
教皇レオ14世は現地時間25日午前、4日間のフランス訪問のためパリに到着。そのままエリゼ宮に向かわれて、マクロン大統領と非公開で会見され、続いて政財界、市民社会の代表、駐仏外交団との会合にお出になった。
会合の挨拶で教皇は、フランス社会へのカトリック教会の貢献を強調するとともに、「非武装かつ軍縮」を伴う平和の実現に向けて取り組むよう呼びかけられた。
教皇は挨拶でまず、自身のフランス人としてのルーツに言及するとともに、フランス国民への祈りを約束された。
そして、フランスが何世紀にもわたって、欧州と世界にとって「文化、芸術、精神的な灯台」としての役割を果たしてきたことを振り返られ、「忠実なカトリック信者でもあった多くの優れたフランス人学者たちは、科学や芸術、文学、哲学が、美と善と真理の追求に向けられたとき、いかに人類の幸福に寄与し得るかを明確に示しています。それは世界が命を持つためです」と語られた。
また教皇は、2019年の火災後のノートルダム大聖堂の再建に、フランスの建築家や芸術家たちが示した卓越した技量に感謝の意を表され、「印象的な技術的偉業。ノートルダム大聖堂の再建は、修復不能と見なされていたものが相互協力によって再生できることを示しました」と讃えられた。
続けて「フランスには深いキリスト教のルーツがあり、この国の魂は、キリスト教から、豊かな精神的、文化的、知的、芸術的、そして宣教的なエラン(気概)を引き出しています… 16世紀の人文主義において、フランスの哲学者たちは古代ギリシャ・ローマの遺産とキリスト教の信仰を融合させ、人間の本質に基づく人権、とりわけ宗教の自由の承認を推進しました」と指摘。
教皇はまた、フランスの国是に言及され、「『自由、平等、友愛』は、普遍的な倫理的義務を指し示しており、福音のメッセージの中にも、尽きることのないインスピレーションと成就の源を見出しています」と述べられた。
続いてご自分の回勅『Magnifica Humanitas』でAI(人工知能)を取り上げたことに言及され、「人間の尊厳と基本的権利・自由への尊重は、社会の変化や技術の進歩に歩調を合わせなければなりません」と強調。「私たちの日常生活に侵入し、それを支配する『機械の楽園』の中で、人間性を失わないためには、倫理的判断力と道徳的善を認識する能力を養う教育が、緊急に求められています」と訴えられた。
また、フランスの「豊かで多様な社会構造」にも言及され、「貧しい人々や恵まれない人々の福祉に引き続き尽力しているカトリック信徒たちの努力」を称賛。聖ヴィンセンシオ・パウロの慈善の遺産を振り返り、「教会は、神の慈悲と憐れみの生きた顔となることを目指しているのです」と説かれた。
さらに教皇は、「現代の人々の感性は、あらゆる形の苦しみを排除しようとする傾向にある。この傾向はしばしば、自己欺瞞のリスクをもたらします」とされ、「科学と技術が、より深い知恵に導かれていない場合、人々の願いや苦痛に応えるような即効性のある解決策を提供するように見えても、人々が志向するより大きな善から著しく逸脱させてしまう恐れがあります」と警告。
「相互尊重とあらゆる人間の生命の保護は、すべての人が負うべき義務。それは心と精神の回心から始まり、他者の幸福への無私の献身を必要とます」と指摘された。
そして、キリスト教徒に対し、「信仰の光に導かれて、公共奉仕に従事するように。真の世俗性は、宗教を排除するものではなく、『教育的資源』として重視するものであるはずです」と語られた。
また教皇は、中東における教育および人道支援活動、とりわけ260校以上の学校や大学の資金援助を支援するフランスの取り組みに感謝され、「『平和の君』がお生まれになった地で、紛争の余波と戦争の惨禍が今も続いていること」を想い、「人間としての尊厳を傷つけられ、神に正義を叫び求める人々の苦痛を前にして、私たちは無関心でいることができません」と述べられた。
これに関連して教皇は、「核兵器の禁止と、正義および正しい理性の勝利」を訴え、「平和とは、『力の均衡』ではなく、対話と正義を通じて日々築き上げられるもの」と強調された。
挨拶の最後に教皇は、「フランスが、平和と多国間主義のたゆまぬ擁護者であり続けるように。貴国の伝統的な価値観に忠実であり続け、非武装かつ軍縮を伴う平和のために尽力し、その目標に向けて独自の貢献を責任を持って果たすこと、そして、貴国の自由が、公共の福祉への絶え間ない配慮の中で育まれること」と願われた。