ローマ発 – 教皇フランシスコの最側近の一人で、教皇が推進する”シノドスの道”の目的地である世界代表司教会議(シノドス)通常総会の総括責任者、ジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿が23日、”シノドスの道”に関連する教会一致の主要行事を説明するための会見を行い、その中で、先のベネディクト 16 世教皇とジョージ・ペル枢機卿の帰天をきっかけに一部で顕在化しているカトリック教会内部の意見対立は「新しいことではなく、健全なものであり得る。意見の相違は、敬意と謙虚さをもって共有されれば、教会にとって良いことです」と述べた。
オロリッシュ枢機卿は、教皇フランシスコが進める“共働的”教会改革の一環としてのキリスト教内部の関係強化のための教会一致の主要行事について説明する記者会見で、教会内部で様々なテーマについて意見対立がみられることについて、「カトリック教会関係者の間にさまざまな意見があるのはごく普通のこと」とし、「私たちは変化の瞬間、時代の変化の中に生きています。 デジタル化のゼロ年にいます。この新たな世界が台頭する中で、キリストをどのように宣言できるか、共に考えねばならないのです」と強調した。
現在、教会での多くの議論が、”シノドスの道”の歩みの中で起きているが、枢機卿は「”シノドスの道”そのものは、意見対立の原因ではない」と断言、”シノドスの道”では「 互いに耳を傾けることが求められているが、そうするだけでなく、『神がご自分の民に何を望んでおられるか』を識別するためのものでもある」と指摘した。
教皇の有力な側近でありながら、性的虐待事件でバチカンの財務担当のトップの座を追われ、1月10日に亡くなったジョージ・ペル枢機卿が最後のエッセイで、「シノドスが”有毒な悪夢”になっている。準備文書は不完全で、教会の使徒的伝統に敵対している」と激しい批判の言葉を残し、教会関係者の間で論議を呼んでいる。
オロリッシュ枢機卿は「”シノドスの道”の歩みに不平を言う”甲高い声”があるのは認識している。そうした中で、互いの声に耳を傾ける姿勢と識別力だけが、教会の答えになるでしょう」とし、「私たちは共に、主と共に、謙虚に歩まなければなりません。神を心底から信頼し、聖霊を信頼しなければなりません。それが、神の民が謙虚に共に歩むことになる」と答えた。
さらに「教会内部のことに関心を奪われているキリスト教徒は、『世界で起きていることや与えられた使命には関心がなく、いつも自分のことだけを考えている少数グループ』というイメージを世界の人々に与えている。そのイメージを克服するためにも、”シノドスの道”を歩むことを選びたい」と語った。
また枢機卿は、現在のカトリック教会内部で起きている”緊張”のほとんどは、「現代世界で、キリストに従い、キリストを宣言する方法を、誰もが率直に知り、共有したりしたい、と希望することから来ている」とし、これまでの”シノドスの道”の教区レベルの歩みや信徒、司祭などの分かち合いの報告を基にした、大陸レベルの歩みのための準備文書で明らかになっているのは「前向きな”緊張”」だ、と述べた。
そして、カトリック教会をテントにたとえ、「テントを張る場合、ある程度の緊張が必要です。そうしないと、テントが倒れてしまう」としたうえで、「神の言葉に耳を傾け、共に道を歩むことで、緊張が和らぎます。 私たちは教会を破壊する”悪い緊張”を望みませんが、調和を図るために、”良い緊張”が必要な場合もあります」と強調した。
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