・”シノドスの旅”に懸念と希望ー女性神学者たちが意見交換(LaCroix)

(2021.7.1 La Croix International Jo Ayers, Fiona Dyball, Elizabeth Young, Kate Bell | New Zealand)

 教皇が提唱された”シノドスの旅”について、女性の神学者たちは、「一般信徒たちが関与しない旅は、排他的で、『内外に開かれた教会』の観点から、むしろ逆の効果をもたらす可能性がある」と警告している。

 警告は、オーストラリアの女性神学者たちが企画したインターネット会議Flashes of Insightでの議論の中で出て来たもの。

 参加者の一人、ニュージーランドのオークランド在住の神学者、ジョー・アヤース女史は、現在、オーストラリアの司教団が進めている地域シノドス総会の準備状況を見たうえで、「『協働的な識別』は容易でも、速やかにされるものでもない。教会の”専門家たち”に任せる方が適当と思われるプロセスについて一般信徒にどれほど多くの時間と努力を払わせるか、という問題です」と指摘。「一般信徒が関わらない”旅”は、教会を、少数者によって造られた壁に囲まれた庭に戻すことになるかもしれない」と述べた。

 そして、総会に向けた取り組みに、どれほど多くの一般信徒の声を取り込んでいるか、について疑問を呈し、「対話から一般信徒を締め出すことは、カトリック信徒の大多数を今よりも一層、脇に追いやる重大な潜在的可能性をもたらします」と語った。「総会で取り上げるべき議題について、そして誰が議題の決定権をもつのかについて、多くの論議と争いが起きている」とも指摘した。

 Flashs of Insightの4人の発言者が教会の変革に希望を持ち、実現を望んでいる。皆が教会に変革が必要なことを認識している。だが、総会が”普通のカトリック信徒”の声を反映したものになっているかについて、疑問を持っている。

 オーストラリアで司牧関係の活動に従事し、神学者で学校付のチャプレンでもあるエリザベス・ヤング女史は、「オーストラリアの地区シノドス総会を”会衆席の信徒たち”に多く広げることに反対の意見があります。”草の根”のレベルで多くの人々が、総会の準備に大変な努力を払っているが、その範囲が少々、まだらになっている。人々の中には、とても”遠く”に置かれていると感じでいる人もいます。総会に向けた準備がずっと遠くで行われており、どうやってそれに関与していいのか迷ったままにされているのです」

 オーストラリアのカトリック教会を “blokey culture at the top”とするのは、Flashes ofInsightの主宰者、ジョー・グレイランド女史は、参加者たちに、オーストラリアの教会会議総会は結局、何も生まずに終わるのだろうか、と質問した。

 同国のカトリック司教協議会で典礼と信徒の育成に関わっている神学者、フィオナ・ダイボール女史は、「私たちは変わらねばならない。そして、私たちがどのように変わるかは、他人との関わりを通してです」と述べ、周囲の社会を見、姿勢の変化を知ることが重要、と指摘した。そして、「変革は一夜にしては起らず、困難で、長くかかるものですが、実際に起きています」と語り、触媒として機能し、この変化に気づき、オーストラリア教会の内部で変革が進むのを助けている修道会の努力に注目した。

 パルマーストン北教区でカテキスタとして働いている神学者のケイト・ベル女史は、ドイツの教会の教会会議総会への取り組みについて、「ドイツ教会と何人かの教会指導者たちが、必死の努力を続け、国内外からのかなりの批判にもかかわらず、議論を続けていること」に注目。オーストラリアの教会も、こうした対応を見習い、総会への取り組みを「司教協議会が、各教区の教会共同体が求めていることに対して、積極的に応じる機会とする」ことへの期待を表明。”転機”は、”重労働”だが、希望がある、と強調した。

 

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2021年7月3日