・バチカン教理省長官、「女性たちがもっと多くの場を得、もっと多くの役割を果たせるように検討しよう」

 「シノダリティ(共働性)」をテーマとする世界代表司教会議(シノドス)総会の 24 日午後、「グループ 5」の作業グループのメンバーと会談したビクター・マヌエル・フェルナンデス教理省長官は、女性助祭に関する決定を「成熟した」ものとは考えなかった理由を説明し、「それが、(女性助祭の)可能性を閉ざすことを意味するものではありません」と語った。

 24日午後、バチカンのパウロ 6 世ホールで行われた会談は、長官によると「1 時間半にわたる自由で友愛的で率直な対話」が行われた。会談は、先週、第一回が行われたが、教理省側から職員 2 名が出席したものの、長官が欠席したことで参加者から不満の声が出たが、長官の欠席は「別の約束が決まっていた」という理由で、事前に公表にされていた。

 フェルナンデス長官は24日午後、ゲスト、専門家を含む約 100 人のシノドス総会参加者との会談に参加し、質問を聞き、提案を受け取り、教理省 で女性の助祭など聖職の可能性について検討している「グループ 5」の作業を評価した。会談の模様は、参加者との合意のもとに、例外的に音声録音全体を公開することを決めた。この音声録音はVatican News で公開される。

 会談の冒頭、長官は、今シノドス総会以前から、検討を委ねられた教理省で「教会のおける女性の役割」というテーマの議論を深化し、女性に捧げられた奉仕活動の新たな可能性を模索することに取り組んできたことを説明した。次に、女性たちを含む数多くの関係者からの意見、提案を聞くことから始まった検討の進め方について説明。「検討作業の進め方は、シノダル(共働的)であり、世界中の司教や枢機卿も参加していることから、作業はさまざまな感受性や文化を考慮に入れて進められた」と強調。

 また、シノドス総会の参加者たちにも、意見や提案を出してくれるよう求めており、アマゾン地域だけでなくアフリカやアジアでも、女性が教会共同体の指導者を務めるという、すでに進行中の事例も考慮に入れている。それは、現実から始めることを重視し、おそらく欧州の神学ではほとんど知られていない、すでに進行中の経験を理解し、評価するためであり、これまで意見、提案を聞いた以外の個人や組織、団体からも胃炎聴取を続ける、と長官は説明した。

 長官は、「グループ5」の基本的な目的は「教会における女性の役割」であり、ペトロッキ枢機卿が委員長を務める教皇が設置した委員会が取り組んでいる「女性助祭の可能性」の検討に抵触するものではない、と述べた。

 そのうえで、「女性は自分の意見を聴いてもらうこと、評価してもらうことを望んでいる。女性は権威を持ち、カリスマ性と能力を伸ばすことを求めているが、そのほとんどの声は、助祭職を求めていない、つまり『聖職者化』を求めていない。それが、当面の間、教理省の検討が、この道に沿って『非常に具体的な』段階を踏む必要があると判断する理由だ」と説明。

 さらに、「聖職と権力の違いを探ることが基本であり、それによって信徒、ひいては女性にも教会の指導的役割を委ねることができるようになることから、重要な合意を得られる可能性がある」と述べた。

 長官はその後、「もし過去に女性がミサ聖祭で説教をしたり、助祭に叙階されないまま権力を行使していたことが判明した場合、これ(女性助祭の叙階)はあまり意味がないのではないか?」と問いかけ、さらに、「助祭職という特定のテーマについては、ペトロッキ枢機卿が率いる委員会が、シノドス総会や世界各地からの提案に耳を傾けながら、より精力的に作業を再開する。提案や助言はシノドス事務局を通じて出すことができる」と語った。

 また長官は、教皇フランシスコのこの問題に関する立場を要約し、「女性助祭職に関する決定は成熟していない」と言うことは、教皇がこの問題に終止符を打とうとしているのではなく、「委員会の作業の結論が一義的ではないことを踏まえ、さらに検討を続けたいということです」と強調した。

 さらに、「過去に女性が助祭に任命された例があったとする歴史家がいる一方で、それは祝福であって真の叙階ではなかったとする歴史家もいる」と述べ、「聖職と切り離せないものとそうでないものを区別することから始めて、教会で女性に力を与える明確で具体的なステップを踏んで前進できると確信している… 聖霊が私たちをどこに導くのかを見るために心を開くように」と総会参加者たちに求めて締めくくった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年10月25日