置くことで、すべてうまくいく、と認識すること、だ。

 生きている共同体での私のすべての経験は、価値が共有され、人生と信仰の旅における栄養の必要が満たされる、生き生きとした相互作用の土台を基にして生まれてきた。そのための媒体は、親密な関係を招き、献身に報いる、相互的、会話的な行動様式だ。再開が真近下に迫っているそれを、我々はどうするか。新型コロナウイルスで,これまでの習慣がシュレッダーにかけられていしまった状態の中での再開… 我々がどこに連れて行かれるかは、神のみぞ知る。だが、そのことは我々をわくわくさせるー我々はそれを見つけることができるのだ。

(Father Michael Kelly SJ is the CEO of UCAN Services.)

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年8月21日