☩教皇スペイン訪問初日「私は福音への忠誠を確認し、新たにするために来た」ー政府、政財界、市民団体の代表、外交団との会見で

(2026.6.6  Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

    スペイン訪問の教皇レオ14世は6日朝、マドリードの国際空港に到着、王宮での歓迎式典、国王と王妃への表敬訪問のあと、同日昼、政府、政財界、市民団体の代表や外交団と会われた。あいさつで教皇は、「私は、信者たちの間で福音への新たな忠誠を確認し、励まし、植え付けるため、またこの国の様々な構成要素の間でより深い和解と協力を促すために、皆さんのもとを訪れました」と語られ、「宗教の自由と良心の自由を守ること」の重要性を強調された。

Pope Leo XIV addresses authorities in Spain
Pope Leo XIV addresses authorities in Spain   (@Vatican Media)

 

*スペインは、2000年近くも福音を受け入れてきた偉大な国

 挨拶の冒頭で教皇は、スペインの人々に対し、「国際法と多国間主義への忠実な遵守は、人々の間の平和と連帯への積極的な取り組みに反映されています」と讃えられたうえで、「国内での対話と市民的友好を育み、未来を描く際には貧しい人々や若者の視点を考慮に入れ、自治と統一への要求を調和させ、そして『欧州の統一』という大義を推進するように』と促され、「それは他の勢力に対抗するためではなく、全人類への贈り物としてです」と述べられた。

 また、スペインがご自分を招待し、この巡礼の旅において「ほぼ2千年もの間、福音を受け入れてきた偉大な国」を訪れさせてくれたことに感謝され、「伝統は常に、イベリア半島における初期の福音宣教を、使徒ヤコブ(大ヤコブ)の説教と結びつけてきました。この結びつきが神学的に極めて重要です。それは、聖霊降臨に始まった使徒的使命との連続性を、現地の教会が自覚していることを表しているからです… キリスト教の信仰とこの地との古くからの絆が、スペインの文化を深く形作り、今日、人類の一家族として共に直面しなければならない課題の中で、希望と指針の源となっているのです」と指摘された。

 さらに教皇は、「私は、一年を通して、また人生の様々な場面に合わせて、あらゆる都市や町で救いの真のドラマとして立ち現れる民衆の信仰の表現について考えます。芸術的、音楽的遺産や、数多くの兄弟会、慈善団体と共に、イエス・キリストと、あなた方の民との実りある出会いを証ししている。あなた方の民とは、人生を愛し、それを表現する情熱的な人々です!そして、信者たちのこの信仰を励ますためにスペインを訪れました」と語られた。

 

 

*宗教の自由と良心を守ることの重要性

 教皇はまた、「スペインの様々な要素の間で、より深い和解と協力を国民に呼びかけたい。スペインの歴史は、対立ではなく、出会いの文化こそが安定と繁栄をもたらすことを示唆しています」とされ、聖ヨハネ・デ・ラ・クルスと聖テレサ・デ・アビラを想起。「二人は、神の神秘への情熱によって友人として結ばれした。スペイン出身のこの二人の傑出した人物が、5世紀にわたり、スペインの国境を越えてまでも、教会の生活と多くの人々の霊的旅路を豊かにしてきたこと」を思い起され、聖イグナチオ・デ・ロヨラについても言及された。

 そして、聖人たちについて考察する中で、教皇は「恐ろしい不均衡や紛争に揺さぶられているように見える今の私たちの時代は、その深みから平和を、人間とその侵すことのできない尊厳に対する新たな理解を、愛の文明を、と叫び求めています… 聖テレサは、『内なる城』というイメージを用いて、この同じ過程を描写しています」とされ、「部屋から部屋へと、最も内側の部屋―すなわち、真実の聖域である自らの心へと向かうにつれ、空間は広がり、心は開かれ、困難は克服され、緊張は解け、他者はその居場所を見出し、宇宙は我が家となる。これは自己への逃避ではなく、自らに立ち返った時に達成される『トトゥス・アリウス・エト・センペル・ノヴス(全く異なる者、常に新しい者)』への根本的な開放です」と強調。

 「人間という存在のこの側面こそが、宗教の自由と良心の自由が守られねばならない理由です」と述べられた。

*世界で強まる分極化に立ち向かわねばならない

 

 続いて教皇は、現在の世界で「分極化の炎に油を注いで人気を得ようとする誘惑は、減るどころかむしろ増大しているようであり、人間の尊厳は依然として踏みにじられ続けています」と指摘。「だからこそ、私たちには文化と内面性、そして質の高い自由な教育が必要なのです。超越性が必要なのです。こうした暗黒の夜でさえ、真理に忠実な男女たちは、正義と平和が彼らの良心の中で抱擁し合うまで、一つの部屋から別の部屋へと進み続けてきました。彼らの自由を通してこそ、私たちは自由であることを学ぶのです」と訴えられた。

 また、「カトリック教会は人間の心の渇きに奉仕するもの。それは強制による奉仕ではなく、数多くの殉教者や聖人たちが証しした福音の証しです。今日、教会は和解と平和を求める人々の未来のために、自らを奉仕の場に置く用意があります」とされた教皇は、「真理への愛ゆえに、社会の実情や歴史における分断や対立を招く物語を脇に置き、複雑さを実りあるものとして受け入れることで、実りのない単純化を乗り越えるように」と参加者たちに呼びかけられ。そして、「私は特にヨーロッパに適した使命を見出しており、その中でスペインは唯一無二かつ根本的な役割を果たしています」と指摘された。

*学校、大学、研究への投資など質的な飛躍が求められている

 教皇はスペインの人々に、「複雑さを理解し、研究するように。それを否定するのではなく、祝福として受け入れることを学ぶよう二」と求められ、さらに、「新たな技術によって、私たちの根本的な選択が試され、偏見が拡大し、批判的思考が弱まり、支配的な利益が死の願望を広める人工的な環境が作り出されているが、善は勝利し、広まることが可能です」と指摘。

「特に経済的、政治的、制度的な責任を負う方々にとって、質的な飛躍、すなわち学校、大学、研究への投資の方向転換、そして参加と文化的仲介の温床としての地域社会や市民社会への投資の方向転換が必要です」と説かれた。

 続けて教皇は、スペインが平和と調和に貢献する必要性について考察され、「私たちは、あまりにも頻繁に武器や壁の中に『安全』を求める傾向にある。それは、実際には、互いに寄り添いながら前進し、共に成長することを学ぶことによってこそ、最もよく達成されるもの。スペインの歴史こそが、その証左です」とされ、「イベリア半島におけるイスラム教の存在が、長きにわたって政治的、文化的、宗教的現実を構成してきた」ことを認めつつ、「宗教間の平和的共存と対話に向けて前進するように」と促された。

 さらに、平和、多国間主義、国際法への献身に対しスペインに感謝の意を表し、国内および国外において平和と調和を促進するよう呼びかけ、「神よ、スペインを祝福したまえ!」と祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年6月6日