・ウクライナで奉仕中の修道女が告発「ロシア兵たちは、市民を”虐殺”している」(Crux)

French forensics investigators look at remains of bodies of burned civilians exhumed from a grave in the town of Bucha, Ukraine, April 12, 2022. (Credit: Valentyn Ogirenko/Reuters via CNS.)

(2022.4.25 Crux  Contributor irmala Carvalho)

Religious sister in Ukraine says Russian soldiers ‘butchering’ civilians ウクライナ西部で奉仕活動中のインド人修道女が、ロシアの兵士が彼らが侵入した地域で無実の民間人を”虐殺”している、と告発した。

 仏アルザスに本部を置く聖マルコ・聖ヨセフの姉妹会のシスター・リジー・パイヤピリーは現在、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアとの国境に近いウクライナのムカチェヴォにいる。この町は、ロシア軍から激し攻撃を受けている東部からの避難民を受け入れ、国外脱出の中継点でもある。

 シスターはCruxの取材に対し、「ロシアのウクライナ軍事侵攻では、武器の乱用だけでなく、罪のない女性と子供に対する虐殺と抑圧、そして残忍な性的暴行も伴っています」と語り、ロシア軍が犯している人権侵害と戦争犯罪の報道が真実であることを確認した。

 *ロシア兵が非武装の男性が至近距離で射殺

 「これが、私たちが『戦争』と呼ぶものの実態なのでしょうか?武器を持たない男性を至近距離から打ち殺し、子供たちの前で若い女性を、母親をレイプし、妊娠中の女性を残酷に傷つける… どうして、こんなに残酷の振る舞いができるのでしょう?」。

 ロシアの軍事侵略が始まって以来、ウクライナ西部の修道院やその他の宗教施設は、避難民を積極的に受け入れてきた。そのほとんどは女性と子供たちだ。「避難して来た女性たち、少女たちは、自分たちが受けた虐待について語ります。ロシア兵から受けた残忍な行為に今も苦しんでいる。女性たちは、”戦争の武器”としてレイプの脅威を心身に刻み付けられています。あるロシア兵は、6歳の息子の前で母親を拷問し、殺害しています」と訴えた。

 *息子の目の前で母親が…そして少女たちも…性的暴行の犠牲に

 さらにシスターは、「残酷な性的暴行を受けた母親は、息子の目の前で、心身の苦しみに耐えられずに亡くなりました。 カーギフでは、車のタイヤの下に6体の女性の遺体が見つかりました。ロシア軍は大量虐殺を行なっており、道端に遺棄された遺体には腕も脚もない。埋葬に何日かかるか分からない状態です」と述べ、 「これは無実の人々の虐殺です。文明社会はそれを承認することはできません」と強く批判した。

 そして、 ウクライナでの悲惨な戦争は「(ロシアが最初にクリミアとウクライナ東部の一部を占領した)8年前に始まりました。2月24日にロシアが始めた今回の軍事侵略は、私たちにとっての”聖金曜日”になりました。イエスがゴルゴタの丘に上ったとき、顔と衣が血で覆われていたことを私たちは知っています。同じことが今日、ウクライナでも起きている。罪のない人の血は至るところで流されています」と語った。

 *侵略が進むほど、さらに多くの無実の人の血が流される

 シスターは、「聖母マリアが愛する子が掛けられた十字架の下で嘆き悲しんだように、ここには、子供たちを悼む多くの母親たちがいます。私は、『マリアがウクライナの母親たちのために、主に執り成しをしてくださる』と確信しています。マリアは、母親たちの痛みを理解なさいます」とする一方で、「ウクライナにとって、ロシアの侵略が進めば進むほど、さらに多くの罪のない人々、特に女性と子供たちが命を落とすでしょう。ここには、ロシア兵に性的暴行を受けた9歳、10歳、そして11歳の少女たちがいる。今日、ゴルゴタは、本当にウクライナにあるのです」と嘆いた。

*聖母マリアは、母親たちの嘆き悲しみを分かってくださる

 それでも気を取り直し、 「主の復活が、(主が亡くなられた)聖金曜日の後に来ることを、私たちは知っています。神が私たちと共におられることを信じ、知っています。主が復活される日も、私たちのためにやってくるでしょう。そして、私たちの苦しみは終わります。復活の夜明けが、私たちにも来るように祈りましょう」と自らを励まし、「イエスは、私たちのために死にました。そして、私たちの苦しみを知っておられ、理解してくださいます。私たちは主の復活、そして、ウクライナにとっての希望と平和の復活を待ち望みます」と力を込めた。

*主よ、害をなす人々の心をあなたに開き、戦いを止めてください

 シスターはまた、歴史を共有する正教会の国であるウクライナとロシアが戦い続けていることを悲しみ、 「神の民が争っている。兄弟が平和から離れ、互いに戦っている。これは悲しむべきこと。どうか、神が、害をなす人々の心をあなたに開かせ、この戦争を止めてくださるように、ウクライナの平和を祈りましょう」とロシアとウクライナの人々、そして世界の人々に訴えた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

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2022年4月26日