(2025.5.9 La Croix Arnaud Bevilacqua and Mikael Corre, Céline Hoyeau, Héloïse de Neuville, Matthieu Lasserre, Dorian Malovic, Mélinée Le Priol, Nicolas Senèze, Malo Tresca)
虐待から外交、性倫理から教会改革まで、新教皇は相当な課題に直面している。La Croixは、レオ14世を待ち受ける12の主要な優先事項、つまり、緊張した世界と教会において、預言的な権威と信頼性の両方をもって語る彼の能力を形作る問題を概説する。(写真は pixabay.com より)
①女性と一般信徒の役割向上
2024年10月の議会は、最も多くマークされました 教会の歴史における女性を含むシノドス。約50人の女性が参加しました。 シノドス第2会期で投票した。投票権 2023年に女性に与えられた米国聖公会の集会は、最も大胆なジェスチャーの1つでした フランシスコの女性に対する教皇の。
もう一つの大きな変化は、 一般の人々(男性であれ女性であれ)が、バチカンの省のトップに立ったことだ。その最初の女性はシスター・シモーナ・ブランビラだった。そしてフランシスコの下で約20人の女性たちが主要なバチカンの部署のポストに配置された。
新教皇がこれらの改革を覆すと期待する人はほとんどいない。だがしかし 彼はどの方向に進むのか?
大きな問題の1つは、 女性に司祭叙階の道を開くのか。多くの神学者は、聖書的な根拠が強くないと考えているが、 彼らの叙階を否定し、それは公式に禁止されているが、” シノドスの道”の歩みの中で、繰り返し再浮上してきた。
また、不確かなのは、これが、フランシスのビジョンであるかどうかだ。 「シノドス教会」—すべての洗礼を受けた人々を対話に導き、分かち合う教会。その 責任は、彼の教皇職を超えるかも知れない。
②緊張が深まる道徳と性に関わる問題への対処
これは、教会で最も論争の的となっているものの一つだ。表に出して世界に語りかけることの難しさがもとになっている。世界中の信者たちは、それが 道徳と性的な教えに関わるものと受け止めている。
2023年12月の出されたFiducia Supplicansで、 同性カップルの非典礼的祝福を条件付きで許可されたことで、緊張が頂点に達した。アフリカの一部の司教団は、これを拒否した この文書は、欧米の多くの人々が長年の懸案の解決の第一歩と歓迎したものの、受け止め方の”南北格差”が拡大し、統一性と一貫性が衰えた教会に分断の恐れが高まっている。。
緊張の根底にあるのものの一つは、相対主義に対する保護手段として教義の明快さを求める声。 もう一つは、具体的な状況に対し、福音のメッセージが一連の禁止事項に還元されないようにする司牧的アプローチの要請だ。
フランシスコは司牧的な道を確かに選ばれたが、それ以来、規範と実践の間のギャップ、混乱の深まりを懸念する声が上がっている。同性愛、避妊、生命倫理などの問題 は、新教皇の下での議論の中心であり続けるだろう。慎重なナビゲートが求められる。
③聖職者による性的虐待がもたらす危機への対処
ベネディクト16世のリードに続いて、フランシスコは決定的な役割を果たしました 教会での性的虐待と戦うための努力、特に彼の2018 「神の民への手紙」と2019年の世界司教サミット。それでもなお やるべきことはまだたくさんあります-特に、虐待が頻繁に行われるグローバルサウスでは いまだにタブー視されているテーマです。
虐待の発覚に最も動揺している国々は、 予防措置と報告プロトコルが実施されていますが、広大な地域ではまだ不足しています リスニングセンター、民事司法制度との協力、および適切 司祭の養成。重要なテストは、バチカンが完全な Vos estis lux mundiの地方施行、2019年の法令 司教が虐待を報告すること—まだめったに適用されないこと。
性的虐待以外にも、より広範な課題が残っています。 精神的な操作と権力の乱用に対処すること、多くの場合、大人が関与すること、 レイまたは宗教的。新しい教皇は次のステップに進み、神学者を招待しますか そして司教たちは、より深い霊的、神学的、教会的な教訓を引き出すために このシステミックな危機?これまでのところ、教会の歪んだ質問 権力、身体、そして世界との関係は、ほとんど探求されてこなかった。
④世俗化された現代社会における福音宣教
信仰にほとんど無関心に見える現代社会で、教会はどのようにして福音を宣べ伝えることができるのか。この問いかけは、従来から続いている欧米から、中南米やアフリカの一部へと広がっている。
教皇選挙に先立って繰り返し開かれた全体会議で、多くの枢機卿が「 世俗化する世界への教会の対応が、今日の中心的な課題となっている」と指摘。「閉鎖された世界観の中で、人々は個人主義と主観主義に傾倒している」「では、どのように教会は、世界と関わるか に強い関心を持って行動しているか。それとも、疎外された立場に身を置いているのか」などの反省も出た。
新教皇はどのような道を選ぶのか? そして、教皇、枢機卿たちの福音宣教の努力は、信徒たちの日々の生活を通した証しによって支えられなければならない。
⑤トランプの米国との関係をどう進めるか
バチカンと米国メリカの関係は、 フランシスコの教皇在任中に最低となった。教皇は、 「資本主義の行き過ぎ」、つまり世界経済を「人を殺す経済」と呼び、 トランプ大統領の厳しい移民政策を非難した。トランプの移民問題担当者は「 私たちの国境を守るために、教皇は私たちに何をしてくれるのか。バチカンの周りにも、壁があるではないか」と反論した。
バチカンは今、微妙な道を歩まなければならないだろう。 世界をリードする大国との開かれた対話を維持しながら、 人権に基づいた主張を続ける必要があるが、トランプを強力に支持する カトリック教徒(ある世論調査では、全信者の64パーセントが支持している)がいる中で、政治的問題だけでなく、伝統的な教義を信奉するに声に、どう向き合っていくのか。
そして、もう一つの差し迫った懸念は、カトリック教徒であるバンス副大統領によって擬人化されたナショナリズム。新教皇は、 カトリック教徒を遠ざけない形で、教会の価値観を持って、これらのイデオロギーの流れに慎重に対処する必要がある。
⑥気候変動問題への対応
フランシスコと彼の回勅「ラウダー・ト・シ」によって、 バチカンは、気候変動との闘いにおける主要な道徳的声となった。この遺産を受け継ぐ新教皇は、大きな課題に直面するだろう。それは、 より広い世界での「integral ecology(自然と人間の活動が密接に関わっていることを強調する、包括的な生態学的な考え方)」の深い一貫性を把握し、 生態学的懸念と「pro life(人工妊娠中絶に反対し、生命尊重の立場をとる人や団体、考え方を指す言葉です。具体的には、胎児の生命を保護し、中絶を合法化しないことを支持する立場)」倫理は矛盾していないようにするか、だ。
フランシスコの「使い捨て文化」批判に対する批判もある。「彼は妊娠中絶と安楽死に反対されました。しかし、もっと 静かに、おそらく環境変革のためのより広範な連合を構築するための努力がひつようです」とある大学の学長を務めるシスターが語る。
環境保護と、妊娠中絶や自殺幇助への反対は、 人生と自然に対する功利主義的な見方を拒絶する同じ論理から出ている。気候変動で言えば、今 世紀末までに地球の平均気温が3°C上昇する可能性があると予測されているが、 教会はこれへの対処を最優先事項としているにもかかわらず、具体的な行動に踏み込まず、「環境主義」にとどまっている。
⑦分断が進む教会で、どうやって一致を維持するのか
フランシスコが始めた”シノドスの道”の歩みは、教会が抱える問題の深さを明らかにした。 教会における文化的および神学的分裂。多元主義が台頭する中で、教会はどのようにして一致を維持できるのか ?
世界の一部の地域の教会では、教会 改革、特に性道徳と女性の役割などに関して意見が大きく分かれている。特にアフリカやアジアの一部では、より保守的な路線を提唱する声が強い。新教皇は、これらの相反する流れに巧みに対応することで分裂が決定的になるのを避けねばならない。
重要な試金石は、新教皇が フランシスコが始めた ”シノドスの道”の歩みフォローアップ。その歩みで得たものを制度化するのか、それとも 教義の統一性を回復するために後退させるのか? どちらの選択にも、教会の一部を疎外するリスクがある。
⑧いまだ途上のバチカン改革の推進
教皇フランシスコはバチカンに抜本的な改革をもたらす Praedicate EvangeliumのCuriaを交付し、実行された。福音宣教をバチカンの使命の中心に置き、省や委員会などの部署の再編成は大きく進んだが、改革の全体像はまだ出来上がっていない。特定の部署の統合・再編では、 役割と責任について混乱を招き、まだ調整中の部署もある。または人員の効率化などもまだ進んでおらず、 フランシスコが繰り返し言われた「地方分権化(権限のバチカンから現地教会への移譲)」も実現していない。
新教皇は、これらの改革を確実に仕上げねばならない。バチカン行政の明快さと士気を高めつつ進める必要がある。一部の枢機卿は、財務の透明性を高めることも求めている。財政赤字を払しょくし、 不透明な支出をなくすことも課題だ。
⑨激動の世界でバチカン外交をどう進めるか
新教皇は、フランシスコの野心的な外交課題を引き継ぐ。 ウクライナと聖地の平和に向けた努力を促進し、キリスト教他宗派、他宗教との対話の促進、そして、中東、アフリカ、およびアジアの一部で少数派となり、迫害されているキリスト教徒を守ることも重要だ。
教皇フランシスコは、慎重な外交のモデルを好んだ。 多くの場合、対立よりも調停を選択した。これは彼の慎重な態度に表れていた。 中国へのアプローチと、ロシアとウクライナとの対話を維持するための彼の試みが続けられたが、東欧の司教たちと一部の人権擁護者などから、姿勢の曖昧さが批判されることもあった 。
新教皇はこのような外交路線を続けるかどうかを決めなければならない。 フランシスコの”非同盟外交”継続のために、より率直で価値観に基づいたスタンスを採用するか否か。 いずれにせよ、新教皇は、 ロシアのウクライナ侵略や、トランプ米大統領の自国ファーストの教皇の中で、国連など国際機関が影響力を失い、国際規範の崩壊が進む中で、世界におけるバチカンの役割を再定義する必要があるだろう。
⑩キリスト教他宗派、他宗教との関係を深める
第二バチカン公会議に始まったエキュメニズム(キリスト教の一致の運動)は、カトリック教会にとって、依然として中心的な課題だ。フランシスコの下で、エキュメニカルな対話が行われた。彼の2016年のギリシャ正教総主教との会談、さらにロシア正教のキリル大司教との歴史的な会談を実現したが、その後のロシアによるウクライナ軍事侵略によって、進展が妨げられた。
キリスト教他宗派とのエキュメニカルな取り組みは続いているが、分断の動きもある。 特に福音派とペンテコステ派の教会は、急速に保守的な動きを強めい、グローバルサウスで、しばしばカトリックの教えが挑戦を受けている。
こうした世界的な様々な変動の中で、新教皇は、カトリックのアイデンティティを損なうことなく、キリスト教の一致を、 政治的な目標としてではなく、分断された世界における福音の証人としてすすめねばならない。
⑪召命を復活させ、聖職者の生活を新たにする
世界の多くの地域で司祭の不足が深刻化している。欧州と北米の国々でそれが顕著だ。一方で、 アフリカやアジアの一部などでは、司祭の需要が強い。そうした中で、課題は、まず、司祭の養成を確実にすること、 心と精神の両方を形成することだ。もう一つの課題は、聖職者の間での士気の低下にどう対処するかだ。 最近の教会改革への対応で混乱したり、性的虐待と高位聖職者による隠ぺいなどで、司牧活動への気力を失くすケースも目立っている。
新教皇は、構造的な問題にも取り組む必要がある。一般信徒の教会における主導的役割の拡大、終身助祭の昇進などの改革、または 教区制度の見直しなど、司祭減少の中で、活気を取り戻す具体的取り組みが求められる。
⑫危機の世界に必要なのは「希望」をもたらし、人々の心に触れる能力
今日の世界は「不安」によって特徴づけられている。気候変動、 戦争、経済の不安定さ、社会のなどなど。多くの人々、特に 若い人々は、人生に意味を見つけるのに苦労している。教会は、そうした世界、人々に、答え以上のもの、「希望」を提供せねばならない。
”絶望の解毒剤”として、教皇フランシスコはしばしば「喜び」「慈しみ」「優しさ」について語った。教会は”戦乱”に満ちた現代社会で、教会は自己を守る「要塞」になてはならない、苦しむ人々のための「野戦病院」になるべきだ、と繰り返し訴えた。新教皇はそのアプローチを継続する必要がある。そして、教会の壁を越えて、人々の心に響く、新しい言葉を語ることが求められる。
新教皇の信頼性は、 教義の明確さや制度的な管理だけにかかっているのではない。何よりも、人々の心に触れる能力だ。あるバチカンのオブザーバーが言ったように、「現在の分裂の時代に、人々は 自分の心の奥底にある恐怖や願望に語りかけ、『癒しへの道』提供できる人を求めている」のだ。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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