・ウクライナで支援中の教皇特使、「この戦争で最後のクリスマスとなりますように!」

Cardinal Krajewski meeting with children in Fastiv, Ukraine
Cardinal Krajewski meeting with children in Fastiv, Ukraine

(2024.12.24 Vatican News Kielce Gussie)ロシア軍によるウクライナ侵攻が続く中で、教皇のウクライナ支援特使、コンラッド・クラジェフスキ枢機卿は、大きな被害を受けている村々を回り、主の降誕のミサを捧げ、首都キエフの南西80キロにあるファスチフ市で炊き出しを開始した。

 クラジェフスキ枢機卿の現地での支援活動はまだ終わっていない。教皇の意向を受けてリヴィウ市に医療用バンを寄贈し、被害を受けた病院に6000台の超音波診断装置を届けたことで、新たな段階が始まっている。枢機卿が12月23日にキエフに到着した際、教皇から電話を受けた。「教皇は支援がどのように進んでいるかを知りたがっておられました。この取り組みはいくらかの危険を伴うものですから」。

 人口6万人のファスティフ市では、クラジェフスキ枢機卿と駐ウクライナ大使のヴィスヴァルダス・クルボカス大司教が、地元の子供たちからクリスマスの出し物で歓迎された。 彼らの多くは音楽学校の生徒だが、ロシアの砲爆撃で両親などが殺され、孤児となっている。 枢機卿からは子供たちにクリスマスプレゼントとしてテディベアが贈られた。

 枢機卿はこの後、高齢者や多くの避難民が収容されている施設を訪問、白いパンを割る「メリークリスマスを願う伝統行事」に参加した。この施設、聖マルティン・デ・ポレス・センターはドミニコ会の修道士によって運営されており、多くの避難やヘルソンから他の都市へ食料を運ぶ多くのボランティアもいる。このセンターは、20年近く前から病気の子供、シングルマザー、ホームレス、高齢者の避難所となっている。そして、枢機卿はこれまでこのセンターになかった「炊き出し所」を開設した。国内外からボランティアが活動する場にもなる。

 この日の終わりに枢機卿は関係者たちに「戦いで荒廃した地域の共同体ともクリスマスのメッセージを分かち合いたい」という教皇の願いを表明、「私たちは、今回が最後の戦争のクリスマスになることを願っています… 信仰と祈りは山をも動かせるのです。ですから、神を信じるなら、この馬鹿げた戦争は終わるのです」と述べ、皆に祈りを続けるよう呼びかけた。

 また枢機卿は、福音書にある「パンと魚の奇跡」を振り返り、イエスの「あなた方の手で食べ物をあげなさい」(ルカ9章13節)という言葉を思い出し、「イエスが言われた『あなた方』とは、私たち全員、教会全体、すべての信者、福音のすべての人々のこと。そして、ファスチフで起きているのはまさにこれです… 毎日、誰かがパン、米、パスタ、肉などを持ち寄っており、何も不足していない―これこそが、現代の奇跡です」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年12月25日