・「率直な声に耳を傾け続けるように」”シノドスの道”でバチカン事務局長が米国の教会などに期待(Crux)

(2022.9.27 Crux  National Correspondent  John Lavenburg)

(Credit: Paul Haring/CNS.)

 ニューヨーク発ー バチカンのシノドス(世界代表司教会議)事務局のマリオ・グレック事務局長・枢機卿が22日に始まった米国のカトリック系非営利組織 Leadership Roundtable主催の「カトリック指導者サミット」に向けてコメントし、米国の司教たちに、シノドスの道が求める「互いに耳を傾ける」歩みを、教区レベルの取りまとめを終えた後も継続し、すべての信徒の声に配慮するよう求めた。

 今回で4回目となるこのサミットには、全米の枢機卿、司教、教区の信徒指導者、企業の専門家、教会法弁護士、神学者、慈善家、修道会代表、非営利団体のリーダー、司祭、若者などが参加した。

 グレック事務局長は、「私たちが『他の人々の声に耳を傾ける』と言うとき、それは、聖霊に耳を傾けることでもあります」と語り、「私たちは、神の民とその力を信じています。それは聖霊が彼らの内に宿っておられるからです。そして、洗礼を受けた人だけでなく、善意の人々全員の貢献を考慮に入れなければ、とても不十分なものになります。善意の人々すべてが貢献し、現代の教会に対する神の御心が何であるかを知るように司牧者を助けることができるのです」と強調した。

 教皇フランシスコが来年秋の世界代表司教会議に向けて主導される”シノドスの道”は「世界各国の司教協議会レベル」から「大陸レベル」に進もうとしているが、事務局長を中心とするバチカンのシノドス・チームが現在、中間まとめの作業を行っている。

 グレック事務局長は、離婚して再婚した人々が聖体拝領を受け、同性カップルの祝福を受けるなどの「複雑な問題」に触れ、「教会は善意のすべての人々の声に耳を傾けるべきである」というバチカンのスタンスを繰り返したうえで、「こうした問題は、単に教義の観点から理解されるべきではなく、神が人間と現在も出会っておられるとの観点から理解されるべきです。信徒たちの中の二つのグループが、自分たちが経験する霊的な現実についての個人的な感覚を表現する機会を与えられた場合、教会は何を恐れねばならないのだろうか。教会にとって、彼らを通して語る聖霊の声に耳を傾ける機会になるのではないでしょうか」と問いかけた。

 そして、これまでの”シノドスの道”の歩みの方向、進め方を、これからも基軸にしていくことを強調し、「愛する兄弟姉妹の皆さん、このような”シノドスの道”の進路を進むよう、心から激励します。そうすることは教会にとっての贈り物であるだけでなく、社会全体が利益を受けることになる」と強調した。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年9月28日