・”シノドスの道”のオセアニア大陸レベル会議、声明発表して閉幕「『共働的』な教会へ、地域特性も配慮が必要」(Crux)

Official photo of the delegates and organizers of the FCBCO Oceania Continental Assembly. (Credit: Vatican News.)

(2023.2.11 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen

Oceania bishops stress environment, youth and faith formation ローマ発 –オセアニアの司教協議会連盟(FCBCO)による ”シノドスの道”の大陸レベル会議が9日、5日間にわたる協議を終え、声明を発表して閉幕した。声明では、10月の世界代表司教会議に向けて、環境、若者、より良い信仰の形成など、この地域として重要と思われる課題を提示している。

 会議には、オーストラリア、ニュージーランド、パプア ニューギニア、ソロモン諸島はじめ西太平洋の島しょ国から数十人の司教が参加した。

 バチカンから参加したチェルニー総合人間開発省長官(枢機卿)が、「すべての人類、創造された世界、そして私たちの教会のために、大きな夢を夢見る大胆さを持つように」と激励を込めて挨拶。

 この後、5 日間にわたる議論に入り、海面上昇や資源採掘がもたらす住民生活への影響から海の適切な管理に至るまで、具体的な問題が話し合われ、「synodal church(共働的な教会」になるための司牧的課題も取り上げられた。

 コミュニケで、司教たちは、生物多様性に富んだ大小の島々のネットワークをもつオセアニア地域の独自性と立地条件が「神の使命に参加する文脈を提供している」と述べ、「私たちの地域では、生態系の危機が人々と地域社会の存続に関わる脅威」となっており、それは「海面上昇、海洋の酸性化、干ばつ、洪水はじめ頻繁で異常な気象現象など、さまざまな形で現れている」と警告。

 「『生態系の回心』は、私たちだけでなく、教会全体にとっても緊急の使命の優先事項で」とし、「私たちの海の家とその人々のために、自国の政府の最高レベルで、また世界レベルで、教会とより広い社会で、私たちの声を届ける必要があると感じている」と強調した。

 また、「オセアニアには、世界で最も若くて新しい教会がいくつかあり、どうじに、世界で最も古くから続いている文化がある」とし、「若い教会であるということは、ある程度の脆弱性を意味する一方で、新鮮さと活力があるということ」としたうえで、「私たちの地域で最も若い教会は、『共働性』について、また福音と地元の文化や社会との出会いの新鮮さを維持することについて教えることを学んでいる」と指摘。

 そして、オセアニアの福音宣教活動における教会の「不可欠な側面」として、「勇気をもち、創造的で、魅力的な方法」で若者に寄り添う必要性を強調し、今夏にリスボンで開かれる世界青年の日に注目した。

 声明ではまた、自分たちの教会をいかにして「 synodality(共働性)」のある教会にしていくかについて重要な議論を行った、と述べ、より「synodal(共働的)」な教会となることに関して、これまで「間違った方向転換」をしたことを認めつつ、”シノドスの道”の歩みを神が導いてくださることに信頼を置いて前に進みたい、と述べた。 さらに、「オセアニアの声がシノドスの文書を通して共鳴し続ける」ことを確実にするために、今回会議をもとにした、10月の世界代表司教会議に向けた報告を今後数週間以内にまとめると約束した。

 この会議には、バチカンのシノドス事務局次長、シスター・べカールも参加し、講演で、シノドスについてグローバルな視点を提供。司教たちは、「教会としての司牧的課題への対応に万能な対策はなく、それぞれの地域や文化の多様性を考慮に入れていく必要がある」ということを改めて認識し、「私たちは、自分たち自身の文脈で、自分のやり方で対応することを確認。そのうえで、「オセアニアの教会がもっと『synodal(共働的』になるためには、一般信徒、修道者、司祭などすべてのレベルでより良い信仰形成が必要」と強調した。

 さらに、声明は、説得力のある「命の証し」とは、「受胎から自然死に至る」まで命を守り、より大きな「すべての人に対する敬意」を育み、正義と平和を促進し、「 個人的、共同体的、構造的な『環境的な回心』をすること」と述べ、”シノドスの道”の歩みを進める中で、包摂性、透明性、説明責任、新技術、「異文化間適応」、養成プログラムへの参加と協力に基づく新しいリーダーシップのあり方などのテーマを強調していく必要がある、と指摘。

 また、「私たちの努力は、罪と恵みの両方に特徴付けられた世界で、教会が神の王国への巡礼の道において、歓待、出会い、対話の文化を積極的に取り入れ、具体化する準備を整えることに、向けられねばならない」と述べた。

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 会議の閉会ミサで、アメリカ領サモアのブラウン司教は、「司教たちは、教会共同体において権力、影響力、地位を持った存在です。私たちは、それらを使って、どのように『被造物をケア』し、信徒たちに奉仕していくか、問われています」と語り、海面上昇で土地と生計が脅かされている人々を例に挙げて、「司教の仕事は、人々が立つことのできる場所を見つけるのを助けることです」と言明。

 「私たちが神の民とともにリーダーシップを発揮することで、すべての人のための場所ー立つことのできる場所ーを見つけられるという希望を持って、出発できるように」と主に願った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年2月12日