(2024.9.27 Vatican Newes Christopher Wells)
ベルギー訪問中の教皇フランシスコは現地時間27日午前、首都ブリュッセルのラーケン城を訪れ、フィリップ国王を表敬され、アレクサンダー・ドゥ=クロー首相と会談された後、ベルギーの政治・経済・文化・宗教、市民社会など各界代表、同国駐在外交団など約300名と会見された。あいさつの中で教皇は、ベルギーが欧州の中心に位置し、平和の架け橋となり得ることを強調されるとともに、欧州はじめ世界中で続けている聖職者による性的虐待問題を取り上げ、「教会の恥」と非難された。
あいさつの冒頭、教皇はベルギーを、「大陸とイギリス諸島、ゲルマン語圏とフランス語圏、南ヨーロッパと北ヨーロッパの架け橋… 国土が小さいにもかかわらず、調和を広げ、争いを鎮める架け橋です」と称えられた。
そのうえで、「欧州はベルギーを必要としています。それは人々や文化、大聖堂や大学の歴史を思い起こさせるためであり、戦争、植民地主義、搾取の暗い時代を思い起こさせるためでもあります… そして、それは人々の間で平和と友愛の道を歩み続けるためなのです」と強調。「平和と調和は、一度で得られるものではないが、細心の注意と忍耐をもって絶え間なく遂行しなければならない義務と使命です」と語られた。
*教会が果たすべき使命は… 児童虐待問題対応へ確固たる決意を
教皇は、特に教会の役割についても言及され、「軽薄な熱意や暗い悲観主義ではなく、神に愛された人類は虚無に陥る運命ではなく、『永遠に善と平和に招かれている』という確信を持って、すべての人が課題や困難に立ち向かうのを助けるのが、教会の果たすべき使命」と強調。
教会が使命を遂行するにあたって、「教会員の脆弱性と欠点」、そして歴史を通じて現れる「痛ましい反証」を認識せねばならないことを率直に認められたうえで、特に「教会にとって災いとなっている児童(などへの性的)虐待の悲劇的な問題」を取り上げ、「傷ついた人々に耳を傾け、寄り添い、世界中で予防プログラムを実施する」ことで、この問題に取り組む教会の確固たる決意を強調された。
教皇はまた、20世紀中頃に広まっていた「強制養子縁組」の慣行を指摘され、その慣行は善意から行われることが多かったことを認めつつ、歴史を通じて起きた様々な悪行に関して、「たとえ文化が福音から得た価値観を巧みに利用し、苦しみや排除を引き起こす偽りの結論を導き出しているとしても、教会が常に自らの中に明快な判断を持ち、支配的な文化に決して従わない強さを見出すように」と願い、祈られた。
*各国指導者は、ベルギーの歴史から平和のために働くことを学んで
あいさつの終わりに教皇はまず、「各国の指導者がベルギーとその歴史を見て、そこから学ぶことができるように」、また「政治指導者たちが平和のために働き、戦争の危険、不名誉、不条理を避ける方法を知るように」と祈られた。
そして、訪問のテーマとされている「En route, avec Esperance」を思い起され、希望を意味する「Esperance」が大文字になっているのは、「希望が二の次ではなく、私たちの心に宿る神からの贈り物であることを示すためです」と説かれ、「皆さんとベルギーに住むすべての人々への願いを、皆さんに残したい… 皆さんが常に聖霊からのこの贈り物を求め、それを歓迎して、人生と歴史の道を希望とともに歩んでいけますように」と願われて、あいさつを締めくくられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)