(2026.9.28 Vatican News Kielce Gussie)
フランス訪問最終日の28日夕、教皇レオ14世は同国北東部、メッツの聖ステファン大聖堂で、訪問を締めくくるミサを捧げられ、ミサ中の説教で「『復讐や暴力』よりも『赦しと慈悲』を選ぶことは、弱さの道ではなく、むしろ強さの道」と強調された。
ローマへ戻るため空港へ向かう前の、教皇の最後の公的行事は、メッツの聖ステファノ大聖堂(Cathédrale Saint-Étienne)でのミサだった。
ミサ中の説教で、教皇はメッツの教区共同体と全世界の両方を主に委ねる、とされ、メッツが位置するモーゼル地方はルクセンブルクやドイツと国境を接しており、「この地域は常に様々な民族の交差点であり、ヨーロッパの辺境に位置することから苦難を強いられてきました…しかし、神の約束は、今日でもこの地でなお有効です」と語られた。
*「家」は単なる建物以上のもの
ミサの第一朗読について考察する中で、教皇は預言者イザヤが神の国を「義」「正義」「平和」の観点から捉えるために用いた三つのイメージ―砂漠、庭園、家―に言及。
まず、「砂漠―節制と沈黙の場―において、正義が確立される」について、「このイメージは、簡素さがいかに重要であるかを思い出させ、人生において真に不可欠なものは何かを見つめるよう私たちを招いています。それは、物事に適切な価値を見極める助けとなり、犠牲と放棄を私たちに教えてくれるのです」と説かれた。
二つ目のイメージは、「正義が支配する庭」。「砂漠とは対照的に、庭は水、種、芽、花といった美しさを現している。これは義にかなった生活の成果であり、それによって人は主の計画に自由に従うことで、完全に花開くことができます」と語られた。
そして、第三に、平和の場である「家」というイメージ。「砂漠や庭園では神の御業が支配しており、それが花や成長をもたらす。それに対し、家を建てるには、人間による、より直接的かつ重要な貢献が求められます。それは共同の努力による、真の建設プロジェクトです」と指摘。
「同様に、神からの賜物である平和もまた、人間からの応答を必要とします。なぜなら、家は単なる石造りの建造物以上のものであるからです。そこには人間の存在と愛が満ち溢れている。限界に満ちたこの世界において、調和は、愛を通じてのみ築かれる。それは、喜びも悲しみも分かち合い、励まし、許すことを知り、家族のように計算や制限なしに行われる愛なのです」と強調された。
*砂漠をオアシスへ
続けて教皇は「今日の世界は、様々なレベルで暴力、操作、傲慢によって傷つけられている。しかし、そうした状況の中で、イエスは私たちに、砂漠をオアシスに変え、庭を植え、家を建てる方法を示してくださる。その道は、赦し、憐れみ、そして寛大さによって彩られています」とされ、教皇はすべての人に、「復讐、報復、拒絶は、世界においても、私たち一人ひとりの中においても、何をもたらすのか。もしこれらの態度が私たちの言葉や行動の基盤となったら、未来はどうなるのでしょうか」と問いかけられた。
そして、「過去に兄弟殺しの紛争によって引き裂かれたこの土地の子らであるあなた方は、復讐を求める者が赦す者よりも強いというのは真実ではないことを、よく知っているはずです」と語られた。
「メッツとモーゼル地方は、誰かが恨みの連鎖を断ち切ってこそ和解が可能になるという好例を示している。不正に直面したとき、救いへと向かう唯一の道は、他者を思いやり、いかなる状況においても信頼を差し伸べようとする愛を通じたものです… 法、正義、平和は、個人的な旅路として始まり、次第に共同体のものとなり、人間とその創造主を尊重する文明へと至る回心の道のステップなのです」と強調。
続けて、「聖アウグスティヌスは、真の平和を、『人々が神の中に、そして神を通じて互いに喜びを見出す交わり』と定義しました。それは他者の唯一無二で神聖な尊厳と役割を認識し、尊重することも必要とます」とされ、「これらはまさに、何世紀にもわたって欧州が築き上げてきた価値観そのものです。キリスト教の修道生活もまた、人間第一主義、個人の自由の保護、見知らぬ人を迎え入れることなど、世界を統べる道徳的原則を伝承するのに貢献しました」と述べられた。一役買った。
*差異の調和の中で
そして、教皇は「聖ステファノ大聖堂は、これらの原則に対する不屈の精神と忠実さの好例です。この大聖堂は、神の光が私たちの独自のアイデンティティを消し去るのではなく、むしろ異なる歴史や文化を一つに結びつけ、平和という一つの素晴らしいモザイクを織り成すことを教えてくれます。新たな分断や紛争に引き裂かれている現代において、これほど必要とされているものはありません」とされ、さらに、「このステンドグラスは、欧州の未来が画一性の中にあるのではなく、『差異の調和』の中にこそあることを私たちに教えます。そこでは、過去の傷が、光が差し込む開口部となるのです」と強調された。
(大聖堂のステンドグラスは6,500平方メートルに及び、ヨーロッパ最大のゴシック様式ステンドグラスコレクションを構成している)
さらに「これは教会のアイデンティティの象徴。建造物は、私たちが世界に福音の光を届ける手助けとなります。ステンドグラスは、私たちを一つに結びつけ、英雄主義、善、慈悲、愛、そして道徳的な美しさに満ちた素晴らしい物語を思い起こさせる『書物』であり、私たちもまた、それらに対して寛大かつ勇敢な証人とならなければならない」と説かれた。
説教の最後に教皇は「今日、かつてないほど、この国、欧州、そして世界にとって希望の灯台となるよう求められているメッツの共同体が、聖母マリアとフランスの守護聖人たちの取り次ぎに委ねられますように」と願われた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)