・ウクライナ・マリウポリの母親たちから教皇に助けを求める手紙

An aerial view of Mariupol devastated by the bombingsAn aerial view of Mariupol devastated by the bombings  (ANSA)

 バチカン・人間開発の部署暫定長官のマイケル・チェルニー枢機卿が20日、ロシア軍の攻撃で崩壊寸前のウクライナ・マウリポリの避難所から脱出できずにいる母親たちから、教皇フランシスコ宛てに出した手紙の内容を明らかにした。

 ロシア軍が激しい攻撃でマリウポリのせん滅を図ろうとし、これに対してウクライナ兵たちがアゾフスタル製鉄所に立てこもって抵抗を続けているが、製鉄所の構内には約1000人の市民が避難しており、ウクライナ政府は、彼らを安全に製鉄所から脱出できるよう努めている。

 ウクライナのイリーナ・ベレシチューク副首相は20日の声明で、ウクライナ軍が安全を確保しているザポリージャへの”人道回廊”を設定する「予備的合意」がロシア側と出来ている、とし、20日午後から女性、子供、そして高齢者を対象としてマウリポリ、とくに同製鉄所からの避難が始まるだろう、と期待を述べている。

*マリウポリにはまだ10万人が脱出できずにいる!

 2月24日にロシア軍が侵攻する前に40万人が住んでいた港湾都市マリウポリは、7週間にわたる執拗なロシア軍の攻撃で徹底的に破壊され、数千人にのぼる市民が殺害されているが、なお、推定10万人が、食料、電気、飲料水、負傷者を手当てする医薬品の支援も得られないまま、市内に閉じ込められている。ロシア軍が、同市からの避難を妨害し、約束した”人道回廊”を非難する人々に発砲する事態も伝えられ、動けずにいるのだ。

 

*枢機卿に託された教皇への2ページにわたる手紙

 こうした危機的状況にあるマリウポリの母親たちのグループは、民間人と負傷した兵士を避難させることができるように支援を求める教皇フランシスコ宛ての手紙をチェルニー枢機卿に託した。「マリウポリを守る母たち、妻たち、そして子供たち」が署名した2ページの手紙は、ウクライナ国営テレビ「UATVチャンネル」の記者サケン・アイミュルザエフから枢機卿に渡された。

 枢機卿はVatican Newsに、「この手紙の内容は、教皇がこれまで繰り返し批判されてきた全面戦争の理不尽さに、さらなる証拠を提供するものです」と述べ、教皇の次のような返事を読み上げた。

 「戦争で破壊されたウクライナに平和がありますように。ウクライナは、残酷で無意味な戦争の暴力と破壊によって苛酷な試練に遭わされています。耐えがたい苦痛と死の恐ろしい闇夜の地に、希望の新たな夜明けがすぐに来ますように!平和のための決断をさせましょう。人々を苦しめる“力自慢”に終止符が打たれますように。どうか、戦争に慣れてしまわないように!私たち皆で、バルコニーから、そして街中で、ひたすら平和を願いましょう!」

*人道にもとる大惨事だ

 母親たちの手紙は、数週間にわたる執拗な砲撃によって「灰になり」、「21世紀のヨーロッパにおける前例のない人道にもとる大惨事」の震源地となった、虐待されたこの都市の苦しみと苦しみを語っています。

 署名者たちは、この大惨事が、国際人道法によって保護されるべき人々にとって、「無差別攻撃」、不当な破壊、そして言いようのない苦しみを含む、この都市の包囲の「容認できない」問題に改めて世界の人々が注意を向けるよう、強く求めている。

 

*苦しんでいる人を助けることはまだできます!

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年4月21日