
(2026.5.5 Vatican News Antonella Palermo)
バチカンのシノドス事務局が5日、「司教職候補者の選任基準」に関する第7研究グループの最終報告書の第1部、および「教義的・司牧的・倫理的問題を見極めるための神学的基準とシノダル(共働的)な手法」に関する第9研究グループの最終報告書を公表した。
シノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿によると、第7、第9研究グループの最終報告書は、司教選出の核心には「識別」があることを再確認するとともに、教会が直面する最も困難な課題にどう対処すべきかを識別するための具体的な神学的基準を採用している。
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【「司教職候補者の選任基準」に関する第7研究グループの最終報告書の第1部】
第7研究グループの最終報告書では、司教の司法的機能、ad limina apostolorum(使徒座への訪問)、および司教養成に関する考察が続く中、第1部の「司教選出の基準」に関する序文部分が公表された。
そこでは、「羊のいないところには羊飼いはおらず、羊飼いのいないところには羊の群れはない」という根本的な前提を再確認。司教候補者に求める「シノダル(共働的)資質」には、「交わりを築く能力」「対話する能力」「地域文化に対する深い知識」、そしてそれらに「建設的に溶け込もうとする意欲」が含まれる。
また、教皇大使に対し「シノダル的かつ宣教的な資質」を持つことを求めており、それによって教皇大使もまた、司教候補として提案される人物の中にこの資質を見出せるようにすべきであるとしている。
そして、各教区が自らの状況と必要性について定期的に見極めのプロセスを実施し、そのプロセスがシノダル的かつ宣教的な教会の基準を満たしているかを確認し、最良の実践例の共有を促進すべきであると述べている。
新司教の選任については、「司教の継承が近づいた際、司教は司祭評議会および教区司牧評議会を招集しなければならない。そのメンバーは、共同体的(コロギアル)な方法で教区の必要性について意見を表明し、司教職に適任と考える司祭の名前を、封印された封筒に入れて司教に提出する」とし、「可能であれば、協議には大聖堂参事会、財務評議会、信徒評議会、ならびに奉献生活者、若者、貧しい人々の代表者も含めるべきだ」と述べている。
*協議への奉献生活者と信徒の参画
そして、「神の民のすべての構成員が識別力を高めるのを助ける」ことを目的とした、いわゆる「形成への投資」を奨励。また、「司教が聖職者の継続的な養成を行うのを支援するための専門チーム」を設置することを提案している。
また、教区長・司教が空席となっている場合、教区内に委員会を設置することを提案。「教皇大使は、教区の状況、新たな司牧者の資質、および候補者候補を明確にするために、この委員会と協議することできる」としている。さらに、協議には「聖職者だけでなく、可能な限り同数の奉献生活者(男女)、および信徒(男女)も参加させること」を推奨、その目的は、「真実を可能な限り完全に引き出すことにある」と説明している。
報告書はバチカンの各省庁に対し、その手続きをより「シノダル(共働的)」な方向へと見直すよう求め、司教の選任プロセスに対する定期的な独立評価の実施を提案している。
*第7研究グループの最終報告書の第一部公式要約の日本語試訳
第7研究グループの報告書は、聖霊に導かれ、祈り、傾聴、そして識別という姿勢を特徴とする教会的な出来事として、司教職候補者の選定プロセスを理解し、実行する一助となることを目的としている。このプロセスには、様々な立場で多くの主体が関与している。
第一に、その司教に導かれる地方教会、次に、同一の教区管区に属する、あるいは司教協議会に集う司教たち、そして最後に、ローマ教皇庁と連絡を保つ、使徒座大使が主宰する教皇庁代表部である。
司教の選任にあたっては、求められる資質の中に、候補者の「共議的な能力」、すなわち共議的かつ宣教的な教会の必要性に対する感受性を考慮に入れるよう推奨した上で、同グループは、教皇大使自らがまず共議的かつ宣教的な資質を備え、それによって、司教候補として指名された者たちの中にも同様の資質を見出せるようになることを期待している。
初期の時代から、各地方教会がその司教を選出する過程において様々な形で諮問を受けてきたという認識に基づき、同グループは、各教区が定期的に、自らの現状と必要性に関する識別プロセスを実施することを提案する。
このプロセスは、一方で教区内で司教職の候補者として提案すべき司祭を特定し、他方でその地方教会の将来の牧者の資質像を策定することを可能にするものである。
特に、教区管区(または司教協議会)の司教たちが、使徒座に提出する司教職候補者名簿を作成するよう求められている会議に鑑み、 本グループは、司教が少なくとも司祭評議会および教区司牧評議会を招集することを提案する。
これにより、各構成員は、封印された封筒に、自教区で活動する司祭のうち司教職に適任と判断する者の氏名、ならびに自教会の将来の司教像に関する意見(後継者として適任と考える司教または司祭の氏名を含む)を記し、司教に提出することができる。
これらの協議の結果は、司教によって教区管区または司教協議会の司教総会に提示され、同総会は可能な限り合意を反映した司教職候補者名簿を作成する。また、当グループは、司牧者の後継者が決定する時期が近づいた際、退任する司教が共同の識別を行うための具体的な機会を設けることを提案する。
さらに、教区が空位となる時点、あるいは聖座が後継手続きの開始を承認した時点で、教区内に「教区後任者選定委員会」を設置することを提案している。使徒座大使はこの委員会を活用し、教区の状況や新司教の資質を明確にし、また候補者に関する意見を求める。
一方、教皇大使は、各教区および各教会管区(あるいは司教協議会)で行われた協議の結果を受け取り、さらなる協議と統合する。この点に関して、聖職者だけでなく、同数の信徒および奉献生活者にも相談することを推奨する。
この協議の目的は、教区の状況やニーズ、そして司教職の候補者たちの資質や適性について、可能な限り真実を明らかにすることにある。本グループは、情報提供者に対して配布する質問票を更新・細分化すること、また、状況や人物について十分な理解を得るために書面による質問票だけでは不十分と思われる場合には特に有用な、個人面談を活用することを提案する。
第9研究グループは、ローマ教皇が各地の教会を司牧するのを補佐する任務を負うローマ教皇庁の各省庁もまた、教会的な識別の手法が日常の活動に反映されるよう、自らの手続きを見直すよう求められていると考える。2021年から2024年にかけてのシノドス・プロセスの精神に基づき、さらに、司教職候補者の選定プロセスに関する評価の方法を設けることを提案する。
このような評価は定期的に行われ、そのプロセスがシノダル(共働的)かつ宣教的な教会の基準を満たしているかを確認し、優れた実践例の共有を促進し、必要とされる措置を講じるものでなければならない。最後に、本グループは、教皇の裁量により、定期的に独立した教会委員会を設置することを提案する。同委員会は、その評価においてローマ教皇庁の各省庁の活動も対象に含めるものとする。
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【「教義的・司牧的・倫理的問題を見極めるための神学的基準とシノダル(共働的)な手法」に関する第9研究グループの報告書】
第9研究グループの最終報告書は、『使徒言行録』第10章から第15章に見られる聖書のイメージを引用。そこでは、「福音の新たな本質を裏切ることなく、いかに文化的多様性を尊重できるか」が示されている。そのうえで、教会が最も困難な教義的、司牧的、倫理的な問題に取り組む方法において、パラダイムの転換を提案している。
第一に、これらの問題を表現する際、「物議を醸す」という形容詞よりも、「出現しつつある」という形容詞を用い、「目的は単に問題を解決することではなく、関係性の回心、共有された学び、そして透明性を通じて、共通の善を築くことにある」と説明している。
さらに、「すでに聖霊が働いている」対話者に対して責任を負うことなしには、福音の宣教はあり得ないことから、「司牧的原則」を導入している。
また、これらの課題に取り組むための方法論的ステップとして、「自分自身に耳を傾けること」「現実に耳を傾けること」、そして「多様な知識を統合すること」を挙げ、「聖霊による対話」こそが、教会におけるシノダリティ(共働性)の文化を育むための特権的な手段であり続ける、と指摘している。
*識別のための基盤としての具体的な証言
最終報告書は、これらの指針を、同性愛者のカトリック信徒の体験や、積極的な非暴力の実践に具体的に適用するよう求め、特に非暴力の形態に関しては、初期教会のキリスト教徒からインスピレーションを得て、ミロシェヴィッチの平和的な失脚に貢献したセルビアの若者たちの運動の証言が、検討グループの指針となったとしている。
いずれの場合においても、証言は、倫理的・神学的識別への道のり、そして未解決の問いに対する出発点として機能し、それによってあらゆる共同体が、「歴史や人々の経験の中で神が働かれる善を認識し、促進する責任」を担うことができるようになる、と述べている。
* 第9研究グループ最終報告書の英語訳全文は以下でご覧になれます。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.synod.va/content/dam/synod/process/implementation/10workinggroups/final-reports/sg9/SG-9_Final-Report.pdf