Pope Leo XIV wearing a pallium holds Mass during the formal inauguration of his pontificate in St. Peter’s Square (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)
(2025.6.12 Crux Managing Editorr Charles Collins)

教皇フランシスコが4月21日に死去してからわずか数週間後の5月8日に選出された新教皇のメンタリティを見極めようと、メディアは教皇レオ14世の言動のすべてを徹底的に分析している。
新教皇がこの一か月に行ったことのほとんどは、司教に任命した人物や関係者との会合を含め、前任者のためにすでに準備されていたものだ。説教やスピーチの多くも、もともとフランシスコのために書かれたものから引用されたものだろう。レオ自身が5月24日に指摘したように、「教皇は亡くなるが、教皇庁は残る」。
今は6月だ。バチカンでは一般的に夏の間は動きが鈍くなり、実際の決定や変更が起こり始めるのは、9月に入ってからだ。だからこそ、11日に教皇儀典室が、29日にサンピエトロ大聖堂で行われる「聖ペトロ・聖パウロ使徒の祝日」のミサ聖祭の準備に関する声明を発表したことは興味深い。
その文書によると、「聖父レオ14世が聖体祭儀を司式し、パリウムを祝福し、新しいメトロポリタン大司教にそれを課す 」という。パリウムとは、大司教に与えられる子羊の毛で作られた白い帯のことで、ローマ教皇とのつながりを表している。
パリウムには6つの黒い絹の十字架があり、その歴史は5世紀にまで遡る。聖ヨハネ・パウロ2世は、「教皇自らが授与すること」としていたが、教皇フランシスコは2015年に、6月29日のミサで大司教たちにパリウムを授与する代わりに、後日、授与予定者の出身大司教区で、その国に駐在する教皇大使が執り行うミサで授与する、という形を取った。
「この変更の意味は、新たに指名された大司教と地元教会との関係をより重視することにある」と、教皇儀典長を務めていたグイド・マリーニ司教(当時)は2015年1月29日、バチカン放送のインタビューで語っている。マリーニ師は、この変更は 「カトリック教会における”シノダリティ(共働性)の旅”の一部であり、教皇就任当初から、(教皇フランシスコは)教会の歴史におけるこの時期、特に緊急かつ貴重であると常に強調してきた 」とし、パリウムの授与を自国の大司教区に移すことは、「その大司教区の活動と歴史にとって重要な瞬間に、地元の教会が参加することに大いに意義があった 」と説明している。
米サンフランシスコのジョン・R・クイン名誉大司教は2015年、アメリカ・マガジンの取材に対し、パリウムの方針を変更することは、教皇フランシスコが 「教会におけるシノドアリティを強調するための手段 」だとし、この変更は 「大司教、自身の教区、そして首都圏管区の司教や教区に対し、教会における参加と交わりの真のシノダリティへの新たな道を開くよう求められていることを思い起させるものになる 」とその意義を強調していた。(クイン師は2017年6月22日に亡くなった)。
5月19日、教皇レオ14世はキリスト教指導者たちに 「共同体とエキュメニズムは密接に結びついている 」と語り、「カトリック教会のシノダル(共働的)な性格を促進し、エキュメニカルな分野で『これまで以上に強力なシノダリティのための新しい具体的な形を作っていく』という教皇フランシスコの強い遺志を受け継いで行く私の意思を確認したい 」と言明していた。
この10年以上、バチカンは 「シノダリティ 」という言葉を使うとき、何を意味するのか定義するのに苦労してきた。 それは東方教会に見られる法制定構造のようなものなのか、それとも第二バチカン公会議後に設立されたシノドス・オブ・ビショップ(世界代表司教会議)のようなものなのか。
レオ14世として教皇の座に就く前、米国出身のロバート・フランシス・プレヴォストはバチカンの司教省長官を務めていたことから、新任大司教への対応が少しでも変われば、そのシグナルが発信されることになる。
バチカンから大司教の出身大司教区へのパリアムの授与の移動は、教皇フランシスコの重要な教会改革プログラムの一つに関する最初の公式行為の一つだった。レオ14世は、教皇就任以降、短期間に何度も「シノダリティ」について言及している。6月29日、教皇がこの言葉をどのように定義しているのか、世界の教会関係者は初めて知ることになる。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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