・”シノドスの道”ーブラジルの信徒たちは”豊かな活力”を生み出す(LaCroix)

Lis Marques (pictured here on November 12, 2021) organized online meetings with the faithful in different neighborhoods of Sao Paulo. (Photo by AVENER PRADO for La Croix)

(2022.6.1 LaCroix  Marie Naudascher | Brazil)Synod update: Brazilian Catholics create a "fertile dynamic"

 世界最大のカトリック信徒を擁するブラジルの教会にとって、シノドスの歩みは、真にこれまでのあり方を振り返る機会になっている。

 エドソン・シルバは、オンラインによる毎週木曜夜のバーチャル集会の中心メンバーとして、8月にバチカンに送る提案書の作成作業に取り組んでいる。約10ページの提案書の取りまとめには、さらに数週間の共同作業が必要だ。

 「私たちのシノドスの歩みは、教皇フランシスコの素晴らしい意図を受け、(司祭や信徒たちの間の)従来の縦ではなく”横”の意思疎通を図ることの難しさを感じながらスタートし、いまでは豊かで活力に満ちたものになっています」とシルバは語る。50歳の彼は、サンパウロ州の社会活動プロジェクトの企画調整を担当する公務員だ。

 ノートルダム大学に勤めるリズ・マルケスは、シノドスの歩みを、教会刷新のアイデアを議論するユニークな機会ととらえている。何か月にもわたる、オンラインでの議論は、彼女が所属するサンパウロ西部のサン・マテウス教会基礎共同体以外の信徒たちも幅広く参加することができている、とその長所を指摘。

 また、こうした機会での重要な出会いの経験として、これまでに会ったこともなかったテレジーニャとの出会いを挙げた。彼女の方法論、知性、そして存在感が、オンラインを通じての間接的なものだったにもかかわらず、自分の心の琴線に触れた。コロナ禍の中で、デジタルによる集いを「やむを得ないこと」として始めたが、今では、それが、物理的な”隣人”を越えた声のやり取りを求める信徒たちにとって重要な選択になっている、という。

 一方で、シルバは、シノドスの歩みに積極的な行動で関わっている人々は、意見の交換がとても豊かなものになっているのを感じてはいるものの、「それによって、教会が一夜にして変わることはない」ことも分かっている、と言う。そして、「硬直的なベネディクト16世に代わって教皇に就任したフランシスコは変化を指向されているが、カトリック教会は依然として、貧困との戦う姿勢を明確にせず、一時しのぎの姿勢を続けている」と嘆く。

 彼の、社会的不平等で特徴づけられる都市におけるソーシャルワーカーたちとの日々の仕事は、教会が“不安定さ”との戦いでほとんど失敗していることを確信させる、という。

 Dom Evaristo Arns枢機卿(2016年没、フランシスコ会士、作家、1970年代の貧しく弱い人々の側に立つ『解放の神学』の主導者だった)がサンパウロ大司教の時に、少年時代を過ごした彼は、「教会は貧しい人たちと対話することができるし、そうせねばならないのです。福音主義プロテスタントの人たちはそれをしている。貧しい人たちの利益を守るために政治的立場を鮮明にすることをためらわない。ブラジルの社会の中で、カトリック教会の影響力が低下し、福音主義プロテスタントの影響力が上部構造にまで高まっている。旧来の形にはまったカトリックのやり方とは全く違う、様々なジャンルが混在し、確信に満ちている」としている。

 このような意見に対して、マルケスは、シノドスの道の意義について、全面的に評価する。「私たちは、先住民の人たちと一千年の伝統を持つ霊性を守り、LGBTQIA+(多様な性的少数派の人々)とアフリカ系ブラジル人の地位を高めるために努めねばならない。そのための道は既に開かれています。シノドスの歩みのおかげで、南米とカリブ海地域の一般信徒の新たなネットワークも作られつつあります」と、”シノドスの道”の歩みの効果への自信を語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年6月5日