・息子をウクライナの戦場に送り出されたロシアの母親たちが抗議(VN)

Russian police escort two women away from a protest in Moscowモスクワで、抗議の女性たちを拘束する警察隊  (AFP or licensors)

(2022.3.11 Vatican News  By Sergio Centofanti)

 ロシアの不当な軍事侵略に対して、ウクライナの人々は自由を守るため必死の抵抗を続けているが、一方のロシア国内では、息子たちがウクライナと戦うことを知らされないまま、戦場に送り出され、安否を知らされない母親たちの街頭での抗議の動きが、首都モスクワなどで起きている。

 勇気ある母親たちは、息子たちが知らないうちにウクライナを侵略するために送られたことを知って、抗議することを恐れない。戦場に送り出されている徴収兵の中には、年配者も、戦いを望まない若者がいる。

 ロシア当局の宣伝工作や偽の情報の拡散により、ウクライナ軍事侵略に息子が駆り出されていることに納得してしまう母親もいるが、自分たちが騙され、利用され、息子たちがウクライナ人を殺し、自分も命を落とすために戦場に送られたことを知った場合、抗議の声は、それがもたらす制裁も越える。

 プーチン大統領は、ウクライナ侵略について口にするだけで1最高15年の懲役に処するという法律を施行したが、それにもひるむことのない母親たちにの反抗に、プーチン政権は手を焼きそうだ。

 母親たちが街頭に出て抗議のデモに加わり、殴られ、逮捕されている。だが、母親たちにとって、自分の子供がすべてなのだ。息子たちが今、どこにいるのか、大砲のエサのように前線に送られた息子たち、当局が彼らの現状を話そうとしない… 息子たちがどうなっているのか、母親たちは知りたがっている。

 ウクライナ側に捕らえられた息子たちは、泣きながら電話をかけることができたので、希望を持つ母親がいるー「まだ生きている」と。戦線を離脱して逃亡する若い兵士もいるーなぜ、このような戦争のために死なねばならないのか、理解できない… そして、兵隊に駆り出されたロシアの人々が相手にしているのは、プーチン独裁政権の奴隷にされることを拒否し、自由を守ろうと、勇気ある抵抗を続けるウクライナの人々だ。

 ロシア兵の中には、”ナチス”の手にある人々を解放するために戦っている、という嘘を信じている者もいる。侵略者から故郷を守るために戦っているのだ、と信じる者もいる…だが、その嘘を見破るには、ロシア軍の戦車が蹂躙する街頭に年配の、女性の、武装していないウクライナの人々が出て、ロシア兵に「出ていけ」と叫ぶのを見るだけで、十分だ。ウクライナの人々は、自由に、自分の意志で将来を決めることのできる国を守る必要がある、と確信し、抵抗を止めることはない。

 ロシア軍がウクライナ全土で、民間人を殺戮し、飢えさせ、家、病院、学校、教会を破壊する残虐行為を続けている。ロシアの指導者たちは戦いに勝てると考えているが、自由を求めて戦う人々を滅ぼすことはできない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年3月12日