(解説)2022年―教皇フランシスコにとって重要な年に(LaCroix)

(2022.1.3 LaCroix  Loup Besmond de Senneville | Vatican City)

 教皇フランシスコにとって、2022年はどのような年になるのだろうか?ーこの問いに答えるのは、これまでになく難しい。いったんは沈静する兆しを見せた新型コロナウイルスの世界的大感染がまた深刻化し、世界のさまざまや活動の計画が影響を受ける恐れが強まっているためだ。

 だが、先月85歳になった教皇は、そうした中にあっても”活動”を停止させることなく、教会における自らの役割を果たし続ける覚悟をしているようだ。

*コロナ禍で先行き不透明だが、外国訪問を重視

 実際、彼はすでに多くの取り組みとプロジェクトを発表している。2つのイタリアの日刊紙LaStampaとLaRepubblicaとのクリスマスのインタビューで、教皇は「神の思し召しのままに」、外国訪問を続けることを確認した。

 公式発表がまだないが準備が進んでいる計画がいくつかある。教皇の外国訪問の準備を担当するジョージ・ジェイコブ・クーバカド師は現在、いくつかの計画に取り組んでおり、その中には、すでにメディアに伝えられている夏のレバノンとコンゴ民主共和国の訪問がある。8月の初めにスペインのコンポステーラ巡礼地のカミノに行き、12月にハンガリーを訪問するという話もある。教皇ご自身はカナダ政府からの招待を受け、秋にカナダを訪れる可能性が高い、とされている。

 教皇はかねてから、南スーダンへの訪問を希望されていたが、実現するかまだ分からないが、同国の当局者は先月、バチカンのギャラガー国務省外務局長と会った際、教皇の訪問を強く希望していることと伝えている。教皇は、現地で進められているスーダン暫定政府と反政府勢力の和平交渉が大幅に進展した場合に、南スーダンを訪問すると繰り返し述べておらる。

 また、新型コロナウイルスの世界的大流行が起きる前に計画されていた東ティモールとパプアニューギニアへの訪問も、まだ消えていないと考えられているが、コロナ感染がいつ終息するのか見通しが立たないことに加えて、85歳になられた教皇の健康状態にも配慮する必要があり、とくに一週間以上にわたる外国訪問は慎重に考えないといけない。

*2月にフィレンツェへ、地中海周辺地域の要人と会見ー難民・移民問題を念頭に

 近い所では、教皇は、2月27日にイタリア中部の都市フィレンツェを訪れ、地中海周辺の都市の市長や司教たちと会う予定を決めている。先月初旬のキプロスとギリシャ訪問で示されたように、教皇は特に移民・難民問題に注意を払っておられ、フィレンツェ訪問も、地中海周辺の国々の関係者に(移民・難民問題の原因となっている各地での紛争の解決と)平和への取り組みを促す機会となりそうだ。

 

*新枢機卿たちを任命

 多くの外国訪問予定のためにバチカンの内政に手を抜かれることはない。教皇は今年の早い時期に、新たな枢機卿たちを任命するとみられており、そのための枢機卿顧問会議を招集される見通しだ。チリのリカルド・エザティ・アンドレロ枢機卿が1月7日に80歳になったことで、教皇選出のコンクラーベが今、開かれた場合の選挙人の数は象徴的な数字である120人を割り込む。新しい枢機卿の任命権は教皇のみにあり、その準備のための枢機卿会議の日程は通常、直前になるまで発表されない。

*いよいよバチカン改革の新規約発表か

 これは、バチカン改革を正式に実施するための新規約の公表も同様だ。規約文書の決定、公表は、ここ数年の間、延び延びになってきたものだが、すでに改革のために規約決定の法的手続きは終えているものと見られている。「聖ペトロの使徒座」の祝日、2月22日に公表される、との観測もある。

*来年10月の世界代表司教会議に至る”シノドスの道”へも全力

 また教皇は、昨年10月に始めた”シノドスの道”を進めるためにあらゆる努力を払われることになるだろう。教皇は、カトリック教会の未来を、世界の教会共同体のあらゆるレベルでの「synodality(共働性=共に歩む)」に賭けておられる。現在の世界規模で進められている”シノドスの道”は、2023年10月にローマで予定される全世界代表司教会議に至る重要な準備過程だ。

 教皇が目指しておられるのは、世界のすべてのカトリック教徒が参加した対話と互いの声を聴き合うことを基に、教会に新たな力が生まれるよう、刺激することである。

 先月のクリスマス前のバチカン高官との会合で、教皇は、それを新しい「スタイル」と呼ばれた。ローマの関係者の中には、この”シノドスの道”を第二バチカン公会議と同列に置く受け止め方がある。

 それは、教皇が手厳しく批判する「聖職者主義」を基礎に置いた”政策決定方式”を大きく揺さぶることになるからだ。もっと重要なことは、”シノドスの道”を共に歩む過程で、”現場”の信徒たちから特定の問題が引き起こされる可能性があることである。

 いずれにしても、世界中の教区は夏までに、自分の教区での話し合いの内容をまとめ、各国の司教協議会に報告し、さらに報告のまとめは、欧州、アジアなど各地域の司教協議会連盟に上げられる。またシノドス事務局からの最初のテキストが今秋に出版され、各地域での連盟での話し合いの基になる。

*司教省長官主催のシンポジウム-司祭職の課題など議論

 また、2月17日から3日間、バチカンの司教省長官、マルク・ウエレット枢機卿が主宰する国際シンポジウムが予定されており、現在の世界の教会が抱えている司祭職に関する多くの問題と課題が議論されることになろう。教皇も出席してお話になる見通しだ。

*フーコーの列聖、ヨハネ・パウロ一世の列福を予定

 何人かの列福、列聖も大きな行事だ。5月15日には、シャルル・ド・フーコーの列聖が予定され、その4か月後に、”頬笑みの教皇”ヨハネ・パウロ一世が列福される。

*聖職者による性的虐待と仏独立調査委員会報告

 教皇はまた、世界的に衝撃を与えているフランスのカトリック聖職者による大規模な性的虐待に関する報告をまとめた同国の独立調査委員会(CIASE)のメンバーとの会合の実現へ、改めて日程調整するとみられている。

 だが、昨年10月に発表されたCIASEの報告書に対しては、性的虐待を受けたとされる人数について、バチカンの関係者の一部に強く批判する声があり、そのことで教皇がCIASEのメンバーお会いになることをおやめになる可能性もある。「教皇は彼らとお会いになるかも知れないが、今すぐということではないだろう。教皇は圧力を受けて行動されるのがお好きではないので」と、あるバチカン関係者は言っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年1月10日