(Photo by Alan Wang / pexels.com)
米国の有力調査研究機関Pew Research Centerが17日発表した世界の人々の宗教心に関する調査報告によると、香港、日本、韓国、台湾、ベトナムなど東アジアにおける人々の宗教離脱率は世界で最も高い部類に入っている。ただ、伝統的な信仰心は根強く残っている。調査は、対面インタビューがされたベトナムを除き、2023年6月から9月にかけて電話で実施された。
報告は、「東アジアは世界で最も宗教色の薄い地域の1つであるようだ。東アジアの成人で毎日祈ったり、『宗教が人生において非常に重要だ』と答える人は比較的少ない」とし、香港、日本、韓国、台湾、ベトナムに住む東アジアの成人1万人を対象とした調査をもとに、この地域の人々の「宗教離脱率」が世界でも最も高い部類に入っている、とした。
報告には、2008年から2023年の間に同様の調査が行われた他の国々との比較表が含まれている。それによると、宗教的伝統の中で育った香港人の37%と韓国人の35%は、現在では「どの宗教にも属していない」と答えている。一方で、ノルウェー人で同じ答えは30%、アメリカ人は20%、フランス人は13%、ブラジル人は5%となった。
インド、トルコ、ナイジェリア、インドネシアでは、宗教的伝統の中で育った人が「後になって信仰を捨てた」という報告はなく、宗教離脱率はゼロ。これらの社会に先祖伝来の信仰と伝統的な儀式が根強く残っていることを浮き彫りにしている。
そして、 「東アジアでも、台湾で27%、香港で61%が、『自分は無宗教だ』と答えているが、特定の宗教に属さない人々の間でも、半数以上が亡くなった先祖に供物を捧げており、10人に4人以上が神や目に見えない存在を信じ、4分の1以上が『山や川、木には精霊がいる』と答えている」と指摘している。
日本では、回答者の70%が「過去12か月間に先祖を敬うため、または気遣うために食べ物、水、飲み物を捧げた」と答えた。ベトナムではそれより高く、86%だった。
もう1つの注目すべき結果は、香港の成人の30%が慈悲の神”である観音に「祈ったり、敬意を表したりしている」としているのに対し、台湾では46%が「仏に祈ったり、敬意を表したりしている」と答えていることである。
報告は、このような調査結果をもとに、「これらの社会における宗教を、人々が『宗教を持っている』と言うかどうかではなく、人々が『何を信じ、何をしているか」で測ると、この地域は、思われるよりも宗教的に活発だ」との判断を示している。
また、「東アジアの宗教に関するデータを収集することには複雑な問題がある。学者たちがこの地域に『宗教』という概念を持ち込んだのは、わずか1世紀ほど前のことだ。『宗教』という単語の一般的な翻訳(中国語の宗教、日本語の宗教、韓国語の宗業など)は、キリスト教や新宗教運動など、『組織化された階層的な宗教形態を指す』と理解されることが多く、伝統的なアジアの精神性を指すものではない」とも指摘している。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.