・枢機卿会議第3セッションー「個人主義や分断に対する解毒剤は『福音』、教会はそれを告げる存在」

Cardinals gather with Pope Leo during the third session of the ConsistoryCardinals gather with Pope Leo during the third session of the Consistory  (@Vatican Media)
(2026.6.27  Vatican News) 

 26日に始まった臨時枢機卿会議は2日目の27日朝、聖ペトロ大聖堂でのミサ、パウロ6世ホールに移っての教皇レオ14世による朝の祈りに続く第3セッションで、「善を育み社会を築き上げるという教会の使命」について考察した。

 バチカン報道局は同日午後、タンザニア・タボラ大司教のプロタセ・ルガンブワ枢機卿が司会を務めた第3セッションの詳細を発表。

それによると、冒頭、ルガンブワ枢機卿は、教皇の名において、平和への呼びかけに対する枢機卿団の支持の言葉に感謝した。

そして、各々の教区や出身地域においてその呼びかけに対する責任を担うことで、その効果をさらに高めるよう促した。そうすることで、「一斉の呼びかけが湧き上がり、この共通の取り組みにさらなる力を与えることができるでしょう」と述べた。

続いて、南アフリカ・ヨハネスブルグ大司教のスティーブン・ブリスリン枢機卿が、「善を築くこと:現代の現場」というテーマについて、導入報告を行った。

祈りと沈黙の時間の後、ルガンブワ枢機卿が、グループに分かれた討議の開始を告げ、討議に入り、この後開かれた全体会合で、11のグループが報告を行った。

多くのグループは、現代における深い亀裂―民族や国家の間、社会内部、そして家族内部における亀裂―の分析に考察の焦点を当て、それらが、「とりわけ最も貧しい人々、最も弱い立場にある人々、新たな展望を見出せない若者、そして長年の知恵に欠ける大人たちに、いかに傷をもたらすか」について論じた。

また、多くの報告では、「有意義な人間関係、アイデンティティの欠如がもたらす危険性」が強調され、「それらは人々を部族主義的な態度へと駆り立てる」と指摘。すべてのグループが、「『他者は、自分自身の成功のために存在する』という幻想へと導く『過度な個人主義』の働きの危険」を強調した。

 

こうした文脈において、討議の中で、人工知能(AI)は、「共有される人間の価値観を特定することで検討されなければならない人類学的側面」として浮上。求められているのは、「生きとし生けるものに名前を与え、それらを単なる数字や統計に還元しないことへの呼びかけから始まること」、「AIが否定しがちな人間の限界という感覚を体験し、それを受け入れること」、そして「労働の尊厳を守ること」とされた。

 

また、多くのグループは、「共通善」の価値について、「受け入れ、理解するのが難しく、政治がしばしば追求しないもの」としたうえで、「共通善を実現するために必要な財産や資源が『少数の手に握られている』という認識から生じる同調主義や腐敗、そして『実現は不可能だ』という感覚を克服するためには、心の言葉が必要」との指摘があった。

多くのグループが確認したのは、「共通善の感覚は信仰にその起源を持つ。すなわち、神への信仰、そしてあらゆる人に内在する超越的な次元への信仰だ。この信仰は、人間をあらゆる境界を越えさせる。まず第一に、自己の枠を越える。また、個人主義への答えとして貧しい人々との連帯を実践し、カトリック性を完全に生き、あらゆるレベルで制度ではなく無償の関係を築き、キリスト教の信仰から遠く離れた状況とも関わり合える言語を模索するよう導く」という認識だった。

この点において、「政治の役割は不可欠であり、教会の機関が将来の公職者を育成することに尽力することも同様に重要。そうすることで、教会の社会教義が分裂の特効薬として知られ、研究されるようになる」との認識でも一致した。

 

そして、多くのグループが合意したのは、「個人主義や分断に対する解毒剤は『福音』。帰属意識を与え、現代の傷を癒やし、あらゆる形態の原理主義や二極化を避けつつ刷新される教会。社会的崩壊の傍観者ではなく、すべての人のための都市を再建する賢明な建築家としてのキリスト者たちを通じて、サマリア人のような顔を明らかにする教会だ」ということだった。

そのうえで、こうした枠組みにおいて、一つの希望の兆しは「多くの地域や世界の至る所で同じ課題に直面していること、そしてキリストとの交わりによって他者の目を気にする必要が薄れる」という認識であり、この意味で、様々なグループは、傾聴と対話、そして教会の責任への道としての「シノダリティ(共働性)」の価値を強調した。

報告の最後に、数名の枢機卿による個人としての発言の時間が設けられ、彼らは第3セッションのテーマをより個人的な観点から取り上げた。また、他の参加者からは、教皇の最近の使徒的訪問と平和への献身に対する感謝の意が表明された。

全体会合は、教皇が主宰する正午の祈りで閉会した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年6月28日