(2026.9.24 カトリック・あい)
カトリック広島教区長の白浜満・司教がこのほど健康上の理由から教皇レオ14世に退任願いを提出、21日の同司教の叙階10周年を記念する「教区の日」のミサの終わりに、駐日教皇大使のモリ―ナ大司教から、教皇がこれを受理した旨の発表があった。
これを受けた形で、白浜司教が22日付けで教区の全信者向けに「霊的花束への感謝と新司教選出の向けてのお願い」と題するメッセージを発出。
司教になって十年の間、信仰の旅路を歩む機会が与えられ、微力ながら幸せな日々を過ごすことができた、とし、自分を支え続けてくれた司祭団、修道者、信徒にお礼を述べたうえで、「『共に歩む温かさのある教会』を目指して…福音宣教により一層、力を入れて行かねばならない立場にありながら、私の健康(具体的には、以前から続いていた聴覚障害)が悪化し、皆さんに…ご迷惑をおかけするようになってきました」と告白。
教会法の規定(健康上に理由により職務遂行が困難になった場合)により、3月に教区長としての退任願いを教皇大使に出したことを明らかにするとともに、後任司教が決まるまでは、通常の司教としての職務を継続する、という「特別な配慮」も与えられた、としている。
*健康上の問題が明らかになったのは、白浜司教だけでない、大阪の酒井補佐司教も
白浜司教は1962年5月20日生まれの64歳。75歳の”司教定年”まで11年を残しての退任だ。
2016年6月に前教皇フランシスコによって広島司教に任命され、教皇来日を機に2020年7月に「核なき世界基金」設立したのを始め、カトリック教会が現在進めている”シノドス(共に歩む教会)の道”において、教区の小教区や集会でその概要や意義を講話を続け、シノドスの精神や「共に歩む」ための源泉として、典礼の学びを深める活動に関わるなど、消極的な日本の司教団の中で、例外的とも言える積極的な取り組みを進めてきた。それだけに、今回の辞任によって、日本の”シノドスの道”の歩みがさらに停滞することが懸念される。
健康上の問題が明らかにされたのは白浜司教だけではない。大阪・高松教区では、近く”枢機卿・大司教定年”に達する前田万葉・教区長の後任の有力候補と目されていた、酒井俊弘・補佐司教について、9月9日付けで、同教区事務局長による教区の信者あての「酒井補佐司教の病気と治療に関するお知らせ」が発出され、8月に膀胱がんの切除手術を受け、その後、免疫療法を続けており、「副作用などの問題が無ければ、日常の務めは通常通り果たせますが、治療日程を優先させる必要があり… 当面は教区の仕事ならびに司教協議会における役割に専念されることになる」と説明した。
*7年前、任期を10年以上残して辞める司教が相次いだ機会に提言した教区と司教ポストの削減
お二人には、一日も早い治癒をお祈りするが、この機会に日本の信者、なかんずく司教たちが真剣に考えるべきことがある。
「カトリック・あい」は7年前の2019年5月に「”定年”まで10年以上残して辞任する司教が6年で3人—明治に出来た教区割、”司教定員”見直し必要?」と題する記事を載せ、今でも多くの方が閲覧しており、9月24日現在の累計閲覧件数は8000件を超えている。
この記事では、見出し通り、「健康を損なうか、または他の重大な理由により、司教の職務を続けることが困難になった場合」に限り辞任を認める、という教会法401条2項の定めに該当するとは思われず、「説明責任」も果たされないままの辞任であることを指摘。
「わずか43万人の信徒に対して16教区に、16人もの司教ポスト(当時)がある。東京教区の麹町教会一つの信徒数にも満たない教区が7つもあり、それぞれに司教ポストがある… 司教の人材不足が言われる中で、現状の教区数、司教ポストを維持する必要があるのか」と強い疑問を呈し、この機会に、JRが北海道、東日本、西日本、四国、九州に分かれているのになぞらえて、抜本的な教区再編統合、司教ポストの削減を提言していた。
白浜司教も現在、64歳で、65歳の”司教定年”まで11年を残しているが、教会法の規定を満たすものであり、ご本人には、この記事の指摘には当然、当たらない。だが、記事の後半部分、辞任が続出する機会に、教区の再編成、司教ポストの削減を求める主張は、7年経った今、さらに緊急性を増している、と言える。
*7年後の今、信徒、聖職者は減り続け、教区も一つ減ったが、司教は逆に増えている
8月に発表された「教会現勢」では、2025年末現在の信徒数は、さらに40万3700人にまで減っている。聖職者・修道者・神学生も5370人で、ここ10年で見ても25%強の減となっているが、司教は、教区が15に減っているのに、前年より2人増えて29人だ。補佐司教が14人もいる、ということになるのだろうか。あるいは早期退任した”元司教”もカウントされているのか、「教会現勢」では明らかでない。
*今年から来年にかけて”定年”を迎える司教が5人、さらに広島司教も
今年の年頭の巻頭言で、日本の教会で今年から来年にかけて”定年”を迎える司教が相次ぐ問題を取り上げた。
筆者が調べて限りでは、福岡のアベイヤ司教が現在76歳、鹿児島の中野司教が4月15日で75歳になり、さらに横浜の梅村司教が来年6月14日で、名古屋の松浦司教も来年9月28日で75歳。大阪の前田万葉大司教が枢機卿なので75歳の”司教定年”は適用されないが、教皇が示唆された枢機卿・大司教”定年“77歳に、今年3月3日に達している。さらに今回、白浜司教が退任することになった。慣例通りであれば、6人の教区長・司教ポストが空くことになる。
*教区、司教ポストのスリム化を図り、”精鋭”による連帯で”シノドスの道”を歩む機会とせよ
2019年の記事で「司教の人材不足が言われる中で」と書いたが、現在ではさらにはなはだしくなり、司教団の連帯も崩れたままになっている、との指摘が、聖職者の中にもある。そうした中で、これまでの惰性で、それぞれの教区の判断で新たな司教候補を選び、あるいは他教区の補佐司教で空席を埋めることで、バチカンに判断を委ねるのがいい、とは思われない。
この機会に、日本の司教団が一致、協力して、教区、司教ポストをスリム化し、強固なリーダーシップをもった”精鋭”が連帯して日本の信徒と共に”シノドス(共働性)の道”歩むことのできる体制に取り組むことが、2019年の記事で再編を提言した時よりも、はるかに強く求められているのだ。
(「カトリック・あい」代表・南條俊二)