・「周辺部に向かうシノダル(共働)的な教会へ」ラ米司教協議会連盟が”シノドスの道”で中間まとめを発表

(202.11.1  Crux  Barbara Fraser|Catholic News Service)

 リマ(ペルー)発—「私たちは、貧しい人々、社会から疎外された人々の叫びに耳を傾ける福音宣教する教会、女性、若者、一般信徒が大きな役割を担う”シノドス(共働)的な教会にならねばならない」。

 ラテンアメリカ司教協議会連盟(CELAM)の代表団は10月31日、バチカンで記者会見し、昨年春以来の”シノドスの道”の歩みをもとに、司牧上の課題についてまとめた文書 “Toward a Synodal Church Going Forth into the Periphery(周辺部に向かうシノダル(共働)的な教会を目指して)”を発表した。

 文書は、昨年4月から8月にかけての小教区レベルに始まり教区レベルに至る、司祭、一般信徒など約7万人が参加した歩み、それを受けた昨年11月の一週間にわたる集まりをもとに、その後のCELAMでの意見交換を重ねて策定された。

 CELAMでは2019年に、アマゾン地域代表司教会議(地域シノドス)を開催しており、その成果をもとに、来年、再来年とバチカンで開く全世界司教会議のための”実習”と位置づけ、”シノドスの道”の歩みを進めてきた、とCELAM会長のミゲル・カブレホス大司教(ペルー)は説明。

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   “Toward a Synodal Church Going Forth into the Periphery(周辺部に向かうシノダル(共働)的な教会を目指して)”と題されたこの文書は、新型コロナウイルスの大感染を含むこの地域の「時代の兆候」を要約することから始まります。そして、現在この地域に拡大する社会的、経済的不平等から、政治の腐敗と民主主義の脆弱性、特にアマゾン地域での環境破壊の進行、人口流入による都市の拡大、世俗主義の拡大などが指摘されている。

 また教会内の問題についても、”聖職者主義”を克服する必要性、聖職者による虐待事件を処理する際の透明性の確保、司祭と修道者のためのより良い、より多くの養成、女性、若者、先住民、アフリカ系の人々を含む一般の人々の教会活動へのより参加拡大などが求められている。

 ラテンアメリカ・カリブ海の修道会協議会の会長で,われらの聖母女子修道会のシスター・リリアナ・フランコ・エチェヴェリは、記者会見にビデオメッセージの形で参加し、「この地域の男女修道者は、使徒職と宣教を使命とする者として、回心の必要を理解しています。皆、よい証し人となるよう人間形成するため、そして、非常に多様な形態の聖職者主義を克服するため、にです。教会会議で養成を優先する必要があります」とし、さらに次のように付け加えた。

 「私たちの世界と同じくらい複雑な状況の中で、私たちはしるしになり、生き方や価値観の表現になるよう求められていますが、それは間違いなく対抗文化的で雄弁であらねばなりません」。

 そして昨年、教区レベルの集まりの​​参加者たちは、「若者の役割」を拡大するよう求めた。ボリビアにおけるの若者司牧のリーダーであるパオラ・ バランザ氏も、記者会見にビデオ・ メッセージの形で「創造性と熱意を持つ若者は、教会に大きく貢献することが可能です。しかし、私たちは、意思決定が行われ、考慮され、自分たち声が聞かれる場所にいる必要があります」と言明。ラテン・アメリカ地域の司教たちに、「この文書を棚に置いたままにせず、提言の実現を目指して行動を起こしてもらいたい」と促した。

 この文書は、「時のしるし」の部で提起した課題に対処するための数十項目からなる「行動方針」で締めくくられている。記者会見でCELAM会長は、「行動指針はどのように実施されるのか」との問いに、「具体的な次の段階は、各国の司教協議会に任せられている」と答えた。

 発表されたばかりのこの文書は、2007 年にブラジルのアパレシーダで開催されたCELAM第 5 回教総会で出された文書と同じ状況に置かれている。その文書は、教会から離れた信徒に手を差し伸べ、教会外にいる他の人々の参加を推進することを目的としていたが、個別地域では実現に向けた努力がされても、ラテン・アメリカ地域全体の実施計画は策定されなかった。そして、棚上げになってきた”アパレシーダ”文書の提言を実現する努力をするようにとの要請が、今回の”シノドスの道”の歩みにつながった。

 今回の文書には、課題ごとに行動すべき分野が挙げられており、CELAMの代表者たちは記者会見で、司教協議会の指針に沿って具体的な計画を策定、実施する必要があること、来年、再来年の世界代表司教会議への提言としても役立つ、と説明。

 ペドロ・シェレル副会長は、「インターネット・ワーキングを駆使するスキルをもつ若者たちは、”シノドスの道”を歩み続けるうえで、重要な役割を果たすことができる」とし、すでに、若者たちがSNSを利用して、20 か国の仲間たちと討論グループを作っている、と述べた。

 カブレホス会長によると、この文書は、「識別から始まり、会議を通じて続けられ、結果の公表で終わらない、”歩み”の一部」とし、 「開いたドアのようなもの。閉じることはない」と語り、”歩み”に、女性や若者を含む一般信徒が多く参加しており、文書は「神の民の対話の結果」と強調している。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年11月2日