(2024.10.28 La Croix Mikael Corre (with Malo Tresca))
1か月にわたる議論の後、シノダリティ(共働性)に関する世界代表司教会議(シノドス)総会の第2会期は、10月26日に作業を終了した。 最終文書は、これまでのあり方の変更と大幅な改革を推奨しており、異例なことに、教皇フランシスコによって即座に承認された。
26日、シノドス総会の閉会にあたり、教皇は最終文書をそのまま発表し、自身の使徒的勧告を出さないことを発表。この文書は教義上の価値があり、「指針となる」と述べた。2021年10月の”シノドスの道”の開始から3年にわたる協議と討論の結果としてまとめられた51ページ、155条項の文書は、参加型の教会を目指し、統治改革を提案している。La Croixは、文書で示された今総会による10の主要提案を、次のように特定した。
教会における女性の指導的役割の拡大
注目されていた「女性への助祭職の開放」の問題は、当初は専任の作業グループに判断を任されていたが、10月21日にパウロ6世ホールで発表された最終文書の草案には取り上げられていなかった。だが、採択された文書には女性の助祭職に関する記述が再び登場した。「女性が教会で指導的役割を担うことを妨げる理由や障害は存在しない。聖霊から来るものは止められない」と明言し、教会における女性の直面する「障害」について、以前のバージョンよりもさらに強調している。
女性の助祭職に関係する箇所とこれらの不平等の指摘(60項)は、26日に行なわれた総会の全体会議の投票で、356人の参加者のうち97人が反対し、項目別採決で最も多くの反対票が出た。そして、すべての項目は投票権を持つ参加者の3分の2の賛成で採択された。 女性の役割に言及した箇所は、「特に女性の役割が十分に研究されていない領域において、女性に関する教会法で規定されているすべての機会の完全な実施」を求めるものになった。
財務の透明性と虐待防止に関する規則の制定
最近の財務関係などの不祥事による教会に対する信頼性の低下を踏まえ、最終文書では教会内に「透明性の文化」を推進するための規則の制定が提案された。文書では、「プライバシーと守秘義務」を保護しつつ、年次財務監査を含む、明確で公正かつ一貫性のある倫理的な管理が求められた。
また、年次報告書には「未成年者および社会的弱者」の保護措置の詳細を記載すべきであり、彼らと働く人々に対する「特定かつ適切な育成」が推奨されている。教会指導者の「聖職と宣教」は定期的に評価されるべきだ、とした。
「最終文書のこの関係で注目される新たな点は、説明責任が高位聖職者だけでなく、教会共同体全体に対して求められたことだ」と、総会に参加したある神学者は指摘した。この説明責任の論調はあらゆるレベルに反映し、文書では教皇庁の「定期的な評価」が提案され、それは教皇の代理者たちにも拡大される可能性がある。
信徒のための新しい「傾聴と同伴の奉仕」の模索
「一般信徒による奉仕」の輪郭はまだ明確にされていない。一部の総会参加者は、奉仕が「教会共同体の周縁に位置する人々、教会から離れた後に戻ってきた人々、真理を求め、主との出会いに導かれるのを望む人々」を歓迎することを、目的とするよう提案した。最終文書では、総会での討議中、「2つの見解が浮上した。一部は傾聴の役割を高めることを提唱し、他は洗礼を受けたすべての人々の責任のままであるべきだと考えた」としている。そして、これらの相違点には継続的な「識別」が必要である、と指摘した。
「説教の奉仕」に関する提案、すなわち、「男女の信徒が説教を行うことを可能にする」という提案は、今総会を通して再浮上したが、最終文書には盛り込まれなかった。この提案は、シノドス総会の前に配布された討議要綱に含まれていたにもかかわらずだ。
司牧評議会および経済評議会の設置義務化
最終文書は、機能的な小教区、教区の司牧評議会、そして経済協議会の設置を義務付けることを要請した。この「要請は、”シノドスの道”のすべての段階においてなされた」と記されており、それらの協議会が「純粋に形式的な方法にとどまらず、その役割を十分に果たす」ことを促している。
また協議会メンバーの選出プロセスの重要性も強調された。「選挙が想定されていない場合、シノダル(共働的)な協議は、共同体または地元教会の現実を可能な限り反映したものでなければならない」と。ただし、ここでの表現はより穏やかになっている。討議要綱では、「協議会メンバーの半数以上は司祭や司教によって選出されないこと」が推奨されていた。大多数は教会当局によって任命されるのではなく、現地の教会共同体の現実を反映すべきだ、というように、表現が変わっている。
教区会議の定期的開催の奨励
今総会は、教区会議を「司教と、司教に委ねられた神の民の一部との定期的協議の場として非常に重要である」と奨励し、未成年者の保護、財務、資産管理などの取り組みについて報告できるとした。この文書は、これらの地域協議を「定期的に、稀にではなく、頻繁に」行うことを推奨している。
初期の草案では、これらの会議を「3年から5年ごと」に開催することが提案され、義務化することが提案されたが、「事務的および人的な負担が大きい」という理由で反対意見が出た。
補佐司教の役割と委任の明確化
司教の職務に専念する項目では、「補佐司教の役割を明確にし、司教が委任できる職務を拡大する」必要性が強調されている。さらに広く言えば、今総会は、「特定の状況に適応した司教の継続的な養成」を推奨した。
また、司教叙階は、出身教区ではなく、任命された教区で行うことを提案した。これは、現在も一部の地域で実践されている方法である。退任した司教たちの「名誉司教評議会」の結成、という提案は取り下げられたが、文書では彼らの経験を「尊重する」ことが推奨されている。
東方教会代表者のための評議会の結成
最終文書では、「交わり」を促進するために、「教皇が主宰する、東方カトリック教会の総主教、大司教、大主教による協議会」の創設を呼びかけている。これは、東方教会の信者の多くがラテン・カトリックの地域に移住しているという、彼らのアイデンティティを損なう危険性のある課題に対処することを目的としている。
福音宣教に関するエキュメニカルな公会議の開催
最終文書では、「福音宣教に関するエキュメニカルな会議の開催が可能なように、共通かつ緊急の関心事に関する協議と識別の形態」が想定されている。 地方協議会には、他の教会やキリスト教共同体からの代表者も参加できる可能性がある。
2025年のニカイア公会議1700周年記念は、復活祭の日付の統一に関する議論が進行中であることから、新たなエキュメニカルなイベントとなる可能性がある。
「障害を持つ人々に関する研究センター」の創設
当初の議題にはなかったが、最終文書では「障害を持つ人々に関する教会ベースの研究センターの設立」が提案され、「福音宣教の積極的な担い手として召され、派遣されていると感じている障害を持つ人々の使徒的潜在能力」が認識されている。「彼らがもたらす人間性の豊かな豊かさから生じる貢献を評価する」ことを目指しており、これらの人々が「苦しみ、疎外、差別を経験し、時にはキリスト教社会そのものの中でさえ苦しんでいる」ことを認識している。