・アジア司教協議会連盟(FABC)は”会議のための集まり”から”実行力”のある連合体”に変わる必要(LaCroix)

'Querida Amazonia' asks Asian bishops to change path

 2015年1月にフィリピン・セブ市で開かれた第51回国際聖体大会の開催ミサ・前列左にアジア司教協議会連盟のボー会長(ミャンマー枢機卿=Photo by EPA/JAY ROMMEL LABRA/MaxPPP)

 

*アマゾン地域シノドス受けた使徒的勧告で教皇の姿勢は明白に

 昨年10月のアマゾン地域シノドス(代表司教会議)を受けて今年3月に発表された教皇フランシスの使徒的勧告は、スペイン語版で「Querida Amazonia(愛するアマゾン)」と題されていが、英語版は「The Amazon: New Paths for the Church and for an Integral Ecology(アマゾン:教会と統合生態学のための新しい道)」とされていた

 この文書の発表後、一部の評論家は「教会の重心が欧州から”辺境の地”に移った」と指摘した。 先住民族の教会や教会の女性など、これまで無視されてきたいくつかの分野に焦点を当てていたからだ。

 教皇フランシスコが就任から7年目に入った今、教会の内部にいくつかの変化が起きている。教皇は、司祭や司教だけでなく、貧しい人々、女性、そして社会から取り残された人々の話を聞くことに、より大きなウエイトを置いており、教会が協働制を実践するよう、強く働きかけている。

 

*アジアの教会の協働制

 アジアの司教たちが一堂に会したのは、1970年、マニラで当時の教皇、聖パウロ6世臨席の会議だ。この会議で、アジアの司教たちで恒久的な組織を作ろう、ということになり、翌1971年3月に香港で準備会議が開かれた。

 だが、バチカンの教皇庁はこの考えに反対し、在香港のバチカン代表を通じて、司教たちに、そのまま帰国するよう求めた。バチカンがそのような行動に出たのは、当時、ラテンアメリカ司教会議(CELAM)がバチカンとの間で論争を起こしており、アジアに地域の司教協議会ができることで、アジアでも同じことが起きるのを懸念したため、と見られた。

 第二バチカン公会議の7年前に発足したCELAMは、後に「解放の神学」と言われるようになった、貧しい人々の側に立つ神学的考えをもとに進歩的な活動を始め、ラテンアメリカ各国に広がった富裕層を背景にした軍事独裁政権と対峙するようになった。 これに対し、当時の教皇パウロ6世は、こうした解放神学を基にした動きを抑えようと動いたことが背景にある。

 だが、その後、パウロ6世は、アジアの指導的な司教たちーマニラ、ジャカルタ、ムンバイ、コロンボの枢機卿ーから、直接、話を聞き、アジアに司教たちの組織を作る必要を理解。「アジアの文化とアジアの人々の信仰心を生かす形で、教会の福音宣教に役立てる」ことを目的としたアジア司教協議会連盟(FABC)が1972年に発足した。

 それ以来、約半世紀の間に、アジアの司教や神学者たちは、いくつかの文書の取りまとめやセミナーの開催などを通じて教会に貢献した功績が認められる。だが、残念なことに、FABCは各国の司教協議会による、決定を実行する権限のない”任意団体”として作られ、実行はそれぞれの司教協議会に任され、最終的には司教それぞれの判断に委ねられている。つまり、FABCがアジアの教会をその決定に従わせるような仕組みは、存在しないのだ。

 連合体としてのFABCを活性化し、教会の協働制を前に進めるために、アジアの司教たちはアマゾン地域シノドスの準備に使われた手法に倣う必要がある。アマゾン地域シノドスでは、現地の指導者たちが模範的なやり方で意見を求められた。

 だが、FABCではこのようなことは起こらない。現地の教会の指導者たちは、FABCの活動についてほどんど何も知らされず、単に相談を受けたり、話を聞かれるだけだ。そうしたプログラムの後で、最終文書を出すが、司祭や信徒たちからほとんど無視されている。

*アジアの夢

 アマゾン地域シノドスを受けて教皇が出された使徒的勧告では、この地域の「社会」「文化」「生態系」「教会」の4つの夢について、はっきりと語られている。

 「社会」の夢は、貧しい人々の声が聴かれ、彼らの生活が力のあるものとなる世界だ。「文化」の夢は、現地の文化を異なる共同体によって認められ、受け入れられ、「植民地化」が終わることを目指す。「生態系」の夢は、環境に配慮し、森林破壊を阻止するために働くこと。そして、「教会」の夢は、皆が秘跡に与ることができ、典礼が現地の文化を受け入れ、宣教師と、男女の信徒たちが貧しい人々を守るという司牧の義務を果たせるようにすることだ。

 この4つの夢すべては、アジアの教会の活動に当てはめることができ、FABCの第5回総会で議論された「教会であるための新しい道」に向けて歩む助けとなる。

 FABCを、教会の活動と使命をより良いものとするための決定を実行する権限を持つ組織とするために、現在のような”任意団体”であることをやめねばならない。そして、各司教協議会の間での決定の実施について評価する方法を工夫する必要がある。

 森林破壊、耕地の砂漠化、資源の不法な採掘、その他、現地の自然を利用して暮らしている村の人々の土地や資源が破壊されることで、何百万人ものアジアの貧困層が苦難に追いやられている。多国籍企業の利益だけを目的とする偏った開発政策で、何百万もの人々が暮らしの糧を奪われ、国内難民となるのを余儀なくされている。

 タール砂漠(インド北西部とパキスタン南東部のインダス川東方の砂漠)は拡大を続け、ヒマラヤを水源とするアジアの多くの河川の流域の草原や山林の生態系が脅威にさらされている。森林破壊と都市化はアジアの熱帯雨林を脅かし、豊かな生物多様性の存続を危うくしている。

 環境破壊は人間の存在そのものにとっても脅威を増している。生存に不可欠な飲料水が、少なくともアジアの一部の地域では不足しており、気温の上昇、河川の環境悪化、洪水、台風、地震などの自然災害が頻繁に起きることで、さらに不足する。

 アジアの教会は、このような問題に対処するための政策形成に加わり、環境保全に関する諸律法を策定し、施行し、運用し、順守するための積極的な主体となる道を見つけねばならない。FABCは、アジアに住む人々に正義が行われるよう努める教会の主体となるために、その地位を、「会議を開く集まり」よりも高くすることが、求められているのだ。

 各国の司教協議会は、大規模な開発計画を評価し、声を上げることのできない貧しい人々、少数民族、土着の共同体社会のために、そうした計画に影響を与えるような「環境正義委員会」を設けることが可能だ。国によって、司教たちは自分の国の不正な開発計画を批判することを、たじろぐかも知れない。だが、FABCは多国籍の主体として、そのような”搾取”的な開発計画を止めるために国際的な関心を惹きつけ、行動することができる。教皇フランシスコは、環境はキリスト教の神学の一部だ、と強調されている。

 司祭や修道者の育成もまた、教皇が「Querida Amazonia」で言われる「新しい聖職」を取り入れるために、変わらなければならない。今や、アジアの神学校は、この使徒的勧告の視点から、アジアの司牧活動の要請に応えるよう、カリキュラムを改める時を迎えているのだ。 FABC以外に、誰がその仕事を引き受けるだろうか?

 FABCは厳密には司教たちの集まりだが、「人々中心」にならねばならない。現在のFABCはほとんどの場合、司教たちと神学の専門家たちの排他的な会合の場所になっている。その閉鎖的な会合の前後に、アジアの、社会から疎外された人々、貧しい人々、女性たち、少数民族、先住民の集団の声を聴く必要がある。彼らの声を熱心に聴くことは、「Querida Amazonia」が提示する教科の一つだ。”閉鎖的な神学化”の時代は終わったのだ。

 2022年に、FABCは創立50周年を迎える。その時、創立した世代の人々はすでにこの世にいない。新世代の人々は、現在のFABCの果たすべき役割と使命をどう考えるかで迷うべきではない。アジアで果たすべき使命を活性化させるために、このユニークなアジアのカトリックの組織のもつ強さ、弱さ、機会、そして恐れを、まず、評価する必要がある。

・・・ Reid Shelton Fernando神父は、スリランカの著名な人権擁護家。大学講師を務め、 the Young Christian Workers Movementの指導司祭をしていた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年8月26日