・憲法改正の賛否相半ば、「緊急事態」関心高まるー読売・朝日の憲法記念日世論調査

(2020.5.3 カトリック・あい)

 5月3日の憲法記念日に合わせて、多くの新聞、テレビが、憲法改正の是非などについて世論調査の結果を掲載している。その中で、読売新聞、朝日新聞の代表2紙の内容の概略を比較してみた。

 調査の方法は、いずれも3月から4月下旬にかけて全国有権者3000人を対象に郵送方式で行われ、読売は回答率は71㌫、朝日は回収率は68㌫。

 結果をみると、まず憲法改正の是非について、読売は、「改正する方がよい」49㌫(前回2019年3~4月調査50㌫)「改正しない方がよい」48%(同46㌫)、朝日は「変える必要がある」43㌫(昨年調査38㌫)、「変える必要はない」46㌫(同47㌫)で、いずれも、賛否が相半ばしているが、昨年の前回調査結果と比べると、読売で「改正しない」が2ポイント上昇したのに対し、朝日では「変える必要がある」が5ポイントも上昇しているのが注目される。

 憲法で特に関心を持っている問題(複数回答)という読売の問いには、「戦争放棄、自衛隊の問題」51㌫がトップ。2位は「緊急事態への対応の問題」と「環境問題」が各38㌫で並び、特に「緊急事態」は前回の22㌫から16ポイント上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大で、政府が緊急事態宣言を発令したことなどが影響していると考えられる。

 これに関連して、緊急事態における政府の責務や権限のあり方について、読売は「憲法は改正せず、政府の責務や権限を明記した新法」が49㌫、「憲法を改正し、政府の責務や権限を条文で明記」31㌫、「今のままでよい」16㌫の順。朝日は「大災害時に内閣が法律に代わる緊急政令を出し、国民の権利を一時的に制限するなどの『緊急事態条項』の創設について聞き、「憲法を変えずに対応」57㌫、「憲法を改正して対応」31㌫、「そもそも必要ない」8㌫の順で、いずれも憲法改正無しの対応を支持する意見が多くなった。

 憲法9条に自衛隊の根拠規定を追加する自民党の改正案についての読売の質問には、「賛成」が52㌫で昨年の調査よりも5ポイント上昇、「反対」は43㌫で2ポイント低下した。(毎日新聞も5月3日㌫。「昨年の調査は質問の仕方が異なるため単純に比較はできない」としつつ、昨年の調査結果に比べて「賛成」が7ポイント上昇したのに対し、「反対」は4ポイント低下している。)

 なお、朝日では「憲法を変える機運がどの程度高まっているか」を4択で質問しているが、「大いに」2㌫と「ある程度」19㌫を合わせた「高まっている」が21㌫(昨年調査は22㌫)に対し、「あまり」58㌫と「全く」18㌫を合わせた「高まっていない」は76㌫(同72㌫)で、以前として多くの国民の関心が高まっていないことを示し、憲法の議論は「急ぐ必要はない」と自民支持層の64㌫が答え、無党派層では「急ぐ必要はない」が75㌫を占めた。

 

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2020年5月3日