・マリウポリで支援活動中のカリタス・ウクライナのスタッフ、家族7人をロシア軍が殺害

An image of the devastated city of Mariupol in UkraineAn image of the devastated city of Mariupol in Ukraine 

(2022.4.12 Vatican News  Alessandro Gisotti)

   ウクライナへ一方的な軍事侵略を続けるロシア軍は、同国南東部の港湾都市マリウポリで大勢の民間人を殺害しながら、なお陥落を目指して攻撃を続けているが、同地で被災者の支援を続けているカリタス・ウクライナのマリウポリ事務所が攻撃され、カリタスの女性スタッフとその家族、計7人が殺されていたことが、11日明らかになった。

 カトリックの国際援助組織、カリタス・インターナショナルのアロイシウス・ジョン事務総長は「カリタスの仲間たちの悲劇に驚き、衝撃を受けています。悲劇の中にいるカの仲間と家族の皆さんの悲しみに心を合わせます」と述べ、犠牲者たちに深い哀悼の意を捧げた。

 現地のカリタス関係者によると、7人が殺害されたのは、3月15日。ロシア軍の戦車がカリタスのマリウポリ・センターに砲弾を撃ち込み、センターに避難していた2人の職員と5人の家族を殺害した。カリタス・ウクライナのタチアナ・スタウニチイ代表は、「犠牲者の家族のために、皆さんの連帯と祈りが必要です」と訴えた。

 現段階では、マリウポリとの連絡が絶たれているために、現地のカリタス事務所にアクセスできず、カリタス・ウクライナはそこで起きたことを把握するための情報収集を続けている状態だという。

 カリタス・インターナショナル会長のルイス・アントニオ・タグル枢機卿は、Vatican News の取材に対して、「自分たちの命を危険にさらし、戦争で荒廃したウクライナに留まって人々を助け、戦闘を終わらせるよう心から訴え続ける方々の証しは極めて価値あるもの」としたうえ、改めて、ロシア軍の即時攻撃停止を強く求め、以下のように語った。

VN: マリウポリのカリタスセンターが攻撃されました。 2人の女性スタッフを含む少なくとも7人が亡くなっています。この悲劇的なニュースについてどう思いますか?

タグレ枢機卿: 殺害のニュースに深い悲しみとショックを感じます。カリタス・インターナショナルは、亡くなった方々、負傷された方々とその家族の皆さんに哀悼の意を捧げます。このような悲しみを繰り返さないためにも、残忍な行為を一日も早く終わらせ、対話に戻り、すべての人が兄弟姉妹となるために、あらゆる努力をせねばならない、と世界に訴えます。

VN: ウクライナの人たちを助けるために、自分の命を危険にさらしながら、活動を続けている人たちにおっしゃりたいことは?

枢機卿: 命を危険にさらしている男女の方々に心から感謝します。あなたがたは、聖なる行い、聖なる働きをされています。あなたがたは、無私無欲の行いによって、世界を変える真実、正義、愛と平和の種を蒔いています。神は、あなたがたの努力が無駄にならないようになさいます。あなたがたの行いは必ず、実を結びます。

VN: 犠牲になったカリタスの人道支援活動に従事している人々、そして恐ろしい残虐行為のすべての犠牲者を称えるために、私たちには何ができるでしょうか?

枢機卿: 私たちは、人道支援活動をされていた方々とその家族のために祈ることで、彼らの犠牲を心から称えます。私たちは、神が、無欲で奉仕する人たち、正義を行なう人たちの叫びを聴いておられると信じ、人道支援活動を行う組織が提供する奉仕の価値を確認することで、彼らを称えます。神に祈り、平和を願い、そのために働く善意の人々に訴えることで、彼らを称えます。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年4月12日