(2024.12.9 La Croix Mikael Corre)
12月7日に21人の枢機卿が新たに誕生したことにより、次期教皇選挙が開かれた場合の選挙権を持つ枢機卿の数は140人に増えた。うち国別で最も多いのはイタリアで、新任4人を合わせて17人。アフリカ全域の合計と同数になった。
選挙権者の12%を占めるイタリア人の影響力は、25%を占めていた2013年の前回のコンクラーベに比べれば落ちてはいる。しかし、南半
球に焦点を当てた教皇職の10年以上を経た今も、依然として欧州の枢機卿たちが過剰に代表している。
12月7日時点で教皇選挙権を持つ枢機卿は140人であり、うち55人が欧州出身者で、システィーナ礼拝堂に集まる選挙人の39.3%を占める。だが、信者の数をみると、欧州は大きく減っており、2024年のカトリック教会統計(2022年の数字に基づく)によると、世界のカトリック信者13億人の20.6%を占めるに過ぎない。
欧州の国別では、イタリア17人、スペイン6人に次いでフランスが5人で内訳は、ローマの最高裁判所長官ドミニク・マンベルティ枢機卿、ジャン=マルク・アヴリーヌ枢機卿(マルセイユ)、フィリップ・バルバリ枢機卿、フランソワ・ビスティロ枢機卿(アジャクシオ)、クリストフ・ピエール枢機卿(駐米教皇大使)。未成年に対する性的虐待疑惑に関与したとしてボルドー大司教を解任されたジャン=ピエール・リカード枢機卿は、9月25日に80歳となり、教皇選挙権を失った。
欧州の過剰な”代表”は、主として米大陸とアフリカ大陸の”犠牲”の上に成り立っている。信者の数をみると、米大陸、つまりラテンアメリカ、米国、カナダの合計で、世界全体の5割弱、47.9%を占めているのに、選挙権を持つ枢機卿の数は、全体の3分の1にも満たない27.9%だ。アフリカ大陸では 2021年から2022年にかけて、受洗者が大幅に増え、信者の数が世界全体の約2割、19.6%を占めるようになったが、枢機卿の割合は選挙権を持つ枢機卿総数の12.1%にとどまっている。
一方、アジア大陸でも、信者が増えているものの、世界の信者総数の11.1%を占めるに過ないが、80歳未満の枢機卿をみると25人おり、有権者の17.9%を占めている。 9月に教皇が歴代教皇で最長となる旅に出た先はアジアであり、この大陸の重要性の高まりを反映している。 オセアニアも信者のシェア0.8%に対して選挙権を持つ枢機卿は4%と過剰に評価されている。
このように信者の割合と選挙権を持つ枢機卿の割合が均衡を欠いているのは、そればかりではない。ヨハネ・パウロ2世教皇が任命した選挙権を持つ枢機卿はわずか6人。ベネディクト16世教皇は24人である。これに対して、教皇フランシスコが自身の後継者を決定する選挙権を持つ枢機卿は12月7日現在で見ると総数の8割弱、78.6%を占めるに至っている。
もっとも、イエズス会出身の教皇は、厳密な統計よりも他の採用基準を優先しようとしている可能性が高い。つまり、「グローバルで包括的な教会」という自身のビジョンを念頭に置いて今の枢機卿団を形成するに至っている、ということだ。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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