・シノドスに向けた歩み開始で、菊地大司教がメッセージー17日にカテドラルで大司教ミサ

(2021.10.14 カトリック・あい)

 カトリック東京教区では、菊地功・大司教が14日、「2023年世界代表司教会議(シノドス)に向けた歩みの開始について」と題するメッセージと、「司教の日記」のページで解説を発表した。また、合わせて、東京教区シノドス担当者の小西広志神父から、{シノドス」の意味などを説明する「シノドスへの招き」が教区のホームページに掲載された。

 菊地大司教司式のミサが17日の年間第29主日に東京カテドラルで行われ、これをもって教区としての歩みを開始するが、同日の各小教区ミサでも聖霊の導きがあるよう共に祈ることを求めている。

 大司教メッセージなど以下の通り

【2023年世界代表司教会議(シノドス)に向けた歩みの開始について】

カトリック東京教区の皆様   カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

主の平和

 教皇フランシスコは2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)の第十六回通常総会を開催することを決定され、そのテーマを、「共に歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」と定められました。

 教皇は、今回のシノドスが、その意味するところである「共に歩む」プロセスを教会が具体的に生きる存在となることを望まれ、新たなシノドスのあり方を定められました。教皇は、今回のシノドスが、ローマで開催される2023年10月の代表司教たちによる会議だけに終わるのでなく、世界中のすべての教区が、ともに識別の時を過ごし、神の民を構成するすべての人がその歩みに加わるように、と呼びかけられています。

 今回のシノドスのプロセスの開始は、すでに10月10日の教皇ミサを持って告知されていますが、同時に教皇は、世界中の教区が10月17日の主日を持って、それぞれのシノドスの歩みを始めるようにと指示をされています。

 東京教区では、10月17日に関口教会の主日10時ミサを大司教司式ミサとし、それを持って教区のプロセスを開始しますが、同時にこの主日の小教区主日ミサでも、シノドスの歩みに聖霊の導きがあるようにともにお祈りください。

 なお今回のシノドスの歩みに取り組むために、東京教区の担当者として小西広志神父様を任命して準備を進めております。

 今回の歩みは、イベントや多数決で何かを議決する会議を開催することが主眼ではなく、神の民のすべての部分が、共通の信仰の理解を持ち、交わりを深め、福音を宣教する共同体へと変わる回心の歩みであります。それは東京教区の宣教司牧方針の具体化と共にある歩みでもあります。

 来年の2月までの期間、教区の皆様と歩みを共にし、共に識別することができるように、さまざまな材料を今後提供してまいります。その後も、2023年のローマでの会議が終了するまで、関連する情報を、教区ホームページや教区ニュースで随時提供してまいります。

 どうか一緒になって、交わりと参加の歩みを共にしてくださいますようにお願いいたします。

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「まず互いの理解を深めるところから始めたい」

(菊池大司教の10月14日「司教の日記」より)

 2023年秋に開催される第16回通常シノドス(世界代表司教会議)は、これまでとは異なるシノドスです。

 これまでは、バチカンの事務局から世界中の司教団に課題が示され、それに対する各国司教団の回答をもとに作業文書が作成されて、本番の会議には集まった代表の司教による討議なされ、教皇様に対して提言が出て、最終的には教皇様が使徒的勧告で答えらるというプロセスでした。

 今回は、”シノドスの準備”と言うよりも、シノドス自体が、もう始まりました。

 10月10日のローマでのミサを持って、教皇様は2023年秋まで続くシノドスを始められました。もっともそのシノドスは、教会全体を巻き込んだ共に歩むプロセスであると教皇様は言われます。神の民全体で歩みを共にしながら識別をするのだというのです。そのために、まずは各教区で、理解を深め、共に歩みながら識別をすることが求められ、世界中の教区では、来る10月17日にその開幕を告げることになっています。

 東京教区でも、10月17日午前10時の関口教会主日ミサを私が司式し、教区におけるシノドスを始めることを宣言します。

 ただしこの教区でのシノドスは、特別な会議を行うことではありません。まずは一緒になって理解を深めるところから始めたいと思います。東京教区のシノドス担当者である小西神父様がまとめてくださった招きの文書にはこう記されています。(招きの文書⇒注1

 「ここでは、三つの動詞が大切となります。『参加する』『聴く』『識別する』。教会は人々に『参加する』ように、と促さなければなりません。その促しに応えて人は、信者であれ未信者であれ、積極的に『歩み』に『参加』するのです。教会は人々の声に耳を傾けて『聴く』ようにと神から招かれています。

 また、人は隣人の声なき声に真摯に耳を傾けなければならないのです。耳を傾け合うところに『交わり』が生まれるからです。そして教会は、自らがどこに向かっているかを、反省的に『識別する』必要があります。

 混迷する現代社会にあって、教会の果たす役割と務めを知らねばなりません。そして、数々の情報に翻弄され、真実を得ることが難しくなっている現代社会を生きる人々もまた、生きる方向をしっかりと見極めていかねばならないのです」

 バチカンの事務局からは、10の設問が送付されていますが、同時に今回は、その設問に直接「回答」することではなくて、それを道しるべとして、教会のあり方を振り返り、同じ共同体で信仰を生きているお互いの理解を深めることが求められています。(なお10の設問は、中央協議会のこちらの特設ページにリンクがあります)

 「シノドス」という言葉の意味も、小西神父様の招きの文書(注1)に分かりやすく記されていますので、ご参照ください。なおこの招きの文書の内容は、別途ビデオとして作成され公開される予定です。また今後順次、今回のシノドスが求めている方向性を理解するために、解説のビデオが、順次作成されて、公開されます。教区のホームページの、シノドス特設サイトをご覧ください

(注1)「シノドスへの招き」 東京教区シノドス担当者 瀬田教会主任司祭 小西広志神父 2021年10月14日

*シノドス(世界代表司教会議)

 フランシスコ教皇さまは、シノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会を招集しました。「シノドス的教会のために:交わり、参加、宣教」というテーマのもとに2021年10月9日から10日にかけてバチカンで開会が宣言されました。そして一週間後の17日には世界中の教区でシノドスのための「歩み」を始めるミサが執り行われます。

 当初、教皇さまは2020年3月7日の時点ではシノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会を2年後の2022年に開催することを考えておられました。しかし、皆さまご承知の通り世界中に蔓延する新型コロナウイルスによる感染症の影響を受けて、さらにはこれまでとは違った通常総会への取り組みをおこなうために2023年10月へと開催を一年延期することにしました。

*三つの段階と三つの動詞

 およそ二年間におよぶ「歩み」を経て、シノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会は行われます。この「歩み」には三つの段階があります。第一の段階は教区での取り組み、第二に各大陸での取り組み、そして教会全体での取り組みです。第一段階と第二段階ではバチカンにあるシノドス事務局より提示された10の設問からなる「提題と解説」に答えることを試みます。

 そして、世界中から寄せられた意見を集約しながら「作業文書」を2回作成し、第三段階では代表となった司教さまたちによる全体会議が行われる予定です。こうして、今回のシノドス(世界代表司教会議)第16通常総会は、単なる教皇さまと司教さまたちだけの会議ではなく、神の民であるキリスト信者全体が関わるプロセスを経て、実行されるのです。

 多くの人々がこの「歩み」に関わることになります。すでにロゴマークが発表されていますが、大人も子どもも、身体の不自由な方も高齢者も、聖職者も修道者も、教会に集う、たくさんの人々が一緒になって歩み続けます。この「歩み」は天の御父へと向かうものです。この「歩み」を導いてくださるのは主イエス・キリストです。そして、聖霊が「歩み」の中で絶えず助けてくださいます。ですから三位一体の神とともにある「歩み」と言えるでしょう。

 ここでは、三つの動詞が大切となります。「参加する」、「聴く」、「識別する」。教会は人々に「参加する」ようにと、促されねばなりません。その促しに応えて、人は、信者であれ未信者であれ、積極的に「歩み」に「参加」するのです。教会は人々の声に耳を傾けて「聴く」ようにと神から招かれています。

 また人は隣人の声なき声に真摯に耳を傾けなければならないのです。耳を傾け合うところに「交わり」が生まれるからです。そして教会は、自らがどこに向かっているかを反省的に「識別する」必要があります。混迷する現代社会にあって、教会の果たす役割と務めを知らなければなりません。そして、数々の情報に翻弄され、真実を得ることが難しくなっている現代社会を生きる人々もまた、生きる方向をしっかりと見極めていかねばならないのです。

*「歩み」の強調

 選出された直後に教皇さまがサン・ピエトロに面したテラスでおこなう短いあいさつと祝福があります。そこで、それぞれの教皇さまはご自分が行う務めを預言的に語ることが多いようです。

 「今、私たち司教と民はこの旅路を歩み始めます。すなわち、愛において全教会を主宰するローマ教会の旅路を歩み始めます。それは兄弟愛と私たち相互の信頼の旅路です。常に私たちのために、互いのために祈りましょう。全世界のために祈りましょう」(2013年3月13日)。

 「歩み」あるいは「旅路」という表現を繰り返しながら、フランシスコ教皇さまは呼びかけました。その後、教会は数々の現代社会の問題に直面してきました。時には教会内部にあり続ける課題にも取り組まねばなりませんでした。こうして、前任の二人の教皇さまが選出の際の「恐れずに、窓をいっぱいに開きなさい」という呼びかけは、実現していったのです。そして、多くの人々と共に「歩み」を始めているのです。

*教会とはシノドスである

 「シノドス」という単語は、一般的には、なじみがないかもしれません。ギリシャ語に由来し、共にを表す「シン」という接頭辞と道を表す「オドス」から成り立つ言葉です。ですから「共に歩む」がシノドスの元々の意味です。

 教会はこの言葉に神が自らに与えた恵みを見いだしてきました。教会とは多くの人々と「共に歩む」存在だからです。もちろん二千年におよぶ歴史の流れの中で、シノドスが「教会会議」という限定的な意味で使われてきたのは確かです。この数世紀、教会会議すらも人々の間では忘れ去られてきました。

 1965年に当時のパウロ6世教皇さまが「普遍教会のための司教たちのシノドス」を制定してから、シノドス(世界代表司教会議)は定期的に開催されてきました。そこではその時々の教会と世界が直面する問題が取り扱われてきました。

 フランシスコ教皇さまは問題解決のためのシノドス(世界代表司教会議)だけではなく、「共に歩む」シノドス(世界代表司教会議)を考えておられます。こうして、教会が本来備えている「共に歩む」というシノドス的な特性を明確にすることができるからです。すでに第二バチカン公会議で、教会のシノドス的特性について明確ではありませんが、指摘されました。今回の取り組みは、第二バチカン公会議を現代世界での適応を目指してのことです。

 教皇さまはおっしゃいます。「『シノドス性』の歩みとは、神が第三千年期に教会に期待しておられる歩みなのです」(2015年10月17日)。

 現代は多様なあり方、生き方が生まれる時代です。と同時に、格差と断絶の時代でもあります。「共に歩む」ことが難しいこの時代にあって、教会は神さまからいただいた人間の本来の姿を再発見しようと、試みているのです。古代の教父、聖ヨハネ・クリゾストモは「『シノドス』とは、教会と同義語である」と語りました。三位一体の神の働きの中で生きる教会は世界中の人々と「共に」、神の愛の命を目指しての「歩み」を続けていくのです。

*私たちの「歩み」

 私たちカトリック東京大司教区は2020年に宣教司牧方針を策定しました。多くの方々のご意見と提言が反映された宣教司牧方針です。そこで強調されているのは「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべての命を大切にする共同体」です。コロナ禍での発表でしたから、教区全体でこれをより深めていく機会が得られていません。しかし、いくつかの取り組みは実行に移されています。

 私たちの教区は、白柳枢機卿さま、岡田大司教さまのころから、「共に歩む」教会を目指してきました。そして今回の宣教司牧方針で、さらにこの点が明らかになっている、と考えています。ですので、シノドス(世界代表司教会議)第16通常総会への「歩み」のプロセスで私たちのこれまでの生き方の実りであり、これからのあり方の指針となる宣教司牧方針を大切にしていきましょう。

 最初に指摘しましたように、新型コロナウイルスによる感染症の拡大のために、これまでのような取り組みが難しくなっています。現実に「集う」ことが困難となっているからです。同時に、社会はさらに疲弊し、人と人とをつなぐ信頼関係は薄らぎつつあります。このような現状でシノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会への教区の取り組みは制限されます。

 そこで、動画配信などを中心に「歩み」を実行していきたい、と考えています。教区の中に多くの「共に歩む」姿が見られます。それらを皆さんと動画を通して分かち合っていきます。個人でも、あるいは小グループでも動画を活用していただきたいと思います。「参加する」「聴く」「識別する」の視点から動画をご覧になってください。

 いつまでコロナ禍が続くのか、誰も分かりません。しかし、この危機の時を過ごした結果、私たち東京教区の司祭、修道者、信徒は「一つにまとまった」という実感を得たいものです。そしてそれぞれの小教区共同体、信仰共同体のあり方は、当然のごとく変わらなければならなくなるでしょう。今は大きな変革の時なのだと思います。そんな恵みの時に「共に歩む」ことができることに、感謝していきたいものです。

(編集「カトリック・あい」=文章を読みやすく、メッセージが伝わりやすいように、行変え、「、」を増やしました。また、同様の主旨から、漢字の表記は「当用漢字表記」に統一しました)

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2021年10月14日