・教皇が一般信徒の新たな奉仕職を制定ー教会の内側からの変革の一環(La Croix)

(2021.5.12 La Croix  By Loup Besmond de Senneville and Xavier Le Normand | Vatican City)

 教皇フランシスコは、カテキスタという一般信徒の奉仕職を正式に導入することで、ご自身が「余りにも聖職者主導だ」と見ている教会における、一般信徒の場を再定義しようとしている。

 「私は、カテキスタという一般信徒の奉仕職の制度を作ります」。これは、「カトリック教会を内側から根本的に変えたい」と望む教皇の意思表示だ。その決意は、11日に発出した6ページの自発教令の最後に示されている。自発教令のタイトルにあるように、「Antiquum ministerium (古代の奉仕職)」は、一般信徒に対して、事実上、もう一つの新たな奉仕職の道を開くもの。教皇が今年一月に、女性に対して、ミサにおける聖体奉仕者と聖書朗読者の役割を正式に認めたのに続く措置だ。

 今回の自発教令で、「信仰を伝え、成長させるためのかけがえのない使命をすでに遂行」しつつある、世界で何十万といる”有能”な一般信徒のカテキスタの役割を確認することを、教皇は望んでいる。

 教皇パウロ6世が1972年にすでに構想していたこの奉仕職の制度化は、これまで世界の教会に広がっていなかった。主として、途上国の教会に留まり、欧州や北米で進展を見ることはなかった。そして、半世紀を経た今、教皇フランシスコは、この一般信徒の奉仕職を制度化された「効果的」なものとするよう、確固たる決意をもって、世界の司教たちに呼び掛けたのだ。

 フランシスコはこの教令で、司教たちに、この奉仕職に「深い信仰をもち、人間的に成熟した男女」を招くように求め、小教区の主任司祭たちには、「教会共同体の活動に積極的に参加している人たち、他者を喜んで受け入れ、寛大で、友愛に満ちたある人との交わりを日々の生活の中で実践している人たち」を探すよう求めている。そして、カテキスタの養成にあたっては、「適切な聖書学的、神学的、司牧的、そして教育学的な教育」がなされる必要がある、と述べている。

*根本的な文化的な変革

 これを、「中世以来、多数の司祭の存在で特徴づけられてきた教会の、根本からの文化的変革」と見る人もいる。

 神学者で教皇庁立東方研究所の元研究員のイエズス会士、チェザーレ・ギラウド神父は「私たちは、司祭が多くいて、一般の信徒がいつも脇に置かれていた時代の”遺産”を受け継いできた。今起きているのは、完全な、非常に深遠な精神構造の変化です。教皇は、聖職者主義になりすぎた教会に揺さぶりをかけようと、一般信徒のための新たな役割を創出するように全ての教会関係者に求めておられるのです」と語る。

 「過去数世紀の間、司祭が多くいたことで、さまざまな奉仕職が司祭の手に渡りました」と語るのは、仏北部のカンブレーのバンサン・ドルマン大司教だ。司祭養成の専門家で中北部サンスのエルヴェ・ジロー大司教も「司教も司祭も、本来の役割からかけ離れた、多くの権力を持ち過ぎました」と口をそろえ、「新たな一般信徒の奉仕職が、叙階された司祭がもつ本来の役割を再発見するための鏡像になることが可能だ」と信じている。

 彼らと別のフランスのある司教も、「教皇は、『すべてが叙階された奉仕を中心に展開しているわけではない』ということを私たちに気づかせています」とLa Croixni語った。一般信徒の奉仕職を活発化することで、教皇はまた、司祭の役割の再定義をしようとしている、というのだ。

*生かすべき機会

 問題は、パウロ6世が提唱したものの、ほとんど成果を得られなかった1970年代のように、教皇フランシスコの自発教令が空文化させないために、どのようにすべきか、だ。「司祭の不足は現在、西欧で当時よりもずっと深刻になっており、教会共同体が存続するために、奉仕職を担う人材を必要としています」とギラウド神父は言う。「布教国では、特にカテキスタの育成の分野で再生を可能にするやり方が試みられています」。

 ベルギーのルーヴァン・カトリック大学のアルノー・ランベール神学教授は、教皇が進めるこうした一般信徒の奉仕職は「2つの落とし穴さえ克服できれば、成功の機会をつかめる」と見る。落とし穴の第一は、あらゆる組織につきものの、そしてカトリック教会においてはなおさらの「惰性」だ。

 ジロー大司教もこの見方に同意するが、単独行動はすべきでない、と考えている。「個人的には、この一般信徒の奉仕職は緊急の課題と思いますが、他の司教たちと協力して行動するこが必要でしょう」と言う。

 ランベール教授による落とし穴の二つ目は、この新たな奉仕職を既存の役割の単なる再解釈として過小評価することだ。

*視野を広げる

 基本的に、司教たちの何人かは、教皇が自発教令で提案したことを速やかに取り上げることを決意しているようだ。

 例を挙げれば、ジロー大司教はすでに、この新しいカテキスタという奉仕職の候補者を頭に描いている。だが、「その数は、ごくわずか」であり、カテキスタとなることは、「報償」ではなく、「すべての人への奉仕」と受け取られる必要がある、と条件を付けている。

 ただし、La Croix が取材した司教全員が、今回の自発教令によって、「教皇フランシスコは、カテキスタという奉仕職をはるかに超えた展望を開いた」と受け止めている。「奉仕職という言葉にまつわる恐れが取り除かれ、教会内部の組織ではなく、神からの贈り物の認識を示すタイトルにすることができるでしょう」とジロー大司教は語り、「このことは、私にとって、多くの可能性を開くことになります」とドルマン大司教は評価する。

 さらにドルマン大司教は「聖体祭儀にすべてが集中しているわけでないことを強調する機会になる」とも見ており、「人々は神の言葉でイエスに支えられねばなりません」と指摘。さらに、定期的に葬式の段取りをしているカトリック信徒に、公式にそれを委託する方法がないことを疑問に思っており、「こうした役割が制度化され過ぎないようにしながら、あらゆる必要を満たす必要がある」としている。

 これは、教皇がこの自発教令で明示的に警告している「一般の信徒の聖職者化」の問題に対処するやり方だ。そのうえで、自発教令は、献身的な一般信徒たちを勇気づけ、認め、奨励しているが、教皇が就任当初から「カトリック教会が克服せねばならない」としてきた「聖職者の定型」を永続させない、という条件付きだ。

 自発教令は”健全なバランス”をとろうとし、カテキスタの奉仕職は「いかなる形の聖職者化も避け、完全に『世俗的』な方法で実行されなければならない」と強調している。

*本物の信徒の召命とは

 そして、まさにこのような間違いを避けるために、これらの新しい奉仕職は、「生涯を通じて生き生きと働く本物の信徒の召命」と見なされるべきだ、と新福音化推進評議会議長のサルバトーレ・フィジケッラ大司教は、自発教令発出の際に語っている。

 基本的に、正式化された奉仕職は、小教区や司教区の一般の信徒がすでに行っている(いわゆるカテキスタとされる)奉仕活動の単なる確認ではなく、それ以上のものだ。「この制度は、典礼を豊かなものにする手段の一つとして導入され、召命を受けた役割、神から来るものであることが強調されます」とランバート教授は説明する。

 そして、この教皇の新しいイニシアチブは「福音と信仰を告げ知らせる使命を果たすために全ての信徒で成り立っている教会の”申し合わせ”に関して、多くのことを変えることができる」と確信している。

 いずれにしても、教皇フランシスコは、この決定を貫徹することを心に決めており、中途半端にするつもりはない。自発教令の最後に、教皇は、全世界の司教たちに、この教令を受け入れ、各国ごとに適切なカテキスタ養成プログラムを策定、実施するように求めている。そして、バチカンの典礼秘跡省にこの新しい一般信徒の奉仕職のための「制度要綱」を作るように指示している。 84歳の教皇は、担当部署に速やかに着手するように言っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2021年5月13日