Sister Dolores Zok, bottom left, with some Ukrainian displaced people who stayed with her congregation after fleeing their country. (Credit: Sister Dolores Zok.)
(2022.6.3 Crux Rome Bureau Chief San Martín)
ローマ発–ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻を命じてから3日で、100日目を迎えた。この間、700万人近くのウクライナ国民が国外に避難を余儀なくされ、そのほとんどが女性と子供だ。
隣国ポーランドは少なくとも400万人の避難民を受け入れており、そのうち少なくとも2万1000人にとって、女子修道会が運営する1000の施設や修道院がなければ、安心して避難できる場を見つけることはできなかっただろう。
Mission Congregation Servants of the Holy Spirit(聖霊奉侍布教修道女会)のシスター、ドロレス・ゾクはCruxの電話取材に、「ポーランドには今も、新たな避難民が到着し続けています。先週の土曜日に電車でワルシャワに行きましたが、ブダペストから多くのウクライナ人、特に女性と子供たちが目立ちました」と語る。
そして、「他の欧州諸国では、避難民は3か月しか滞在できませんが、ポーランドでは、現在18か月滞在できます。そして 、短期滞在の後、カナダ、ドイツ、あるいは米国に行こうとする人たちもいます」と説明。
ポーランド修道会協議会の会長でもあるシスター・ゾクによると、同国の主要な修道会はこれまでに自分たちの管理・運営する550の修道院や施設を避難民に開放し、2万1000人に住まいや食事の提供などの支援を行っている。「支援のためには、例えばガス代など出費が重なります。これからどうやって支援に必要な資金を確保したらいいかを考えると、夜も眠れない日が続いています」と訴えた。
以下は、シスター・ゾクのインタビューの要旨。
Crux:ポーランドの女子修道会は、ウクライナから避難して来た人たちために、修道院や関連施設を開放しています。現在の状況はどうなっていますか?
Zok:戦争が始まった時、私たちは、予期しない事態に非常に驚き、ショックを受けました。多くのウクライナ人がポーランドに到着し始め、私たちは彼らに門戸を開くことに決めました。主な修道会がポーランド全体で約850か所の施設を避難民に開放しています。ウクライナに残った人たちのための避難所が95か所あり、そこでもポーランド人のシスターが奉仕しています。
国境の町、プシェミシル、ジェシュフ、ルブリンなどには、避難先に向かう途中の人たちの一時休憩の場所として、いつもにぎわっています。また避難民は、ポーランド中の修道院に助けを求めて訪れます。私たちの聖霊奉侍布教修道女会は、国際的な奉仕活動を展開する修道会ですから、その経験を生かすことができる。私の修道院だけで現在50人を受け入れています。彼らのために敷地内の建物の一つを改装し、彼らが生活できるようにしました。もちろん食事も提供しています。また、女性たちの中には仕事を探しに出かける人もおり、子供たちは学校に行くので、うまく順応できるように、ポーランド語を教えています。
そうしている間にも、避難民の入国は続いています。私は先週の土曜日に首都のワルシャワに出掛けましたが、ハンガリーのブダペストから、たくさんのウクライナ避難民、特に女性と子供たちが到着していました。他の欧州諸国は、避難民の滞在を3か月しか認めていませんが、ポーランドでは現在、18か月の滞在を認めています。ここから、さらにカナダやドイツ、米国に行こうとする人もいます。
Q: ウクライナからの避難民のうち、ポーランドの修道会が関わった人の数はどれほどでしょう?
A: 私が持っている統計によると、現時点で、ポーランドの女子修道会が550か所の修道院や関連施設を避難民に開放し、約2万1000人を支援しています。滞在期間は、数日、10日など様々で、短期滞在の後、仕事を見つけて別の所に引っ越した人もいれば、海外に出た人もいます。
Q: 1つの修道院で1000人以上のウクライナ人を受け入れている、という話もありますが?
A: それは事実ですが、そうした修道院は国境にあり、人々は数日の短期滞在です。食事をし、睡眠をとり、必要なものを手に入れたら、他の町に移って行きます。
Q: 収容している避難民への食事の提供はどうしていますか。光熱費なども含めた出費の増加にどのように対応していますか?
A: 私たちの修道院は、ポーランド西部のラチブシュにあります。特にロシアがウクライナ侵攻を始めた当初は、自宅に避難民を受け入れることのできない多くの住民が、私たちのところに「避難民のために」と食料、衣服、薬などの物資を持ってきてくれました。今はめったにそういうことがないので、費用は修道院で負担していますが、カリタス・ポーランドや、ローマの修道会総長連盟を通しヒルトン財団から、そして米国その他の国の多くの財団から財政支援を受けています。また、国にも、非難民を受け入れている一般家庭と同様、いくらかの支援を求めることができます。そして、私たちは国際的な修道会なので、その助けを得ています。
Q: ロシアのウクライナ侵攻が始まった時の、ポーランドの人々が見せた対応をどう思われましたか?
A: 本当に驚きました。感動的でした。 私は第二次世界大戦前にドイツの一部だった地域の出身です。ドイツ系の人々がいて、戦争中にロシア軍が私たちを酷く苦しめました、当時を知っている年配の人たちは、そうした苦しみを覚えています。 ですから、非難してくるウクライナ人を迎えようと何人のもポーランドの人々が国境に行くのを見て、とても心を打たれました。
多くの家庭がウクライナの人々を自宅に受け入れ、よく世話をしてくれていますが、何か月も続けるのが難しい家庭もあります。速やかに平和が回復され、人々が政府の適切な支援を受けて、故郷に戻れるのを願っています。 また、多くの避難民はウクライナに戻ろうとする一方で、長期滞在が認められていない欧州の他の国々からポーランドに来る人が続いている、ということも指摘しておきます。
Q: あなたが出会ったウクライナ人のほとんどが帰国を希望しているのでしょうか?
A: 私の知る限り、そうです、彼らはどうしても戻りたいのです。彼らは、私たちと非常によく似ていて、自分の国をとても愛しています。非難している間も、心はウクライナにあり、自分の子供たちの未来を確かなものにするために、どうやって働けばいいかを考えています。ウクライナに関するニュースを絶えず追っています。
Q: ウクライナ侵攻が始まって以来、夜遅くまで眠れずに心配していることがありますか?
Q: ウクライナ侵攻が始まって以来、夜遅くまで眠れずに心配していることがありますか?
A: 私の活動に資金援助を受けていますが、光熱費が高騰を続けるなど、支援活動に支障が出ないか心配です。それよりももっと心配なのは、私たちが与っている避難民の家族のことです。ロシアの軍事侵攻で多くの家族が離れ離れになっており、父や夫、兄弟はウクライナに留まっています。彼らの心理的な苦痛がとても気がかりです。多くの人々が悲しみに打ち勝ち、ロシア人を赦すことは難しいかもしれません。軍事侵攻が始まる前は、多くのウクライナ人とロシア人は友達同士でしたが、和解には、時間がかかるのではないかと心配しています。