【”シノドスの道”日本では】広島教区は”教区シノドス”と合わせて二度のZOOM全体会議も

(2022.6.3 カトリックあい)

 ”シノドスの道”の歩みに前向きに小教区レベルから教区レベルへと取り組んでいる教区がある。広島教区は、もともと”教区シノドス”を2020年に開くことで3年前から準備を進めており、各小教区やカトリック団体、カトリック校からの代議員も決まっていた。”教区シノドス”は、新型コロナウイルスの大感染の直撃を受けて、2021年に延期、Zoomによる開催を余儀なくされたものの、昨年11月そして今年3月の二回にわたり、それぞれ約150名が参加。教皇フランシスコが提唱される、2023年10月の世界代表司教会議に向けた”シノドスの道”の歩みと重ねる形で、分かち合いを行ない、その成果を以下のようにまとめた。同教区で中心となって活動されている一般信徒から提供していただいた資料をもとに、広島教区長、白浜司教のメッセージと合わせて全文を紹介する。

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+主の平和

 世界代表司教会議の第16回通常総会(2023年10月予定)の準備のために、昨年9月に、教皇庁の世界代表司教会議の事務局から、各地方教会(教区)に要請があった質問に対する、広島教区としての回答のまとめができました。

 添付の報告書をご覧ください。2021年11月~2022年3月までの間に、質問へのご協力をいただいた、小教区・修道院・カトリック学校等の皆さんに、心より感謝を申し上げます。

 皆さんから寄せられた回答をもとに、教区の「世界シノドス準備チーム」でまとめを行い、①最終的に添付の資料のような回答となりましたこと、②日本司教協議会への提出期限(2022年6月4日)までに、広島教区として回答のまとめの提出が完了したことを、ご報告申し上げます。容量の制限(A4で5枚)もあったために、皆さんのご意見が十分に反映できていないかもしれませんが、ご理解を賜わりたいと思います。

 今後、教区シノドス後の司教教書「ともに歩むあたたかさのある教会をめざそう」(2022年復活祭)といっしょに、各共同体での会議や分かち合いなどを通して、今回の世界シノドス準備のための質問への回答を、小教区、地区、教区における宣教司牧のために活用して行ければと願っています。皆さん、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

            5月22日 広島教区 司教 アレキシオ 白浜 満

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世界代表司教会議第 16 回通常総会に向けて 質問への回答のまとめ 2022 年 5 月 8 日 カトリック広島司教区

 はじめに

 「ともに歩む教会のため―交わり、参加、そして宣教」というテーマで、2023 年 10 月に行われる第16 回世界代表司教会議(以下、「世界シノドス」と略す)に向けた準備のための『手引書』(Vademecum)が、2021 年9月に教皇庁シノドス事務局から公表された。広島司教区においては『手引書』に基づき、2021 年 10 月 17 日に世界シノドスの準備の説明会(教区内に Zoom 発信)と、世界シノドスの準備開始ミサを行った。

 これに並行して、広島司教区では、2019 年 10 月(福音宣教特別月間)から準備を開始していた第 3 回教区代表者会議(以下「教区シノドス」と略す)の第 1 会期が 2021 年 11 月 23 日に、代議員を対象に Zoom で開催された。その際に、教皇庁シノドス事務局から要請された世界シノドスの準備のためのアンケートに対する回答の方法についての周知を図った。

 そして、2022 年 2 月 23 日に Zoomで開催された教区シノドスの第 2 会期においても、それまでに寄せられた世界シノドスの準備のための質問への回答の中間報告を実施した。

 2021 年 12 月 8 日から 2022 年 3 月 20 日までの期間に、新型コロナウイルス感染症の影響で教会活動が制限される中での分かち合いとなったが、教区内の全 40 小教区中36 小教区、8団体(修道会や諸活動団体)から質問への回答が寄せられた。回答した小教区・団体が行った分かち合いに参加した人数は延べ 413 名、1 回の分かち合いでの参加者の平均は約 9 名であった。

 各質問に対する回答のまとめは、広島司教区の世界シノドス準備チームのメンバー(司教を含む)が行った。以下は、『手引書』にあった 2 つの基本的な質問と 10 の具体的な質問についてのまとめであるが、先に、10 の具体的な質問に対する回答の要約を行ない、それを踏まえて、基本的な 2 つの質問に対する回答を結びとして提示した。また、広島司教区では、2 会期におよぶ Zoom による教区シノドスの実施が、世界シノドスの準備と重なり、教区として「ともに歩む」体験ができたので、霊的な識別の実例として、今回の教区シノドスの成果について報告したい。

質問 1(旅の同伴者)に答えて

 「ともに歩む」旅の同伴者とは、広義では教会全体の仲間(信者)と言えるが、実際には、共同体のミサに参加している人に限られている。しかし、日本において増加している外国籍の信者とのコミュニケーションは十分に進んでおらず、「わたしたちの教会」となりきれていない。

 「ともに歩む」同伴者とは、もっと現実的には、自分自身に関わってくださっている方々のことである。ただし、教会に行けなくても、互いのことを想ったり、連絡したりして、祈り支え合う経験された方々もいる。

 取り残されているのは、教会に来れない人々、とくに独居の高齢者、病者、貧困者、外国籍の人々、障碍者、ホームレス、LGBTQ の人々。その他、仕事が多忙で来れない就業世代も、これに含まれる。また、教会の外部にいる弱い立場の人を知らなかったり、知ってはいても(精神的、物質的に)手を差しのべようとしなかったりする人々がいる。

質問 2(聴くこと)に答えて

 神に招かれている家族として、教会の内部・外部にかかわらず、神を求めている人、神を知らない人、苦しんでいる人、悲しむ人、孤独な人、海外からのカトリック者、外国籍の方々、その仲間たちの声に耳を傾けることが必要である。教会内でさえ話しを聴く場がない現状(コロナ禍の影響も一因)があるため、司祭・信徒同士、もっと互いに話しを聴く必要がある。

 聴くことにおいて妨げとなるのは、自分自身、自分の勝手な思い込み、自身が正しいと思っていること、自己中心的・傲慢な態度である。無関心、性急さ、一面的な評価、善意の押し付け、言葉の壁や教会の組織の壁、信者および教会に通う求道者たちだけの内向きの話し合い、聞き合いに終始している面がある。カトリックの殻から出ようとしない閉鎖性・消極性、キリスト教へのこだわりもある。

質問 3(声に出すこと)に答えて

 おもに基本的な人権、福祉、宗教などの分野において、声に出す手段としては、教会の諸活動、例えばミサ、結婚式、葬儀、講演、コンサートなど、そして、教会の受付、事務所、ホームページ、屋外の掲示板などが挙げられる。カトリックの教育機関、社会福祉施設、病院、書店などの存在とその働きも大きな役割を占めている。

 地域との関わりとしては、信者が働いている職場、清掃活動・集まり、自治会との共同作業、子ども食堂、クリスマス・イースターの近隣住人への案内などがある。声に出すことの助けとしては、ミサの聖書朗読、司祭の説教、分かち合い、教会内での協働、信仰における仲間があげられる。反対にその妨げとしては、自分自身(知識・体験不足)、無関心、自己満足、皆と違う考え方の排除、深いところで人との繫がりがないこと、効率性・生産性を重視する社会などが挙げられる。

 社会への発信の代表としては、司教、司祭、シスター、教会委員、信徒の代表、信徒一人ひとりが挙げられる。

質問 4(祝うこと・典礼)に答えて

 典礼(とくにミサ)における神の家族としての祝いが、わたしたちの生活や宣教活動の源泉であることを意識するために、典礼を学ぶことが大切である。その学びを通して、喜びが深まり、それぞれの家庭や地域社会へ派遣されて支え合い、助け合う力となる。日本においては、邦人信徒が高齢化し減少しているが、外国籍の若い信徒が増加し、積極的に典礼(とくにミサ)に参加している現状がある。

 また典礼における信徒の奉仕を呼びかけて募り、会衆は意識的に参加することを大切にする必要がある。朗読や祭壇の奉仕者の養成の在り方について、学びの場を提供することも重要である。しかし、司祭の減少や信徒の社会生活の多忙さなどの複合的な要因によって、信徒の養成が以前よりは希薄になってきている。

質問 5(宣教における共同責任)に答えて

 信徒は、家庭・職場・社会など愛(優しさ)を実践することによって宣教へと招かれている。しかし、そのことを説明し励ます人が必要である。信徒が能動的に宣教活動する上で、物理上の妨げは見られないが、宣教の使命を帯びているという自覚を促す養成が少ないのではないか。受洗後も聖書、宣教、祈り、典礼などの分野における一人ひとりの生涯養成が必要である。

 受洗しながら教会から離れている人々への宣教が十分でないかもしれないが、それ以前に、どのような宣教の分野(対象)があるのかを意識している者も少ないのではないか。司祭、修道者、カテキスタが霊的にも、実際の活動においても支援してくれているが、これらの支援が少ない場合でも、信徒の宣教者が活躍している事例もある。教区や小教区の宣教司牧評議会、主任司祭や他の司祭などが、時宜のニーズに応じて、宣教のあり方を識別している。

質問 6(教会と社会における対話)に答えて

 教会内であれば、会議、分かち合い、ミサ前後の交わりなどを通して、対話が行われている。また教会から、修道会や信徒団体ならびに教育施設などへの協力・協働・共催の依頼があって、多様な連携も進められている。しかし、以前よりその連携が弱体化している。

 宣教のビジョンや方針は、教区や小教区の宣教司牧評議会などで決定している。教会や社会において、今日では、移動移住者(とくに外国籍の方)や社会から小さくされている人に、特別な注意を払う必要がある。また、地域社会の一員である教会は、地域に対して、施設などを開放していたが、それも以前より少なくなって来ている。

質問 7(エキュメニズム・他のキリスト教諸派とともに)に答えて

 他のキリスト教諸派との関係について、祈りの集い、社会奉仕活動(夜回りや炊き出しなど)、社会問題(平和行事、部落差別、ハンセン病、在日外国人など)に関連する活動や親睦・交流会などの協働がある。しかし、何か霊的なことを共有しながら、ともに旅をしているという実感は乏しいが、キリスト教諸派との行事などを共同して実施する中で、異なる信仰告白があることや、自分の信仰告白について改めて問い直すなどの、信仰上の実りを得ることができている。

 ただ小教区によっては、キリスト教諸派とのエキュメニズムに対する無関心や拒絶する態度さえ見られることもある。とくに無関心な地域では、司祭の協力、相互理解、対話を促すことによって、次の段階に進めるのではないか。

質問 8(権威と参加)に答えて

 信徒の中には、目標や方法、踏むべき段階はどのように決定しているのかなどについて、無関心であったり、知らなかったり、理解できない方も多く、伝達方法にも工夫が必要である。通常、教区や小教区の宣教司牧評議会や委員会での話し合いによって目標や方法を特定し、議事録やお知らせなどで信徒に報告している。

 協力体制はあるが、実践する人はだいたい同じメンバーに偏りがちである。皆が納得できるように時間をかけることも大切であるが、限られた時間の中では上意下達になってしまっており、一部の人で決められている感がある。とくに司牧者はいろいろな立場の人々、とくに若い人や外国人などの様々な意見を吸い上げる必要がある。

質問 9(識別することと決断すること)に答えて

 物事を判断し決定していく手順として、個人の意見に耳を傾け、共同で祈り、聖霊の助けを願いながら識別し歩むことが大切である。互いに理解を深め、丁寧に関わり、神に喜ばれることは何かを意識し、信徒全員に伝達することで、透明性と説明責任が果たせると思われる。ときどき、組織化された教会のあり方(聖職者中心)や少子高齢化の現状などの課題も妨げになるが、個人と共同の識別に違があっても、できる限り協議や分かち合いを基準として決定している。

 聖霊の助けによって識別する力を養うには、ミサ、黙想会(霊操)や研修会などに参加して、福音の精神を浸透させていくという認識を深め、共同体の中に浸透させていく必要がある。近年、多国籍の方が増えて、多くの課題も見えてきているので、どのように関わり、協働することができるのかについての話し合いは重要である。

質問 10(シノダリティの中で自己形成すること)に答えて

 「ともに旅する」ことができるように、他者を知ること、分かち合い、対話のスキルアップなどが必要であり、そのために福音を黙想し、共同で祈り識別していく研修の機会を、もっと提供すべきである。個人の意識改革も求められるが、多くの人々への声かけ、とくに外国籍の方々への働きかけを大切にして、一部の人だけではなく、皆が心を一つにしていくことが重要である。

 互いに距離があってもネット上での参加を可能にする、リモートというツールは有益である。ただし、高齢者や弱者を置いてきぼりにする危険性があるので、デジタル環境への適応において、特段の配慮が必要である。

まとめ

1)福音を告げながら「ともに旅をする(ともに歩む)」ために(基本的な質問1に答えて)

 具体的な教会活動(ミサ、宣教司牧評議会などの会議、種々の行事、バザーなど)の中で、協力し合うことで「ともに旅をする」体験ができているが、教会から離れて行った兄弟姉妹のことを思うと、行き詰まりも感じられる。

 またカトリックの幼稚園や学校、福祉施設、キリスト教の諸派や諸宗教と協働する活動、とくにボランティア活動においても同様の体験をしている。高齢化、少子化、新型コロナウイルスの影響などで、活動が制限されたりするケースが見受けられる。

 このような困難の中でも、神への信仰、祈り、種々の活動における語らいによって、「ともに旅をする」ことの実現に向かっている実感がある。このような経験から、わたしたちに求められることは、聖書や祈りなどの霊的な恵みに支えられて「ともに旅をする」ことを皆で考えていくこと、喜びを感じること、それを分かち合うこと、対話を重ねること、多くの方々とのつながりを持つことである。個人と個人、個人と教会、小教区同士が気軽に交流できるSNS やインターネットを使った情報交流を進めることも大切なことである。

 今後、関わりを求めている人たちとの連携をどのように豊かにできるかを考え実行することが求められる。

2)「ともに旅をする」中で成長するための聖霊の招き(基本的な質問2に答えて)

 一人一人を尊重し、国籍や信仰の有無によって差別せず、皆が神に愛されている尊い存在であることを認識することが大切である。まず神の名のもとに集まった人たちを家族として受け入れ、ともに過ごすひとときが必要であると感じる。

 そして、集まった家族の中に主イエスがともにおられること(マタイ18・20 参照)を信じることが大切である。同時に、聖霊の息吹を感じ、無関心から脱却できるように祈ることも必要である。

 こうした経験からわたしたちに求められるのは、何気ない日常の生活を送れることを神に感謝すること、他の方々も同様に神から愛されている存在であることを感じること、そして「互
いに愛し合いなさい」という主イエスの愛の掟を実践すること、互いにコミュニケーションを取り、理解を深め、連帯することが大切である。

 自分の願望よりも、主イエスを中心に置き、聖霊が示そうとしていることを識別し、決断すること、分かち合いや祈りを大切にしながら、社会へと視点を向けていく必要もある。回勅「ラウダート・シ」にもあるように「わたしたちの共通の家」である地球環境についても意識を向け、徐々に外向きに視点を変えてゆくことは、これからの教会が「ともに旅をする」助けとなる。

3)「ともに旅をする」体験を実感した第 3 回「教区シノドス」

 教皇フランシスコは、現代の様々な困難の中にあっても、教会がたゆまず福音宣教に励むよう鼓舞するために 2019 年 10 月を「福音宣教特別月間」として制定された。この月間の「世界宣教の日」(2019 年10 月 20 日)に、白浜司教は 1 年後の 2020 年 11 月 23 日に「ともに喜びをもって福音を伝える教会へ」というテーマで、第 3 回目の教区シノドスを開催することを宣言し、その準備を開始した。その後、教皇フランシスコの訪日、被爆地・広島の訪問という歴史的な出来事を身近に体験したわたしたちは、これからの福音宣教のために、大きな感動と勇気を与えていただいた。

 ところが、教皇フランシスコの訪日後、間もなくして新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に遭遇し、2020 年に予定していた教区シノドスを延期せざるを得なくなった。2021 年になっても新型コロナウイルスの猛威は収まらず、

 その開催が再び危ぶまれる中、教区民の互いの協力のもとに初めての試みとしてオンライン形式で、11 年ぶり第 3 回目となる教区シノドスの第一会期(参加者 137 名)を 2021 年11 月 23 日に、第二会期(参加者 130 名)を 2022 年 2 月 23 日に、それぞれ無事に実施することができた。未曽有の困難の中でも、先へ進んで行こうとする互いの熱意に触れ、深い感動と強い絆を感じ、神の計らいと聖霊の招きを体験することができた。

①教区シノドスの成果

 教区シノドスの開催に向けた準備として、まず教区民に実施したアンケート結果をもとに 5 つのテーマ(平和・福音宣教・多文化共生・協働・養成)の分科会を設定して協議し、最終的に具体的な提言として「30 のチャレンジ」が提示された。これは今回の教区シノドスの大きな特徴のひとつである。これらの提言を活かして、教会の使命をよりよく遂行していくため、白浜司教は 2022 年 4 月 17 日(復活の主日)に公布した司教教書において、今後の新たな方向性(ビジョン)を示した。

②教区創立 100 周年(2023 年)後の宣教司牧の目標や課題

 教区シノドスの成果から、白浜司教は司教教書の中で、教会の普遍的な「三重の使命」(預言職・祭司職・牧職)を遂行していくため、「ともに歩むあたたかさのある教会をめざそう」という 10 年間の教区全体の宣教司牧の目標を打ち出し、次に 5 つの強調点(平和・福音宣教・多文化共生・協働・養成)に基づいて、今後の優先課題を具体化していくための理念や基本方針を示した。

 「ともに歩むあたたかさのある教会をめざそう」という長期の目標の「あたたかさ(優しさ)」とは、キリストがその生涯と死をもってあかしされ、わたしたちにも注がれ続けている神の愛といつくしみ(Ⅰヨハネ 4・7~21)を示す。教区創立 100 周年を機会に、この神の「あたたかさ」を身に帯びることの大切さを再認識することは有意義である。

 そのために、信仰に基づく「あたたかさ」の源泉に立ち返り、「あたたかさ」のある共同体を育み、「あたたかさ」を隣人、家庭、社会、自然界へと広げていくことを目指すという 3 年ごとの中期的なビジョンも示されている。この目標は、今回の世界シノドスのテーマである「ともに歩む教会」、また、教皇フランシスコが回勅『兄弟の皆さん』(2020 年 10 月 3 日公布)において呼び覚ますように強調された兄弟姉妹への愛と社会的な友愛、回勅『ラウダート・シ』(2015 年 5 月24 日公布)で取り扱われた環境問題と関連する社会問題への取り組み、そして「すべてのいのちを守るため」というテーマで訪日(2020 年 11 月)された教皇フランシスコのメッセージに呼応するものでもある。

③「30 のチャレンジ」に基づく優先課題の推進

§「シノドス対応調整チーム」の設置

 「30 のチャレンジ」を推進していくためには、提言を整理し具体化して、教区の宣教司牧評議会に提案するという手順を踏む。この「30 のチャレンジ」を整理し立案化するために、「シノドス対応調整チーム」を設置する。この「シノドス対応調整チーム」は、具体的な立案化を担当する役割を持つものであって、実行チームではない。実行するのは既存の種々の関係組織(委員会、活動団体など)である。「シノドス対応調整チーム」は、立案化していく準備段階からこれらの関係組織と連携していく、いわゆる調整役である。

§「シノドス対応調整チーム」と連携する自主的なグループの立ち上げ

「30 のチャレンジ」を整理し、具体的な立案化を担当する「シノドス対応調整チーム」の作業をサポートしていくため、有志を募り、オンラインを駆使して関わる自主的なグループも立ち上げる。

④第 4 回目の教区シノドス(予定)と中間の振り返り

 教区創立 110 周年(2033 年度)を迎える前に、第 4 回目の教区シノドスを開催し、2034 年度以降の広島教区の歩みを、ともに考える計画である。その中間で、第 3 回目の教区シノドスで提示された方向性の振り返りや、「30 のチャレンジ」の推進状況を評価することを検討している。

4)「ともに歩む教会」をめざす

 「ともに歩む教会のため―交わり、参加、そして宣教」というテーマで開催される第 16 回世界シノドスのための準備期間と、「ともに喜びをもって福音を伝える教会へ」というテーマで開催された第 3 回教区シノドスの実施が重なったことは、広島司教区が、創立 100 周年後の歩みを考えていく上で、有意義な出来事となった。宣教という目標に向かっていくために、教区民一人ひとりが互いに交わり、積極的に参加して、「ともに歩む教会」をめざすという世界シノドスの理念が、教区シノドスの福音宣教・平和・協働・多文化共生・養成という 5 つの強調点と「30 のチャレンジ」という提言によって具体化されたように思われる。

 世界シノドスの準備の中でわたしたちは、教皇フランシスコが強調されている「ともに歩む」という教会のシノドス性についての理解を深めながら、これからの福音宣教ために活かして行きたいと切に願っている。

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2022年6月3日