・イタリアの司祭、妻と生まれてくる子供のために司祭職返上ー「司祭独身制」巡る議論に一石(Crux)

(2024.9.2  Crux Staff)

Italian priest’s exit for wife, unborn child renews celibacy debate

 ローマ発 – 過去20年間イタリアで過ごしてきたスロバキア人の司祭が、「狂おしいほど」愛し合っている女性と結婚するために司祭職を辞した。女性との間には、重度の心臓病と診断された子どもが生まれる予定だという。

 この司祭は、北イタリアのアルバ教区のトマス・フラバティ神父(44)。 教区長のマルコ・ブルネッティ司教が1日に発表し、司祭職を離れ一般信徒に戻ることになる同神父の「優れた透明性と責任感」を称えた。

 この”事件”は司祭の独身制をめぐる議論を再び巻き起こしている。理由の1つは、あらゆる点でフラバティ神父は人気のある司牧者で、彼が奉仕した6つの小さな町のカトリック教徒、町長も、彼の辞任を嘆いているからだ。

 イタリアで最も広く読まれている日刊紙「ラ・レプブリカ」のインタビューで、フラバティ氏はこの決断に至った経緯を語った。

 同氏は約20年前にイタリアに来て、司祭になることを希望して神学の勉強を始め、2015年4月に司祭叙階された。いくつかの務めをこなした後、アルタ・ランガ地域の6つの共同体の司牧者としての役割を引き受け、カトリック・アクション青年部の顧問、教区事務所で青年への司牧と司祭叙階の促進に携わった。

 「司祭であることに喜びを感じ、周りの人々が大好きでした… 司祭職を退いても真の友情が続くことを確信しています」と語り、これまでの活動の中で女性と恋に落ち、女性は妊娠し、12月に出産の予定。胎児は出生前診断で重度の心臓欠陥があることが判明し、出産後に一連の複雑な手術が必要になるというが、彼と妻となる女性は「子供に『人生』という素晴らしい世界を発見する機会を与えること」を決意している、という。

 地元メディアによると、フラバティ氏は過去2か月間、教区を離れており、理由は不明の健康問題を抱えているが、現在、彼と女性は家族を支えるために仕事を探す予定だという。フラバティ氏は「(子育ての)経験が非常に限られていても、良い父親になりたい… 子供が生まれることは、男性にとって最も素晴らしいニュースです。全力を尽くします」と述べている。

 フラバティ氏が奉仕した6つの小教区の1つ、フェイゾリオ町のピエール・カルロ・ビエストロ町長は、フラバティ氏の幸せを祈る一方で、「(彼が司牧者でなくなることに)私もがっかりしている…彼が私たちのコミュニティ、とりわけ若者たちから常に高く評価されてきたからです。彼は、若者たちに多くの貢献をした来ました」と述べ、信者に対し、祈りの中でフラヴァティと彼の新しい家族を支えるよう呼びかけている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
 Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年9月4日