
(2025.2.13 Crux National Correspondent John Lavenburg)
ニューヨーク発 –全米司教協議会(USCCB)移住委員会の委員長、マーク・セイツ司教は、バンス米副大統領がカトリック教会による移民の定住支援について述べたコメントを「甚だしい誤解」と批判し、「バンス氏は明らかに私を知らない。私の心も知らない」と述べた。その一方で、同司教は副大統領との話し合いも提案している。
「私はいつかバンス副大統領と腰を据えて話し合い、私たちの定住支援活動などに関するこれらの問題について話し合いたいと思います。なぜなら、彼は明らかに誤った情報を得ているからです。それは非常に残念なことです。そして、今、大きな拡声器を持つ人物からそのような情報が発信されると、非常に弱い立場にある人々に対する教会の活動にとって非常に有害なものになりかねません・本当に懸念すべきことです」と、セイツ司教は述べた。
カトリックに改宗したバンス氏は、CBSがこのほど放送したニュース番組『Face the Nation(フェイス・ザ・ネーション)』で、米国の司教団が難民の再定住のために連邦政府から受け取っている数百万ドルを挙げ、「彼らは人道的な懸念を心配しているのか?それとも、実際には収益を心配しているのか?」と批判した。
この発言に対しては、全米司教協議会(USCCB)から迅速な反論があり、その活動を擁護した。ヴァンスが示唆したように、会議の公表された財務報告書によると、USSBは2022年と2023年の両方で、再定住の業務費として連邦政府から1億ドルを超える資金を受け取っている。しかし、記録によると、USSBは毎年、難民再定住の取り組みに連邦政府から受け取った資金よりも多くを実際に支出しており、バンス氏の指摘は正確さを欠いている。
12日、ジョージタウン大学で開かれたカトリック社会思想・公共生活イニシアティブの対話集会で、セイツ司教は「現在の状況」で助長されてきた偏見についても語り、トランプ政権や他の政治指導者の暴言に言及。「彼らは、移民すべてを犯罪者呼ばわりしている。そして、多くの人が少なくともそれを聞いて、『肌の色が茶色なら、つまり、彼らは悪い人間だ』と言うようになるのです」と強く批判した。
トランプ政権が大量国外追放の取り組みの第一段階で移民を標的にし、すでに何千人も拘束して国外追放していることについて、「本当に、これらの人々について、私たちは、『あまりにも悪質なので、裁判も適正手続きも行わず、ましてや更生させる努力もせずに、グアンタナモ収容所に送り、彼らのことは忘れてしまおう』と言ってしまっていいのでしょうか?」と参加者に問いかけ、「以前よりも常に悪化する状況に人々を置くことは、利己的な見地から見ても認められない」と語った。
移民問題に関する教皇フランシスコの米国司教宛ての最近の書簡では、トランプ政権の大規模な国外追放計画を批判しているが、セイツ司教は「教皇が私たちのために立ち上がり、私たちにはほとんどできないような雄弁さをもって、ある特定の方法で語ってくださった」と述べた。
対話集会では、多くの発言者が、「トランプ政権の移民政策や移民に関する暴言が引き起こている恐怖」を強調。セイツ司教は、「多くの移民が自国で経験したトラウマが、彼らを自国から逃れざるを得ない状況に追いやり、その旅路で経験したこと」について語り、「今では多くの移民がそのような状況に戻らざるを得ない、と感じている」と指摘した。
また、20代半ばのイエスという名の若者を取り上げ、先週のミサの後、彼は会衆全員の前でスピーチをし、温かいもてなしに感謝し、「移民コミュニティが今抱えている恐怖のただ中に留まるつもりはありません」と語ったと述べ、「このような話は、移民コミュニティ全体で繰り返されています… 多くの移民が『母国での生活がどんなにひどかったとしても、母国で命の危険を感じていたとしても、こんな生活は耐えられない』と言っている」と語った。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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