(2024.9.28 Vatican News Devin Watkins )
ベルギー訪問中の教皇フランシスコは現地時間28日午前、ケルケルベルクの聖心大聖堂で同国の司教、司祭、修道者、司牧関係者たちとお会いになり、「苦難に遭っても、『喜びと慈しみ』という福音の価値を体現するように促された。
あいさつで教皇は、「社会のあらゆる層に福音を宣べ伝える」という教会の使命に焦点を当てて離された。そして、まず福音宣教の道について、「西洋は今、信仰の危機を経験しています」とされたうえで、「教会は後手に回ることなく、この危機に遭って、自分たちを奮い立たせ、『聖霊の道』を再発見する機会として、歓迎せねばなりません。今の危機は、私たちが、皆が歓迎する社会の枠組みの中に位置づけられたキリスト教から、『少数派』のキリスト教、あるいはもっと適切な言い方をすれば、『証し』するキリスト教に移行したことを示しています」と語られた。
そして、「イエス・キリストを愛し、神の聖なる民と密接に歩み、多様性の中に調和を求めるように」と聖職者たちに呼びかける一方、「福音の喜びの姿勢」の重要性を指摘して、「それはつかの間の楽しみを超え、暗闇や苦痛の瞬間でさえ、私たちのキリスト教徒の生活を支えるために魂の奥深くに浸透します… 心の喜びは、福音によって燃え上がります。それは、私たちが旅路で孤独ではないこと、そして貧困、罪、苦悩の状況でさえ、神が近くにいることを知ること。から来るのです」と強調。
また教皇は、「忠実を守ることが難しく思えるとき、教会の司祭たちは、キリストの示す道がどこへ向かっているかを思い起し、キリストから力を得なければなりません」と述べられた。
さらに教皇は、「神は常に慈しみ深い」として、慈しむことの重要性を強調され、「父なる神は、たとえ私たちが重大な罪を犯したとしても、私たちから愛を取り去ることは、決してありません」とされたうえで、「世俗的な観点から見ると、神の広範な慈しみは不公平に思えるかも知れませんが、神の正義はそのような思いを超越し、すべての人に、過ちを正すように、と呼びかけているのです」と説かれた。
続けて教皇は、聖職者による性的虐待の危機が「ひどい苦しみと深い傷を引き起こし、信仰の道さえも損なわせている」と指摘。「被害者の苦しみを前にして私たちの心が固くならないように、沢山の慈しみを示すことが必要。そうすれば、被害者に私たちの親近感を感じてもらえ、できる限りの援助を差し伸べることができるのです」と強調された。
最後に、ベルギーの聖職者と修道士たちが「常に神の慈しみを人々示し、最も暗い時代に信仰の光を照らしてくれたこと」に感謝を述べ、「聖霊の助けがなければ、私たちキリスト教徒は何もできません」と付け加えられた。
*注:ベルギーの教会は、最近、自身の甥2人を含む未成年者への虐待を認めて辞任したロジャー・ヴァンゲルウェ元司教の悪名高い事件など、聖職者による性的虐待スキャンダルで、特に大きな打撃を受けている。教皇の発言にはそうした現実が背景にある。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)