(2024.10.26 Vatican News Antonella Palermo)
世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会第2会期の討議終了後の26日夕、バチカンでシノドス情報委員会のルッフィーニ委員長、シノドス事務局のグレック局長、総括報告者のオロリッシュ枢機卿などが出席して記者会見が行われ、このばで最終文書が発表された。
発言者たちは、まず、「教会を理解する際の言葉や視点を変える必要性」を指摘、教会は、”多国籍企業”としての 「universal Church(普遍教会) 」の見方から、一般信徒や女性の貢献が増大する 「教会の交わり 」として見られるようになっている、ことを強調した。また、女性助祭を認めるか否かの問題が未解決のまま残されたことも確認された。
会見に参加したイエズス会のジャコモ・コスタ神父は、移住の中で東方典礼の伝統を尊重することについての質問に答え、「根ざし、巡礼する 」教会の使命を指摘。「孤立主義に陥ることなく、これらの豊かな伝統を守ることの重要性」を強調した。東方教会の”宝”を再発見することは、今総会の大きなハイライトだった、という。
シスター・マリア・デ・ロス・ドローレス・パレンシア・ゴメスは、メキシコの多様な信徒に奉仕した経験について話し、そこでは「30を超える国籍の融合が信仰を豊かにしている」と述べた。
コスタ神父はまた、「ラテン教会はカトリック教会の重要な一部ではあるが、教会全体を網羅しているわけではない」と指摘。「この多様性は財産であり、保存は必要だが、厳格さは必要ない。教会は、さまざまな背景を持つ人々が、兄弟姉妹として、一人の御父の子として一致を見出す拠点となるべきです」と語った。
最終文書の76項を参照しながら、記者会見では、「信徒と聖職者の奉仕は対立するものではなく、教会内の補完的な奉仕とみなされるべき」ことが強調され、信徒は司祭の 「穴埋め役 」ではなく、特に教会が位階的な構造ではなく、共同体に基づいた構造を受け入れている世俗化された地域では、共有された使命への貢献者だ、ということが確認された。
オロリッシュ枢機卿は、「典礼は適応の余地があり、適切な場合にはより多くの参加を可能にしている」と指摘。「例えば、私のルクセンブルクの教区では、より多くの信徒の参加を促すブラジルのミサ典礼書を用いて、頻繁にポルトガル語でミサを行っており、主日のミサは、福音を中心とした共同体を築くための中心的な役割を果たしている」と説明した。
*「女性助祭」という未解決の問題の今後は
残された未解決の問題は、女性助祭の可能性だ。バトッキオ司教は「多くの神学校で、女性が司祭の養成に重要な役割をすでに果たしており、信徒の家族や女性たちが積極的に養成活動に参加している」と説明。グレック事務局長は、欧州の神学校での最近の経験について語り、「神学校では一般信徒の夫婦が養成プログラムに貢献しており、これはラテンアメリカの多くの教区ですでに行われていることだ」と述べた。
一方、オロリッシュ枢機卿は、これが 「非常にデリケートな問題 」であることを認めたうえで、「教皇は、女性助祭の可能性を肯定も否定もしておらず、さらなる熟考のための未解決の問題です」と説明した。。
なお、現在、女性助祭の問題を含めた10の課題について検討作業中の「研究グループ 」は、6月までにその作業を終える予定であることが確認され、コスタ神父は、「決定を急がせるのではなく、内省のための時間を与え、熟慮の期間を長くとる」という教皇の意図に沿って、その結果はシノドスに参加する司教協議会に戻される見込みであることを示した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)