(評論)38日にわたる入院中も、そして今も、教皇は指導力を保ち続けておられる(Vatican News)

(2025.3.27  Vatican News  Salvatore Cernuzio)

 38日の入院、そしてその後も治療を続けておられる中でも、教皇フランシスコは、教会を導き、平和を訴え続けておられる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大感染の最中と同様に、40件以上の重要な人事をなさり、(”シノドスの道”の仕上げとなる)2028年の教会会議へのプロセスに着手され、平和を求める数多くの呼びかけをされた。

 5年前の3月27日、教皇はコロナ大感染で世界がロックダウンされる中、照明と警報音だけで誰もいない聖ペトロ広場で、一人祈られた。「私たちは皆、同じ舟に乗っています」と言われた。今日、教皇はご自身がその時と同じ立場に置かれていることに気づかれる。重度の肺炎で38日間の入院の後、現在はサンタ・マルタ館の自室で療養中である。世界の危機は、コロナの大感染が終息した後も、戦争、再軍拡、そして貧困拡大と続いているが、教皇のメッセージの核心は変わらない—「私たちは皆、この(危機的な)状況を共に生きている」だ。

 

 

*入院先から教会を導く

 

 身体的危機を脱した後も、教皇は教会が直面する課題について指針を示し続けられた。ジェメリ病院での治療中も、世界的な紛争に目を光らせ、主日の正午の祈りで、ウクライナ、イスラエル、パレスチナ、中東、ミャンマー、コンゴ民主共和国、スーダンで続いている戦争の不条理を糾弾し、平和の実現を一貫して訴えられた。ガザ地区でのイスラエルの大爆撃、支援物資の搬入阻止を非難し、即時停戦を求められ、関係国に行動を促された。

 病室で執筆された、イタリアの新聞『コリエーレ・デラ・セラ』へのメッセージで、教皇は「言葉の力」を取り上げ、それが「団結をもたらすこともあれば、分裂をもたらすこともあります」と警告。「私たちは、言葉の力を弱めて、心を和らげ、地球を和らげなければなりません」と訴え、(ロシアの一方的なウクライナ侵略を契機に始まった)欧州各国における軍拡の動きを批判するとともに、新たな外交の必要性を強調された。

*教会の運営にも積極的に関わり、先導された

 肺炎の治療中も教皇は、教会の運営に積極的に関わられた。38日間の入院中、44件の面会を行い、その中には新任の司教、教皇大使、バチカンの高官などとの面会もあった。また、バチカンが推進する事業や計画を支援することを目的とした「聖座への寄付促進委員会」の設立など、重要な文書への署名もされた。

 そして、”シノドス(共働性)の道”の歩みをさらに進めるために、昨年10月の世界代表司教会議(シノドス)第18回総会の最終文書をもとにした、今後3年間の世界の全教会での具体的な取り組みを受けて、2028年に教会会議を招集することを決定された。

*精神と行動で「存在」を示し続けておられる

 

 ご自身の病気や世界的な混乱の中にあっても、教皇は教会にとって安定した指導的な存在であり続けておられる。物理的にバチカンから離れておられても、彼の指導力は揺らぐことがなかった。離れておられても、教皇は決して真に「不在」ではなく、常に精神と行動において「存在」を示し続けておられるのだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年3月28日