・シノドス総会第2会期・10月11日記者会見:教会に求められる透明性、育成、説明責任の重要性

(2024.10.11 Vatican News   Christopher Wells)

 世界代表司教会議(シノドス)総会第2会期の会合の状況についての11日午後の記者会見は、シノドス情報委員長のルッフィーニ・バチカン広報省長官とピレス事務局長の報告で始まり、これに、発言者として、米国からニューアーク大司教のジョセフ・トービン枢機卿、欧州から”シノドスの道”に詳しいジュゼッピーナ・デ・シモーネ博士、豪州からサンドハースト教区長のシェーン・マッキンレー司教が加わった。

 ピレス事務局長はまず、11日午前までの会合は、教会内および教会と世界との間の関係を中心に話し合われ、透明性、育成、説明責任の重要性が強調され、また、シノドス総会総括責任者のオロリッシュ枢機卿から、教会における識別は管理技術の問題とは異なることを念頭に置くこと、福音宣教の証人としてのキリスト教徒を養成する総合的な育成が必要であることが指摘された、と説明。また、教会において参加型で透明性のある意思決定プロセスの開発を求めるオロリッシュ枢機卿の呼びかけと、教会において責任を持つ人々の仕事の継続的な評価による説明責任の必要性が強調されたことについても述べた。

 会合での第3課題の検討が開始されるに先立って霊的指導を担当するティモシー・ラドクリフ神父が行った考察では、教会における変革のプロセスと福音書におけるイエスとカナン人の女性とのやり取りを比較され、イエスの沈黙は深い傾聴の時を示しており、これは「苦しんでいる人々の叫びに耳を傾け、今日教会が直面している複雑な問題に取り組もうとする教会の試みのモデル」になり得るとの指摘があった。また、特に洗礼を受けた人々の教会共同体におけるさまざまな召命と役割の文脈において、平等と違いの関係の問題が指摘された。そして、最後に、注意深い継続的な祈りの必要性と、即座に単純な答えを求める衝動に抗うことの重要性が強調された。ラドクリフ神父は、「イエスがカナンの女に応えたことは、異なる人々に対する寛容さと歓迎の視線を示している」とも指摘した。

 ピレス事務局長の報告に続いて、ルフィー委員長が今後数日間の総会第2会期の協議予定の概要を説明。11日の午後は、全体会議で各言語グループから報告を聞き、その後の討議の議題について投票する。討議は12日の朝から始まる。

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 続いて、3人のゲストから以下のような発言があった。

*米国トービン枢機卿「今総会では、祈りと沈黙に重点が置かれ、神学者や教会法学者など専門家の役割が大きくなっている」

 トービン枢機卿は、今回の世界代表司教会議(シノドス)総会と、これまで出席した過去のシノドス総会との違いについて語り、特に総会の準備段階について、「特定のグループに耳を傾けるだけでなく、すべての人に働きかける努力がなされた」と述べた。また、総会で「祈りと沈黙に重点が置かれるようになった」と指摘、「神学者や教会法学者などの専門家の役割が拡大していること」も評価した。

*欧州のデ・シモーネ博士「今総会は準備段階から革新的、大きな希望の兆しが見られる」

 哲学と神学、および現象学を専門とするデ・シモーネ博士も、今総会の進め方について、「準備段階からの革新は真に重要で、革命的ですらある」と評価し、今総会の会合はすでに「大きな希望の兆し」となっており、「現代の教会と人類全体に何かを提供するだろう」と強調。「今総会の成果は、まさに互いに耳を傾けることから始まり、共に深く厳密な考察を行う、という新しい進め方」とする一方、沈黙の重要性、シノドスが直面している課題の中で「生きる」能力、即座に単純な答えを求めない能力の重要性を指摘した。

 小グループに分かれた全ての参加者が対等に扱われる「テーブル」で表される「素晴らしい」イメージを強調し、また、神学者がテーブルに多数出席していることも、討議に「技術的かつ専門的な知識」が必要とあれているという点で好ましいが、「エリート主義になったり、日常生活の現実とのつながりを失ったりする危険を避けなければならない」とも指摘した。

*豪州のマッキンレー司教「今シノドス総会と豪州での総会に共通点。豪州の総会の成果は『教会文化の変化」だ」

 マッキンレー司教は、シノダリティ(共働性)に関する現在開催中の世界代表司教会議(シノドス)総会と過去数年間に豪州で開かれた総会の共通点について言及。司教たちと共に神の民全体が代表されていること、聖霊による対話、協議がさまざまなレベルで進められ、そして総会で言語グループや小グループ単位での討議がされていること、などを挙げた。

 また、両方の総会で同様のトピックとテーマが取り上げられ、豪州と世界中の神の民が表明した同様の懸念と希望を反映している、と指摘。豪州での総会が重要かつ価値のある決定を下したとする一方で、討議のプロセスの最も重要な成果の 1 つとして「教会文化の変化」を挙げ、「私たちは豪州の教会を理解する方法、物事に取り組む標準的な方法を変えた… 同じことがこのシノドス総会でも起来ている、と感じている」と感想を語った。

 発言の最後に司教は、今のシノドス総会参加者にとっての課題の 1 つとして、「意思決定における識別のプロセスと霊的な対話の使い方の最も効果的な方法を決めようとしている段階にまだ、あること」を挙げるとともに、「傾聴と識別から課題解決へ進むのが『困難』」と述べる一方、「意思決定に役立つ可能性のあるさまざまなモデルとパラダイムを収集することが役立つかもしれない」とも語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年10月12日