(2023.2.24 Vatican News Sr Bernadette M. Reis, fsp – Bangkok)
バンコクで開かれている”シノドスの道”のアジア大陸レベル会議で24日、バチカンのシノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿が講演。教皇フランシスコからの「会議出席者と共にある」ことを強調する祝福を伝えるとともに、大陸レベルの会議のあり方などについて説明した。
講演で枢機卿は、まず、「教皇は皆さんに”父”としての祝福を送られ、私たちの振る舞いをしっかりとフォローされています。教皇は皆さんに、こう言っておられます―『あなたがたは忘れられていない』」と前置きした。
*”シノドスの道”の成否は、神の民と司牧者の積極参加にかかっている
そのうえで、教皇が世界代表司教会議(シノドス)発足50周年に当たって語られた言葉を引用する形で、”シノドスの道”の大陸レベル会議について「教会が求められていることにさらに耳を傾ける時。学ぶべき何かを持っている者が、互いに耳を傾け合う時です」と指摘。「すべての人にとって自明なことは、”シノドスの道”の成否が神の民とその司牧者の積極的な参加にかかっている、ということであり、これまでにあなたがたなさってこられたことに深く感謝します」と述べ、さらに、「特定の教会における協議は、神の民が、キリストの預言的な働きに参加する適切な方法を提供できるようにしました」と評価した。
枢機卿はまた、会議の参加者たちに、”シノドスの道”で「すべての人に耳を傾けるように」と言われている意味は「すべての人が例外なく、教会とのsynodal(共働的)な対話に参加するよう招かれている、ということにあります」としたうえで、「しかしながら、多くの人が様々な理由で(”シノドスの道”の歩みに)参加していない。これまでの話し合いで、話すことができない、あるいは話したくない、という理由で話さない人を除いて、私たちはあらゆるすべての人の声を聴くことができた。”沈黙”の声にも耳を傾けました。”空席”にさえも、耳を傾けたのです」と語った。
*共働性、協調性、卓越性という教会の”遺産”の保持、発展
続けて枢機卿は、大陸レベルの会議がなすべきことについて、「先にシノドス事務局が提示した大陸レベルの歩みのための準備文書の内容が、大陸レベルの教会によるsynodality(共働性)についての理解に、どの程度、適合したものになっているか、あるいはなっていないのか、を識別すること」と述べ、大陸レベルの会議は、「この”シノドスの道”の目的ー synodal(共働的な)教会の形についての十分な理解ーに向けた私たちの旅において、重要な時になっている」と強調した。
最後に、”シノドスの道”の目的は、synodality(共働性)へのカトリックの道をたどることであり、「私たちが強く求めているのは、神の民、司教団、そしてローマ司教、それぞれの働きによって築かれた、”シノドスの道”の必要かつ不可分の要素に関連して、常に共働性、協調性、そして卓越性を常に持ち続ける『伝統』の遺産を保持することなのです」と述べ、講演を締めくくった。
*会議の結果を聖霊の導きに委ねる
続いて、シノドス事務局の方法論委員会メンバーであるクリスチーナ・ケング博士が登壇し、” circularity(円形)”が教会の”シノドスの道”における新しいアプローチの仕方だということを指摘したうえで、バチカンのシノドス事務局がまとめた大陸レベルのシノドスの準備文書について説明。
準備文書の内容には、アジア司教会議(FABC)に属する各国の司教協議会からシノドス事務局に出された20件の報告が含まれているが、修正も可能であることを強調。現在の内容は、各国の司教協議会レベルの報告を基にまとめたものであり、今回の会議で、”共同識別”を通してアジア大陸レベルの識別がなされることを期待する、と語った。
「私たちは、この会議に、白紙で臨み、聖霊の導きに委ねています。この会議が最終日の日曜にどのような結論を出すのか分かりません… 私たちが耳を傾け、分かち合い、祈り、深く考える中で、聖霊が私たちをどのような洞察に導くのかーそれは、グループとしての感じ取ることです」と述べた。
*「霊的対話」に必要なのは
次に、キルギスの教区管理者であるアンソニー・コーコラン神父(イエズス会)が「識別」について講演し、 「識別と聖霊の賜物は、魅力的です…。 識別力は実践とともに成長しますが、”微調整”が必要です」と述べ、「神は信徒たちに “sensus fidei(信仰の感覚)”の賜物を与えられます。このことは、『神の御言葉、司教たちに導かれた幅広いキリスト教共同体、教導権、伝統』に識別力は根差していなければならない、ということを意味します」と指摘。
また会議参加者たちに、聖霊の臨在のしるしー慰め、希望、信仰、そして真の愛ーを思い起こさせ、教皇の言葉を引用して、「識別は、『驚きに心を開いたままにすること』を意味します」としたうえで、「霊的対話」の要素として、「耳を傾けること」「筋道を立てて簡潔に話すこと」「互いに敬意を払うこと」を挙げた。
*準備文書はアジアの提案を受けて第二草案を作成へ
準備文書起草グループのメンバーであるクラレンス・デバダス神父は、この会議が検討、識別、修正する余地を残した準備文書に言及し、これまでに22件の提案があり、うち21件が受理され、それらをもとに起草グループの9人が1月30日から2月4日までバンコクに集まり、アジア大陸の教会の多様性など”アジア的要素”を入れた作業文書の修正草案をまとめたことを説明。
また、アジアからの追加提案の要点の一つは「貧困問題」であり、「国連の発表で、アジアでは3億2000万人以上が極度の貧困にある、と指摘していることからも重要な課題」としたほか、「秋の世界代表司教会議で、アジアのカトリック教会が少数派でありながら、信徒家族が増える展望が存在することが認識されるのを、起草グループは期待している」と述べた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)