・シノドス特集:米国のある教区の場合ー「聖霊は私たちを基本に立ち返るよう呼びかけている」(Vatican News)

Listening session with Bishop Rojas, Diocese of San Bernardino, CaliforniaListening session with Bishop Rojas, Diocese of San Bernardino, California 

 米カリフォルニア州のサンバーナーディーノ教区の事務局長、シスター・レティシア・サラザールは、彼女が参加した”シノドスの道”の歩みが自分を「変えた」と語っている。

 1 月 25 日、米国とカナダの両司教協議会が主催した”シノドスの道”の北米大陸レベルのバーチャル(仮想)の集会が終了した。 集会は、昨年12 月 14 日から 今月 25 日までの間に、フランス語、スペイン語、英語で合計 10 回、開かれてきた。

 ZOOMなどを使ったバーチャルの形式をとることで、実際に皆が集まっての集会では旅費や時間の制約で参加できなかった人々が参加できるようになり、バチカンのシノドス事務局が小教区、教区、国レベルのこれまでの歩みの成果をまとめた、大陸レベルの歩みのための作業文書で提起された質問に対する意見、提案を述べ合うことが可能となった。

 Company of Maryの会員でもあるシスター・レティシアは、2021 年 10 月に始まった”シノドスの道”の歩みの経験について、Vatican Newsに語った。

*”シノドス の道”ー 素晴らしい機会を得た

 ”シノドスの道”の歩みが始まった時、シスターはちょうどサンバーナーディーノ教区の事務局長になったばかりで、アルベルト・ロハス司教に対して、「司祭、信徒の声を聴くことで、教区の現実を知る絶好の機会になる」と積極的な取り組みを働きかける一方で、これまでの修道女としての現場での経験が役に立つと認識し、シノドス事務局から送られてきた準備文書と手引書に目を通したうえで、様々な分野で活動する6人でチームを結成した。

 

 

*”シノドスの道”を歩み始める

 当初は教区の司祭や男女聖職者、一般信徒に「”シノダル(共働性)”の意味を説明することさえも難しかった」が、ロハス司教のリーダーシップと「人々の意見に耳を傾けるという決意と願望」の下で、”シノドスの道”を歩み始めた。

 シスターは、多くの耳を傾ける集まりに参加し、「とても恵みに満ちた」経験をしたが、新型コロナウイルスの感染が続く中での困難もあった。それでも、「若者たちと、高齢者たちと、そして移民たちと会いました。司教と私は、さまざまな集まりのほとんどに立ち会うよう努め、貴重な現場の情報を集めました。そして、司教と”シノドスの道”推進チームで2 週間にわたる黙想を伴う検討会を開き、集めた情報を基に、聞き取りに別の手法をとることになった。

 「私たちは耳を傾けました。耳を傾ける中で、私たちは問いかけましたー『神は私たちを、ここからどこに連れて行きたいを望まれているのか?』『聖霊は私たちをどこへ連れて行くのか?』」。そして2週間の検討会で、それまでに集まった情報を読み込んだだけでなく、自分たちの経験を分かち合う喜びを体験した。そして、「教会が私たちに耳を傾けている、渡地たちの声を聴こうと心を開いている、と感じたのは、これが初めてでした」とシスターは語った。

 こうして小教区、教区レベルの公式の「人々の声に耳を傾ける」歩みは終わったが、「”シノドスの道”の歩みは続きます。私たちは、教区における『耳を傾ける』取り組みをこれからも続けます」と述べた。

 またシスター・レティシアは、「これまでの歩みで私たちにとって明確になったなことの 1 つは、シノダル(共働的)な教会になることを、この歩みの中で学ぶ必要がある、ということでした。私たちは、シノダルな教会になるために必要なスキルを学ぶ旅に出ているのです」と強調した。

 

*”シノドスの道”の成果

 

 シスターは、これまでの歩みの成果について、「シノダリティ(共働性)は、私たちの間になる違いに関係なく、共に歩むよう、私たちに呼びかけます。 それは、聖霊の働きに基づく識別の実践であり、参加型、包括的、共同責任のある教会となることを必要とします。 ”シノドスの道”の話し合いから生まれた 3 つの柱、すなわち、「シノダルな共同体」「基本に立ち返る取り組み」「公正で慎重な規則と政策」は、互いに、また聖体との正しい関係の中で設定されねばなりません。 この関係が確立されたとき、サンバーナーディーノ教区の人々によって表明された夢と希望が現実のものとなるでしょう。それは、共同責任、共同歩調、説明責任を果たすこと、意思決定プロセスに参加すること、そして人としての尊厳の尊重すること、です。

 サンバーナーディーノ教区では、教区に働くすべての人が「互いに”シノドスの道”を歩むスキルを学び、耳を傾け合い、対話し、識別に携わる」ことができるように、養成プロセスが設けられた。 さらに、互いに耳を傾けることを基本に、教区における司牧の仕組みの見直しに着手しており、すべてが「躍動的で有機的な生命を教会に与える」ものになる可能性があるという。

 

*個人にとっての成果

 

 シスター・レティシアはまた、”シノドスの道”の歩みへの参加が、自分の福音宣教の使命を達成する方法、特に「リーダーシップの模範となる方法、他者、特に女性たちにテーブルについてもらえるために、どうするか」を考えるのにとても役に立った、と言う。

 また、「女性として、修道女としての賜物を犠牲にすることなく、勇気を奮って問いかけ、”男性的な構造”に入っていく助けになりました。私は本当に変えられた、と思います。私をリラックスさせてくれました。それは素晴らしい体験でしたーどのようにして他者の賜物を受け入れること、神の民にとって役立つようにそれを生かすこと、思考の多様性、教会における私たちの在り方の多様性を受け入れること、そして健全な緊張をもって生きることに、心を開くことができるかーを知るために」とも語った。

 そして、彼女が歩みの中で得た最大の教訓は、「『分極化しない』ための道具になること… できる限り一致することです…。 二極化の中で”光”であることは容易ではありませんが、聖霊が私たちを基本に立ち返らせてくださるのを知っています。それは、『元に戻ること』ではありません。 それはミサ聖祭、参加、宣教の基本に立ち返ることであり、聖霊を信じ、共同体として、私たちが望むペースではなく、教区と国のペースで活動すること」だとしている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2023年1月30日