(2025.5.26 La Croix (with I.Media)
レオ14世教皇が24日、バチカンのパウロ6世ホールで教皇庁とローマ教区の職員約4000人と初めて会見、長い拍手喝采を浴びながら挨拶され、〝一致の使者”となるよう呼びかけられた。前任の教皇フランシスコとの間で”緊張関係”を生じており、新教皇がどのような話をするか注目されていた。
教皇は挨拶の冒頭で、職員たちの万来の拍手に対し、「気をつけて… 拍手が長いと、私の挨拶も長くしなければなりません」としたうえで、これまでの職員たちの奉仕に感謝の意を表し、さらに拍手を誘った。
*前教皇の厳格な教皇庁改革が起こした職員の不安、士気低下に対処?
この最初の会見は、故教皇フランシスコが進めた教皇庁改革による”敏感な時期”に行われた。故教皇は、一部の人々が「強硬な手法」と評した改革で、教皇庁の官僚機構に手を付けた。2022年の使徒憲章『Praedicate Evangelium』は、主要な教皇庁機関を再編し、聖座の透明性と福音宣教に重きを置くことを狙いとしていた。
挨拶でレオ14世は、これらの改革を肯定し、福音宣教を優先する前教皇の意図を称賛し、特にフランシスコに先立つ聖パウロ6世と聖ヨハネ・パウロ2世の二人の教皇たちのビジョンを受け継いだものと指摘しつつ、「教皇は移り変わりますが、教皇庁は残ります」と述べ、「使徒座の記憶を生き続けさせ、教皇の務めが最善の方法で果たされるように」努めるよう、職員たちを励ました。
教皇は自身の福音宣教の経験にも触れ、ペルーでアウグスチヌス会の修道士として20年間過をごし、さらにバチカンで司教省長官として2年間務めた自分自身が「この使命を、神が望む限り、私に委ねられた奉仕において継続する考えです」と述べた。
前任者の刺激的なスタイルとは明らかに異なるレオ14世の控えめなトーンは、12年間の教皇フランシスコ在位中、革新的な改革への取り組みの一方で緊張を招いた教皇庁の雰囲気が続くことを懸念していた多くの教皇庁職員の琴線に触れたようだ。
教皇フランシスコは2014年の講話で、教皇庁について「15の霊的病い」に侵されていると”診断”し、職員たちに蔓延する聖職者主義、出世主義、硬直性を率直に批判。”教会官僚”への持続的な批判は、教皇庁の幹部や一般職員の一部に強い不安を引き起こし、教皇在位末期には、教皇庁内部での士気低下について公然と語る者が増えていた。
*前教皇が取りやめた教皇庁職員への”コンクラーベ・ボーナス”支給を復活
レオ14世は教皇就任からわずか2週間で、トーンを変化させ、その具体的な表明として、教皇庁職員全員に500ユーロのボーナス、退職者には300ユーロを支給することを承認した。これは、前教皇が緊縮政策をアピールするために廃止した伝統的な”コンクラーベ・ボーナス”を復活させる措置だ。
レオ14世は、教皇庁の職員と管理者の間の緊張が依然として続く職場を引き継いだ。この緊張は、数年にわたるコスト削減と賃金交渉の停滞が背景にある。2024年11月、教皇フランシスコは教皇庁の年金基金の改革計画を発表し、「困難な決断」が迫っている、と警告した。これに対し、職員の間で懸念が広がり、バチカン一般職員協会(ADLV)は「緊張と不満の高まり」を訴える声明を発表していた。
レオ14世が選出される3日前、教皇選挙に枢機卿たちが集まる中、ADLVは公開声明を発表し、教皇庁の継続的な予算危機——財務諸表はもはや公開されていない——を指摘し、推定で7000万ユーロの赤字が出ており、原因の一部は「外部コンサルティング会社への過度の依存」に起因している、と批判した。そして、レオ14世が選ばれた後、ADLVは新教皇の名前を「社会問題への特別な注目と、対話を通じた橋渡し的重要性の象徴」として歓迎する声明を出している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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