・ドイツ教会の”シノダル・パス”は世界の教会の模範になる、と外部関係者(LaCroix)

Germany's "Synodal Path" is a model for the global Church, says observerSynodal Path opens with Mass in Frankfurt Cathedral on January 30, 2020. (Photo by ANDREAS ARNOLD/DPA/PICTURE-ALLIANCE/MAXPPP)

(2021.10.12 LaCroix  By Christa Pongratz-Lippitt | Austria)

    教会改革を議論するためにドイツのカトリック教徒が2年前に開始した”シノダル・パス”の手法は、世界の教会が始めた”シノドスの道”も模範になるだろう、と外部関係者はみているようだ。

 その一人がルクセンブルクのキリスト教会評議会の元会長でSIGNIS(世界カトリック情報通信協会)の元副会長、テオ・ペポルテ氏。9月20日から10月2日の現地ドイツでのシノドス関連の活動に参加した18人の国際オブザーバーの1人だが、見聞したことに大いに感銘を受けたという。ドイツ司教協議会の公式サイトに「ドイツの教会がとっている手法は、間違いなく、世界の教会が採用すべき模範になる」と語った。

*”シノダル・パス”のきっかけは「聖職者の性的虐待問題」

 ドイツの司教団と一般信徒によるドイツ・カトリック教徒中央委員会は2019年の終わりに”シノダル・パス”を開始した。聖職者による性的虐待が引き起こした危機によってもたらされた荒廃で、多くの信徒の教会離れが起きていることへの、対応を検討するのが狙いだった。以来、司祭と信徒代表合わせて約230人が参加し、「権力と抑制、均衡 」「性道徳」「司祭の生活様式」「教会における女性の役割」の4つの部会で教会改革について話し合いを進めている。

 「論争は全く当たり前のことです」。ペポルテ氏は、”シノダル・パス”を発足させ、勇気を持って前進させたドイツの教会の姿勢を評価した。 「”シノダル・パス”は、異なる意見をまとめることがいかに難しいかを示しています。しかし、議論されているテーマはとても複雑であり、意見の違いから論争が起きるのは、驚くに足りません」と述べた。

*論争が起きるのは当然のこと、恐れるな

 またぺポルテ氏は「ドイツ人が非常に思慮深く、慎重に歩みを進めているのは、良い兆候だと思う。教会の諸問題について開かれた議論が行われるのはとても良いことです。もちろん、論争につながる可能性もありますが、一部に限られます。すでに長い間、教会は多元主義の下に歩んできたし、論争は避けられない。”シノダル・パス”に参加している人の大多数は、ドイツ司教協議会の会長、副会長とドイツ・カトリック教徒中央委員会の会長、副会長で構成される幹部会が提案する教会改革の道筋を支持しているのは明確です」と強調した。

 それは、教会改革に反対する少数派の意見が抑圧されたことを意味するものではないが、ぺポルテ氏は「教会改革の必要性は切実な課題です。ドイツ教会のやり方が共通のよい目標につながる可能性は、とても高い、と確信しています」とし、 「私たちルクセンブルグの教会や他の欧州諸国の教会も、そこから多くのことを学ぶことができる。ドイツで行われていることが、世界の”シノドスの道”に流れ込むことを強く望んでいます」と語った。

*信徒の信頼喪失への処方箋は”シノドスの道”しかない

 さらに、「ドイツの”シノダル・パス”のきっかけとなった聖職者による性的虐待問題の衝撃はまだ続いている。この問題が明るみに出るかなり以前から、欧州諸国の教会に対する信徒たちの信頼は、失われ始めていたと思う。性的虐待問題は、信頼の喪失を加速させただけ、と言えます」「司教たちさえもこう言っています。『私たちは、今までの歩みを続けることはできない。教会のシステム全体を内部から刷新する必要がある』と。そして、シノダル・パスが、刷新のための唯一の方法であり、一般信徒の参加を求めるのが最も重要なことだったのです」とペポルテ氏は述べた。

 欧州諸国の教会は、これまで長い間、同様の問題について議論してきた。だが、「残念ながら、ルクセンブルグの教会では、信徒たちが教会改革への関心を失っており、メディアで教会のことを取り上げることは、ほとんどなくなっている。この”教訓”から、ドイツの信徒たちに、一般社会とのつながりを断ち切らないように期待します。一般社会と遊離した教会にとって、改革が切実に必要とされているもう一つの理由なのです」と訴えている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年10月17日