・「女性の役割、典礼、教会の管理・運営…」フランス司教団が”シノドスの歩み”で信徒たちが出した声をまとめた(La Croix)

Synod: the place of women, the liturgy and Church governance

“It is not only a question of women exercising much more responsibility in leadership, which must be done. Their place is also expected at the heart of sacramental life,” the document notes. (Photo illustration: MARC CHAUMEIL/ DIVERGENCE)

(2022.6.10 La Croix  Malo Tresca | France)

 教会にとって何が最優先されるべきかー”シノドスの道”の歩みを進めるフランスの司教協議会(CEF)が、これまでの歩みの過程で信徒たちから出された声を初めてレポートにまとめた。

 レポートは Alexandre Joly司教(トロワ教区長)とナショナル・チームがまとめたもので、三つの章ー「神の御言葉にひらめきを得ることの重要性」「社会の中で価値のある、信頼できる提案することの緊急性」「友愛的対話の場の必要性」から成る。

 フランスでの”シノドスの道”の歩みは、過去数か月に国内の15万人以上の信徒が表明した教会に対する期待、夢、そして失望の大きさに比べれば、いささか”退屈”なものではあったが、ともかく、歩みで出された声を10ページのレポートにまとめられた。

 CEFは、 6月14日から15日まで一般信徒の代表も参加してリヨンで開かれる臨時総会で、このレポートをもとにさらに考えを深める予定だ。総会に初めて参加することになった一般信徒に議決権はないが、すべての作業部会に参加することができる。

 そして、CEFは8月15日までに、この10ページのレポートに沿った文書を、臨時総会での意見交換の結果をもとに、投票によって決定し、バチカンのシノドス事務局に送ることになる。

*「言論の自由」の確保

 信徒たちが”歩み”で出した声の扱いについて、信徒たちからLaCroixには、「自分たちの意見が”あっさりと片付け”られてしまう、あるいは”検閲”されてしまうのではないか」などの懸念が寄せられていたが、レポートを取りまとめたチームは「問い掛けに対する答えを、可能な限り正直にまとめることに努めた。前文で述べているように、この歩みで示された緊張と願望も含めて」と説明。

 「このレポートは神学的見地からの判断を経ていないが、歩みの中で浮上してきた問題をそのまま伝えることで、今後の教会における識別に役立てることを目指した」とし、「当初懸念されていたことが無いように、『表現の自由』を確保することに努めた」と、レポートの前文には書かれている。

*友愛に満ち、喜んで迎える教会に

 レポートでは、フランスの信徒たちが、「友愛に満ち、喜んで迎える姿勢を持ち、貧しい人、軽んじられている人に対して顔を向ける教会」となることを強く望んでいること、教区レベルで真に”抑制と均衡”を確約することをもって一般信徒に大きな活動の場を与える教会統治を希望を確認していること、などを明示。

*司祭のミサ説教への注文

 また、信徒たちが、「ミサの説教で、信徒たちが日々の生活で具体的に生かすことのできるような話」を司祭に期待していること、典礼が「緊張の場」となってしまうことを懸念していること、非キリスト教徒との対話のための「第三の場」を希望していること、なども書かれている。

 司教協議会のメンバーで、サン・ヴァンサン教区の長であるエルヴェ・ジロー大司教は「このレポートをそのままバチカンに送るのであれば、喜んで同意の署名をする」と語った。

*教会における女性の役割の向上、聖職者”独身制”への疑問

 「このレポートは、誠実に、率直に、正直な態度でまとめられている」と、フランス西部のある教区長は述べ、その具体例として、「教会における女性の役割と地位の向上など、デリケートな問題も除外せずに盛り込まれている」ことを挙げた。

 実際、このレポートで真っ先に挙げられているのは、教会における女性の役割と地位を確固としたものにすることに関する信徒たちの期待だ。この問題について、レポートは、教会に関係を持つ女性の数と教会の政策決定に関わる女性の数の明確なアンバランスから、司祭と司教との関係における難しさから、もたらされる無数の傷とともに、その傷への対処の緊急性を指摘。

 「女性たちの声は無視されている。教会における女性の扱われ方は適切さを欠いている。そのようにして、教会は、数えきれないカリスマを、聖職者の”自己隔離”を壊す可能性を奪っている。それは、女性が教会において指導的役割を果たす問題だけに限らない」と述べている。

 「信徒たちの声は無視されているように思われる。ミサにおいて女性が説教することも含めて、女性は教会のすべての場に存在すべきです」と語るのは、「フランス語を話す洗礼を受けた人々の会」(CCBF)のPaule Zellitch会長だ。「シノダル(共働性)の立場から見て、”制度的な教会”には批判すべきことが多い」。

 ある”シノドスの道”の歩みのグループに参加した一般信徒のオリビエ氏は、「性の平等に関して私たちが経験している格差は酷いものです。今の現状を放置しておいてはなりません」とし、「教会における性的虐待に関する独立調査委員会」が昨年10月に衝撃的な内容の報告書を発表した後の、司教団の性的虐待の防止と対処に関する配慮の無さを嘆いた。

 「実際には、信徒の間では、司祭の独身制の問題、女性の助祭への任命や司祭叙階の問題など、フランスの教会がもつ特権を越える議論が進んでいる。一方で、女の子が祭壇奉仕をすることや、ミサの際に女性が聖域に立ち入ることへの、深刻な意見の違いがあり、それによって苦しみを味わっている信徒もいるのです」。

*教会の管理・運営のために一般信徒による評議会設置の提案

 こうした信徒たちの声を踏まえ、このレポートでは、教会の管理・運営に関して「選ばれた一般信徒による評議会の創設」など野心的な提案もされている。この提案は、フランス国内でのカトリックの活動を網羅した約50の組織のネットワークであるPromesses d’Égliseが出した意見の一つをもとにしたものだ。

 Promesses d’Égliseは 5月14日の意見表明で、司教、修道者、教会の諸組織、そして信徒の恒久的な対話と取り組みを可能にするための「全国レベルでの一般信徒のための新しい協力の形の創出」を提起。

*司祭養成へ新たな取り組みや聖職者の権威主義の問題も

 また、「叙階された聖職者たちと洗礼を受けた全ての信徒のための共通の信仰養成」や、「教会の管理・運営と意思疎通の能力を高めるような司祭養成」への取り組みへの強い希望も表明。叙階された聖職者たちの重い使命について実際に認識する一方で、広く語られているの中で、それは広く言及された”相関的な問題”ー聖職者の権威主義、女性との関係の難しさ、友愛的であるよりも高圧的な圧倒的な態度の問題などーにも触れている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2022年6月13日