(2025.5.5 La Croix Arnaud Bevilacqua)
教皇フランシスコの死後、世界中からバチカンに集まった枢機卿たちは、1週間以上にわたって毎日、”密室”で会合を開き、カトリック教会が直面する課題について話し合い、次期指導者のプロフィールを形成してきた。
朝と夜だ。それが枢機卿たちの会議の頻度であり、全体会議(コンクラーベに向けた準備会議)のペースを上げている。5月3日、彼らはこれらの会議の頻度を増やすことを決定した。その結果、5月5日には午前9時から午後零時30分まで、また午後5時から7時まで開かれることになった。
この決定の背景には何があるのだろうか?何人かの枢機卿から、「お互いを知り、深く耳を傾けるのに、十分な時間がない」という懸念の声が上がった。133人の枢機卿選出者のうち、スペインのアントニオ・カニサレス枢機卿とケニアのジョン・ンジュ枢機卿の2人は健康上の問題で欠席する。多くの枢機卿は遠く離れた国から来ており、互いに初対面である。
アルジェリアのジャン=ポール・ヴェスコ枢機卿は5月3日、パウロ6世ホールに入る前に記者団に対し、「共に祈るにはもっと時間が必要だったでしょうが、その時が来れば、私たちは準備ができており、主の意図する教皇を教会に与えることができると確信しています」と語った。
教皇フランシスコの死後、これらの会議ではどのような重要なトピックが浮かび上がったのだろうか。それはおそらく、教会の喫緊の課題に対応するために次期教皇が備えていなければならない、と枢機卿たちが考えている資質を知る手がかりになるのだろうか。
*カトリック教会が直面する主要課題
枢機卿たちは 「教会と現代世界との関係」、「福音化」、「福音を宣べ伝えることと日常生活の中で福音を実践することの間の一貫性の必要性 」について、かなりの時間を費やして議論してきた。他のキリスト教宗派や世界宗教との宗教間対話も議題となっている。
「聖職者の性的虐待」という重大な問題は、明確かつ繰り返し取り上げられた。
教会内部の問題としては、教会内の分極化、司祭や修道者の召命の減少、バチカンの財政難なども表面化している。教皇フランシスコが強調していたシノダリティ(共働性)については、しばしば彼に関するより広範な議論と結びついた、もうひとつの繰り返されるテーマである。
5月3日、多くの枢機卿は、次の教皇が 「内向きにならず、世界に出て行き、絶望に満ちた社会に光をもたらす教会を導くことができる、預言者的な精神を持った教皇 」であってほしい、という希望を強調した。
*対話する世界の教会
全体会議では毎回、14人から34人の枢機卿が発言し、世界の教会の多様性を反映した5分間の演説を行っている。La Croixの取材によると、マルセイユのジャン=マルク・アヴェリン枢機卿は土曜日の総会でイタリア語で演説した。「私の興味は、世界のさまざまな地域で教会が現在どのような立場にあるのかを理解することです」とある欧州の枢機卿は語った。別の枢機卿は、「私たちは多くの枢機卿を初めて知り、教会の普遍性を感じている 」と付け加えた。
枢機卿たちは5月7日、教皇フランシスコの後継者を選出する、という厳粛な任務を帯びてコンクラーベに臨む。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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